プレハブは小屋や倉庫が代わりに利用できて便利なので、所有している人も多いですよね。
しかし、そのプレハブが不要になったときの解体方法については、所有していても知らない方が多いのではないでしょうか。
どのような手順で解体するのか?費用はいくらくらいかかるのか?その気になれば自力でできるのか?など知りたいポイントもたくさんあります。
今回はプレハブ解体の手順や費用について詳しくご紹介します。
▼この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。
プレハブとは?
プレハブというと仮設住宅みたいな簡単な建物をイメージする人が多いですが、定義を説明できる方は少ないです。
プレハブとは「プレハブ工法」という建築工法のことで、このプレハブ工法によって建てられた建物を一般的に「プレハブ」と呼んでいます。
プレハブ工法とは建築物の部材の一部またはすべてを工場で生産し、現場で組み立てる建築方式です。
部材は工場生産のため品質が安定し、建築現場での作業はほとんど組み立てるだけで完成するのがプレハブ工法の特徴です。
プレハブの種類
プレハブは素材に寄って大きく4種類に分類されます。
それぞれ特徴があるので、詳しく見ていきましょう。
木質系
柱、梁、壁など建物の主要部分を、木材や木質系パネルで作られているのが木質系です。
地震や台風など災害の際、力を建物の面全体に分散する一体構造が主流で、歪みや狂いが起きにくいです。
一番簡単なタイプで「とりあえずプレハブを持ちたい」という方に人気があります。
鉄鋼系
鉄鋼系は鉄骨など鋼材を使ったプレハブで、一般的な建物と同レベルの耐久性が特徴です。
一見手間がかかりそうですが、工場内で鋼材を溶接し現場ではボルトで固定するだけなので、工期が短いのが特徴です。
鉄鋼系のメリットは、鋼材のコストが比較的安定している点、敷地への対応力が高く間取りの自由度が高い点などが挙げられます。
コンクリート系
コンクリートパネルを工場で生産し、現場で組み立てるのがコンクリート系です。
工期は比較的長いものの、性能の高さは群を抜いています。 特に耐久性や耐火性に優れ、他の工法よりも長い耐用年数が特徴です。
ユニット系
最後にユニット系プレハブで、鉄骨や木製の柱で箱型のフレームを作り、セラミック系の板で壁を作って箱型のユニットを作ります。
フレームの素材で木質ユニット、鉄骨ユニットなど細かく分類されます。
配管やキッチンセットなどの設備も工場で設置するのが特徴で、作業の大部分を工場で行うため安定した品質がメリットです。
現場ではユニットを設置するだけなので、工期はかなり短縮できます。
プレハブ解体の手順
プレハブを解体する手順は、基本的には一般的な家屋の解体と同じです。
基本的な流れ
- 解体業者を選ぶ
- 近隣挨拶
- 配管、配線の撤去
- 本体の解体
- 整地
これらの手順をひとつずつ詳しく見ていきましょう。
解体業者選び
解体業者を選ぶときには、複数の解体業者から見積もりをとるのが一般的です。
見積もりは問い合わせで大まかな価格を伝えられても、現地調査までしてもらってから正確な見積もりをとってもらいましょう。
見積書の価格は適正か、不審な内訳はないかをよく確認し、納得した上で契約してください。
悪徳解体業者は見積もり額が極端に安いという特徴があります。
「安いほうがいいじゃないか」と思うかもしれませんが、そういった業者は安くするために養生シートを使用しない、整地が雑など、手を抜ける工程は徹底して手を抜くことで安くしています。
あまりにも安すぎる場合は、廃材を不法投棄している可能性もあります。必ず信頼できる解体業者を選びましょう。
近隣挨拶
工事の日程が決まったら、ご近所さんに解体工事を行うと伝えましょう
プレハブ解体の工期は短いですが、騒音やホコリなど少なからず迷惑をかけてしまいます。
期間中はこのような迷惑をかけてしまうかもしれないと事前に説明し、解体作業への理解と協力を求めましょう。
面倒だからと怠ると、苦情が入ったりトラブルに発展することがあります。
可能なら業者と一緒に挨拶に行き、事情は施主が、専門的な内容は業者に説明してもらうのが理想的です。
ライフラインの撤去
プレハブで電気やガスを使っていた場合は配管や配線が通っているので、解体工事が始まる前に撤去しておきましょう。
電気は電力会社に、電話は回線事業者に連絡して停止日を伝えましょう。
後日、引込線などを取り外しに来ます。
ガスも同様にガス会社に停止の連絡をしますが、ガスの停止の際は一般的に立ち会いが必要になります。
スケジュールの都合もあるので、ガス会社への連絡は特に早めに入れましょう。
水道は解体工事の際に工事用水として利用するので、止めるのは工事後になります。
水道局に連絡し、解体工事をすることと今までの生活用水分の精算をしてほしいと伝えてください。
工事用水として使った水道料金は解体料金に含まれるのか、別精算なのかを解体業者に確認しておきましょう。
本体の解体
いよいよプレハブ本体の解体です。
プレハブの解体も、一般的な建物の解体と同じ手順です。
解体は以下の順番で進めます。
- 屋根の撤去
- 壁の撤去
- 床の撤去
- 基礎の撤去
組み立てる手順を逆から行うイメージですね。
解体はパネルを取り外す作業が多く、小さいプレハブ倉庫なら手作業でもすぐに終わってしまう可能性も高いです。
大きな倉庫の場合は重機を使いますが、それでも大抵1日程度で解体作業は完了します。
整地
プレハブ本体の撤去が完了したら、清掃、整地を行います。
屋根や壁の廃材が発生するので、最後に綺麗にまとめて処理します。
廃棄物の処理方法は法律で決められているので注意してください。
不法投棄したり地中に埋めたりすると、施主も処罰を受ける可能性があります。
解体業者を選ぶ際には廃棄物の処理も問題がないか確認しましょう。
また、工事後は土地の整地が必要です。
解体工事を行った状態のままだと地面がデコボコなので、ローラーなどを使って平らにします。
ゴミひとつない状態まできれいにする業者もいれば、結構デコボコが残っている状態で完了とする業者もいます。
できるだけ丁寧に整地してくれる業者、最低限土地を平らにしてくれる業者を選びましょう。
プレハブ解体工事の費用は?
