プレハブというと、「仮設の建物」というイメージが大きいですよね。工事現場での仮設事務所、倉庫などとして使われているのをよく見かけるため、安価で期間限定の間に合わせの建物、と思われることが多いでしょう。しかし実は、プレハブということばは「Prefabricated(既に制作された)」という意味から取られていて、工法が違うだけでほかの住宅とそこまで大きな差はない、という意外な事実があるのです。それもあって、近年はプレハブに「住む」という目的で購入されることも多くなっています。
今回は、プレハブ住宅についてさまざまな観点から解説していきます。
プレハブ住宅の魅力とは
プレハブとは、前述したように「Prefabricated(プレファブリケーテッド)」ということばが語源です。建築現場の事務所や倉庫などとしての仮設建物という使われ方が一般的だと思われるでしょう。
近年はプレハブに住むことを目的として、個人でも購入されることが増えています。プレハブ住宅は、もとのイメージからして現地で既製品を組み立てるという構造で、壁が薄く、外へ筒抜け、というのが特徴だと思われがちです。
しかし、最近では高い断熱性をもったプレハブ住宅も増えてきていて、豊富なバリエーションを展開しています。バリアフリー構造やロフト設置、吹きぬけ構造など、一般的な住宅と何ら変わりない希望に応じてくれることも可能となっているのです。
グレードを上げれば、一般的な住宅となんら変わらずに生活を営むことができて、なおかつ一般的な住宅にはないメリットも持ち合わせているのが、プレハブ住宅なのです。
プレハブに住むメリット
プレハブを住宅として選ぶ人が増えているというからには、プレハブには一般住宅と比較してメリットがあるということです。どのようなことで、利点を感じられるのでしょうか。
メリット①工期や初期費用を抑えられる
通常の住宅は、部品の制作や施工をすべて建築現場で行いますが、プレハブ住宅は工場で生産したものを現地で組み立てます。それによって、一般の工法に比べて、施工に携わる多数の人件費をカットでき、工期も大幅に短縮することができます。
つまり、プレハブ住宅を購入する側にとっても、一般住宅に比べて遙かに安価で購入できるというメリットにつながるのです。
メリット②品質にばらつきがない
工場で生産された部品を組み立てるというプレハブ住宅の工法のメリットは、大きな失敗をする可能性が少ないことです。
部材や製造方法、組立てが画一化されていることによって、一般住宅のように、職人や業者によって必要な費用や技術の差が大きくなるという不安が小さくなるのです。
一般住宅には、時折「欠陥住宅」と呼ばれるものが現れてしまいますが、あれは職人や業者の「当たりはずれ」によるところも大きく関係します。つまり、ヒューマンエラーの発生が原因であることが多いのです。
しかし、プレハブ住宅の場合は工法上、部品の組み立てでミスが起きることはほとんどないといえます。
プレハブに住むデメリット
プレハブ住宅のデメリットは、改善されているとはいえまだまだ根強く残っています。これからさらなる改良が進むことに期待しつつ、どのようなデメリットが存在しているかを知っておきましょう。
デメリット①気密・断熱に問題がある
ここはプレハブのもともとのイメージ通りといえる部分ですが、壁が薄いため夏は暑くて冬は寒いのではないか、という不安がぬぐえない方は多いでしょう。たしかに、最大の弱点は「気密性・断熱性の不足」です。一般住宅と比較してこれらに問題があるのは間違いありません。
しかし、もっとも大きな弱点であるということは、それだけ改良の余地があるということです。現に近年は劇的に気密性・断熱性が改善されたタイプのプレハブ住宅がどんどん登場してきています。
これからのさらなる進歩に期待したい部分でもありますね。
デメリット②土地の形状により希望通りの広さが得られないことがある
注文住宅は敷地の大きさや形状を考慮して、物件を建てることができます。プレハブ住宅は統一された部材を使うので、その土地の形状に合わせて柔軟に形を変えることに不向きです。
三角地や狭小地、斜線制限のある土地などには、住む目的でのプレハブを建てることに制限がある、というケースも多いため、プレハブ住宅を考えるなら土地選びから非常に重要になってくるのです。
デメリット③注文住宅のような要望に応えることや大規模なリフォームは難しい
プレハブに住む時は、建築基準法によって、建ぺい率や容積率、道路と敷地の関係などで制限されています。そのため、建築済みのプレハブ住宅は自由にリフォームできない場合が多く、また決行したとしても、費用が高くなる場合があります。
プレハブ住宅は既製品を組み立てるので、一般住宅とは違って相談しても柔軟に変更することができない可能性が高いです。
施工業者もプレハブ住宅しか請け負っていない可能性が高いでしょう。一般的な注文住宅と同じ感覚で相談しても、プレハブに住む上での理解はしてもらえない場合もあるかもしれません。
プレハブに住む時に覚えておきたい購入のポイント