プレハブ本体の解体費用は材質によって異なります。
以下が材質ごとの本体解体費用の目安です。
材質 | 費用(1坪当たり) |
木造 | 2万円~4万円 |
鉄骨造 | 2万5,000円~4万5,000円 |
鉄筋コンクリート造 | 3万円~6万円 |
素材が頑強なほど解体工事の費用も高く付く傾向があります。
鉄筋コンクリートは撤去に手間がかかることも高くなる理由のひとつですが、廃材をリサイクルできないことが理由で解体費用が高くなりがちです。
参考としてあげると、一般的な家屋を解体する坪単価は木造4~5万円、鉄骨6~7万円、鉄筋コンクリート造7~8万円ほどが相場です。
作りが簡単な分、プレハブのほうが安くなるんですね。
「じゃあ坪数×坪単価の相場で大体の料金が出せる」と思いかもしれませんが、これはあくまで解体工事にかかる費用です。
実際には他の料金も追加されます。
発生しやすい追加費用
残置物
プレハブ内に残置物が多い場合、撤去費用や処分費用が余計にかかります。
残置物を処分する場合は処分費を追加で請求するのか、解体工事の費用に含まれているのかは業者によって異なります。
事前に確認しておきましょう。
残置物は、少しくらいならサービスで処分してくれるケースもありますが、家具や家電のように処分に手間やお金がかかるものは追加料金が発生しやすいです 。
重機回送費
工事で使う重機は道を自走できません。
現場までトラックで運ばれるため、その回送費がかかります。
業者によっては解体工事に含まれているケースもあります。
処分費用
処分費用は基本的に解体工事の費用に入っています。
しかし、解体工事で発生した木くずや鉄くずを始めとする廃材の量があまりにも多い場合、追加費用を請求される場合もあります。
解体工事に時間がかかる場合
解体工事に時間がかかる場合は、その分人件費などが跳ね上がります。
よくある事例は、プレハブの建設位置に重機が入り込めず、手壊しで解体することになった場合です。
手作業なので、時間と手間がかかるため、費用が高くなります。
プレハブの作りや基礎が頑丈な場合も、費用は高くなりやすいです。
頑丈なのは使用中にはメリットですが、解体の際にはデメリットになります 。
作業がスケジュール通りに終わらなかった場合は追加費用を請求されるケースがあるので、契約書をよく確認しておきましょう。
安く済ませるポイント
プレハブ工事を安く済ませるポイントの一つは業者選びです。
解体業者は異常に高かったり安かったり、作業内容が丁寧だったり雑だったりと千差万別です。
適正価格の見積もり提示する優良業者を選ぶことは費用の削減にも繋がります。
安すぎる見積もりは追加費用をガッツリ取られたり、不法投棄などでトラブルに巻き込まれて結局お金がかかったなんてこともあるのでご注意ください。
残置物が多いと費用がかさみやすいので、極力事前に処分しておくのも手です。
特に布製品、陶器類は処分費用が高くなりやすいので、事前に処分しましょう。
逆に木片、鉄くずなどはリサイクルできるので処分費用は安く、棚などが残っていても中身が処理されていれば処分費用はそこまで高くなりません。
▼この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。
プレハブ解体は自分でできる?
プレハブは一般的な家屋よりも規模が小さく、作りも簡単なものが多いです。
本体の解体は手作業だけで終わるケースもあり、DIYが趣味の方には「自力でも解体できるんじゃないか?」と考える方もいるでしょう。
結論から言えば「自分で解体可能」です。
大きなプレハブ倉庫などは業者に依頼するべきですが、小さな簡易プレハブなどは個人でも解体できます。
個人でプレハブを解体する注意点
個人でプレハブを解体するにあたって、注意しておきたいポイントがあります。
リスクを把握する
個人で解体を行う場合、怪我や事故が起きても自己責任です。
高所での作業中に転落する、使い慣れない工具で怪我をするなど、常にリスクが伴います。
特に工事現場や工具に慣れていない人は、それなりのリスクを覚悟して作業に臨む必要があります。
事前調査はしっかりと
解体するプレハブについて、作業を行う前に事前に調査しましょう。
絶対に確認が必要なのは「面積が80㎡以上かどうか」「アスベストは使用されているかどうか」です。
面積が80㎡以上の建物を解体するときは、建設リサイクル法の届け出を役所などに提出しなくてはいけません。
※建設リサイクル法……建築物の解体工事、新築工事を行う場合、一定規模以上の場合は資材の「分別」「リサイクル」が義務付けられ、届け出が必要。建築物の解体の場合は床面積80㎡以上が対象。
80㎡未満の場合、届け出は必要ありません。
アスベストが使用されている場合は業者に解体を依頼する必要があります。
調査をせずに解体をしてしまうと罰せられるのでご注意ください。(参考:国土交通省発行「建築物のアスベスト安全対策の手引」)
アスベストが含まれているかは、専門家にチェックしてもらいましょう。
手続き、届け出は忘れずに
先述の建設リサイクル法の届け出以外に、プレハブが登記されている建物の場合は建物滅失登記を行う必要があります。
建物の取り壊しから1ヶ月以内に、法務局で手続きしなければいけません。
自分で手続きするのが難しい場合は、代行してもらえる土地家屋調査士などに依頼しましょう。
廃棄物の処分
解体工事は建物本体を解体するだけでなく、廃棄物の処分まで行う必要があります。
廃棄物を埋めたり適当に捨てると不法投棄で罰せられるので、きちんと処理しましょう。
再利用可能な廃材は建材のリサイクルショップに持ち込んで引き取ってもらえるケースもあります。
それ以外の廃棄物は、不用品回収業者に頼む方法もあります。
廃棄物の処理には厳密な規則があるので、業者に依頼するのがおすすめです。
この業者選びも、自治体から「一般廃棄物処理業許可」の許可をもらっているか調べた上で依頼しましょう。
自力で解体する前に準備するもの
解体作業をするには工具を揃える必要があります。
プレハブの大きさによって異なりますが、少なくとも下記の道具を揃えたほうがいいでしょう。
- ヘルメット
- 安全靴
- 作業着
- 軍手
- 防塵マスク、ゴーグル
- バール
- ハンマー
- チェーンソー
- 脚立
自力でプレハブ解体にかかる費用
上記の道具を仮に安価に揃えたとして、約3万円です。
木造6畳ほどで計算すると、処分費は約2~3万円、軽トラのレンタル代24時間約7,000円と考えましょう。
合計で67,000円~程ですみそうですね。
6畳の木造プレハブの解体費用相場は13万円ほどなので、多少の追加費用があっても自力で解体したほうが安くすみます。
プレハブ解体の手順
個人でプレハブを解体する際も、基本的に業者が行う作業と同じ手順です。
0、近隣への挨拶
工期やどのような迷惑をかけそうかという部分も近所の人に事前に説明しておきましょう。
1、屋根の撤去
まずはトタンなどの屋根材を剥がします。
屋根材を固定しているネジなどを外す、設置部分をバールで剥がすなどの作業です。
年季が入っていると、屋根が腐食し体重を支えられずに抜けてしまうことがあるので気をつけましょう。
また、屋根を剥がすと建物が不安定になることもあるので注意しましょう。
2、壁の撤去
外壁を取り除き、骨組みだけの状態にしましょう。
骨組みは上部の横木などから順に取り除いていきます。
3、床の撤去
外壁や柱の撤去が終わってから、床材を剥がしましょう。
4、基礎の撤去
コンクリートブロックを敷いただけの簡易な基礎なら、ブロックをハンマーで砕いて撤去しましょう。
問題は基礎が土間コンクリートの場合です。
※土間コンクリート……地面をコンクリートで舗装する施工方法です。一般的な家庭では駐車スペースなどを土間コンクリートにしているケースが多いです。
土間コンクリートの場合「はつり機」という専用の工具が必要になります。
その場合は解体業者に依頼するのをオススメします。
プレハブは自分で解体するよりも業者に頼むほうがオススメ
プレハブの解体は自力でもできますが、簡単そうに見えて意外と労力がかかります。
単に建物を解体するだけでも手間がかかる上に、事前の調査、廃材処分などを考えると多少料金がかかっても業者に依頼するほうが得策です。
特に業者に頼んだほうが良いのはDIYなどに不慣れな方、解体したいプレハブが大きい方です。
慣れない道具などを使うとリスクも高い上に、建物の解体は難易度が低いとは言えないので、不安に感じたら業者に頼みましょう。
中途半端に手を付けてから依頼すると、かえって料金が高くなることもあるので、頼むなら始めから頼んだほうが得です。
解体したいプレハブが大きい場合も、個人では無理があるので業者に依頼するのが懸命です。
これらに該当しない場合も、難しい、不安だと感じたら無理せずに業者に依頼しましょう。
個人で解体する場合は、自身のスキル・予算・解体したいプレハブの状況など、様々な要素を考慮し、安全に気をつけて行ってください。
▼この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。