プレハブに住む上で、ポイントとなってくるのは設備やインフラ、建築基準法の制限になる建物であることです。また、値段に関して参考になってくる材質、坪単価などについても解説します。
プレハブ住宅の値段
一般的にプレハブ住宅の値段は、材質や、坪単価で相場が決まっており、安価なもので5~20万円です。
プレハブに住むことを考慮しているのなら、坪単価で65~90万位の価格帯となっており、材質もさまざまなものがあります。主に鉄鋼系とユニット系、木質系やコンクリート系などから用途に応じて、考慮する必要があります。
そして、トラックで運送する距離によって、費用が高くなる可能性があります。また、地方ブロック単位(九州全域、東北地方全域など)で、限定して販売していることもあります。
プレハブ住宅の購入方法
プレハブに住む事に関して対応している、大手ハウスメーカーから選択することが一般的です。主にダイワハウスや、積水ハウスなどが挙げられます。他にもセキスイハイムやミサワホーム、大成建設ハウジングなどがあります。
プレハブの施工業者の中には、倉庫や建築現場などを専門とするところもありますので、注意してください。
建築確認申請が必要なケースを確認
プレハブに住む時は建築基準法の制限があるので、法律違反にならないために、以下のケースを参考にしましょう。また、詳しい内容は、各自治体へ事前に相談しておく必要があります。
- 都市計画区域、または準都市計画区域に建築するケース
- プレハブに住む上で新築するケース
- 防災地域、または準防災地域に指定されるエリアで増築するケース
- 10㎡を超えるプレハブ住宅を建築するケース
「基礎」の有無が固定資産税に影響
プレハブに住む上で固定資産税の課税対象は、基礎の有無によります。ただし、積んだブロックの上に建築することで構造物扱いにして、課税対象を免れる方法もあります。
しかし、当然ではありますが基礎がないので、耐震性はかなり弱くなってしまうということを考慮しておく必要があります。倉庫として使用するなら問題ないかもしれませんが、プレハブに住むことを考慮するならオススメはできません。
設備やインフラの整備にも費用がかかる
プレハブに住む上で、電気設備や給排水設備は必須ですが、プレハブの値段とは別途で費用がかかるので注意しましょう。そのため、プレハブに住む上で建築する際は、別途かかる費用もシミュレーションした上で検討する必要があります。
プレハブ住宅を解体する際のポイント
プレハブの解体には、建設リサイクル法の届け出と調査が必要です。解体するプレハブが登記されている場合は、解体工事完了後に建物滅失登記を行う必要もあります。これは取り壊しから、1ヶ月以内に行わなければなりません。
解体手順は一般家屋とあまり変わらない
まずは解体業者を選定してからの見積もりですが、複数の業者に依頼して、金額を提示してもらいましょう。
現場での立ち合いは、必須です。主には、現場での作業スペースや、作業車両の出入りができるかなど、業者と打ち合わせする必要があるでしょう。
配線の撤去に関しては、ガスや電気の停止です。特にガスの停止は業者の立ち合いが必要になるので、必ず事前に済ましておきましょう。
水道については、作業中に利用することも考えられるので、解体業者と相談して決めます。基本的に水道は工事がすべて終了してから停止するのが、一般的です。
解体費用の相場
基本的には材質によって異なり、鉄骨コンクリートよりは木造の方が作業しやすいので、相場は安くなります。1坪あたりで費用相場を決めるのが一般的です。
材質 | 費用相場(1坪あたり) |
---|---|
木造 | 2万円~4万円 |
軽量鉄骨造 | 2万5,000~4万円 |
鉄骨造 | 2万円~4万5,000円 |
鉄筋コンクリート造 | 3万円~6万円 |
上記は大まかな目安であり、業者によって値段は多少変動する可能性があります。鉄筋コンクリートは手間がかかる面もありますが、リサイクルできる廃材が少なくて、相場が高くなる傾向があります。
解体せずに活用する方法も
主には、貸し出しか、売却となります。倉庫や集会所、プレハブに住むなどの用途として、貸し出すことにより所有者は賃料を得ることができます。
売却もおすすめです。場合によっては無償で提供することになってしまうかもしれませんが、どちらにしても、解体するための費用や手間は省くことができます。個人では難しくても、各自治体や企業を相手に、倉庫などの用途で買い取ってくれるケースもあります。
プレハブに住むメリットやデメリットを覚えておこう!
プレハブに住むことでのデメリットは、一般住宅に比べて値段相応で、性能が劣る場合が多いことでしょう。
しかし、一般住宅はどうしても値段が高くなります。新築で注文次第となると選択できる人は限られてくるのではないでしょうか?
プレハブに住むのなら、一般住宅より遙かに安い値段から注文できます。また、カスタマイズ次第では見た目もオシャレにして快適にすることは十分可能です。最低限の値段で住まいを求めることができます。これこそが、プレハブに住むことを選択する最大のメリットと言えるでしょう。