家屋の建替えを行う際には、解体工事費用なども含め、まとまった費用が必要になります。古い家やアパートなどを解体して建替えるとき、どういった補助金が使えるのか確認しておきましょう。
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建替えで補助金を受給できる理由
古い家を建替えることは、所有者の個人的な事情だけでなく、その家屋の所在地にも大きな影響を与えます。そのため、自治体は家屋の建替えの際に利用できるさまざまな補助金を用意しているのです。
ここでは、それぞれの理由を詳しく紹介します。
街並みに大きく影響するため
古い空き家や、老朽化して倒壊の恐れがあるブロック塀などは、街並みにも大きく影響します。
景観のみならず、人が誰も住んでいない空き家は放火などの犯罪の温床となったり、劣化して倒壊したブロック塀で事故が起きたり、という安全面にも悪影響があるのです。
生け垣や緑化工事など、美しい街並みを保つための工事にも補助金が用意されていることもあります。
経済効果が高いと見込まれるため
家屋の建替えで新居を建築する際に、住宅の断熱性や省エネ性能の高い「ゼロエネルギーハウス(ZEH)」や太陽光発電を導入してもらうことにより、住宅メーカーや機器製造企業への需要も高まり、経済効果も上がることが期待されます。
したがって、自治体はこういった省エネ住宅の推進のためにも、建替えのための補助金を打ち出しているのです。
建替えに伴う住宅の解体で受けられる補助金
建替えの際に利用できる補助金にはいくつかカテゴリーがあり、すべて自治体が工事費用の一部を負担してくれるものです。
まずは住宅の建替えの際の「解体工事で利用できる補助金」について見ていきましょう。
家屋の解体費用の補助金
これは、各自治体が行っている、住居の解体費用の一部を補助するものです。
「解体費用助成金」「老朽木造家屋解体補助金」「危険家屋解体補助金」など、自治体によって名称や受給条件・上限額などは異なりますが、街の景観を損ねたり、不法投棄など周辺の地域に悪影響を及ぼす恐れがある場合、解体費用の一部を助成するもの、という方向性はどこの自治体でもほぼ同様となっています。
ブロック塀解体費用の補助金
2018年大阪北部地震の際にブロック塀の倒壊が起き、大きな事故につながりました。この事故の反省を活かし、全国でブロック塀の調査が行われ、その結果大型地震によって倒壊する危険性のあるブロック塀が、多数発見されたのです。
このことから、対策の一つとして、ブロック塀を解体除去するための補助金が出るようになりました。コンクリートブロック・レンガ・石などで作られた1m以上の高さの塀が対象であり、その他細かい点は自治体ごとに異なります。
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建替え・新築住宅に対して受けられる補助金
木造住宅の耐震建替え補助金
建替えや新築住宅に対して受けられる補助金として、木造住宅建替えのものがあります。
昭和56年5月以前に建てられた木造住宅で、耐震診断の評点が1.0未満であるもの、という条件を設定している自治体がほとんどです。
こちらも自治体ごとに補助金内容が異なっており、耐震診断費用が全額支給されたり、建替え費用として200万円ほど補助されたり、などさまざまです。建物が建てられた年度を確認し、古い家の場合は補助金を申請して建替えましょう。
すまい給付金
すまい給付金は、消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設された制度です。
対象条件などは、毎年変更になることが多いため、最新の情報は常に公式ホームページで確認するのがよいでしょう。年々緩和されている条件もあるので、相談窓口をどんどん活用して、情報を得ることをおすすめします。
ZEH補助金
近年は環境対策に関するさまざまな話題が注目を集めています。省エネ住宅の補助金としては、ZEH補助金にも注目しましょう。
ZEHは「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」のことで、再生可能エネルギーの導入により、年間の一次エネルギー収支をゼロにする建物です。
ZEHビルダーやプランナーとして登録されている施工会社を利用して新築を建てると、補助金が出ます。
ZEH補助金も、毎年少しずつ受給要件が変更されています。非常に細かいため、こちらも常に最新情報を収集しながら検討するのがよいでしょう。
地域型住宅グリーン化事業補助金
ZEHと同じように、地球環境に配慮した住宅として、地域型住宅グリーン化事業補助金というものがあります。
省エネルギー性や耐久性が評価された住宅が受けられる制度で、建替えの際にうまく活用しましょう。
こちらも毎年要項が変わるため、やはり最新情報の収集が不可欠です。
マンションの建替えに対する補助金
マンションの建替えにも補助金があります。代表的なものとして、国土交通省の補助金です。優良建築物等整備事業、都心共同住宅供給事業、都市再生住宅制度などがあります。
融資では住宅金融公庫融資、債務保証では組合再開発促進基金による債務補償制度などがあるので、相談窓口を利用するのがおすすめです。
自分の管理するマンションを建替える際に、補助金を使って負担を軽減しましょう。
病院の建替えに対する補助金
私立病院などを経営していて、病院の建替えを検討している場合は、厚労省や自治体の窓口に確認してください。
たとえば、医療施設等施設整備費補助金などが利用できます。いくつかの対象となる項目があり、自分の病院が該当するかチェックしましょう。へき地診療所、過疎地域等特定診療所、臨床研修病院、産科医療期間施設整備事業などが該当します。
幼稚園や保育園の建替えに対する補助金
幼稚園や保育園も、耐震などを考えて建替えを検討する際には、国や自治体の助成制度が受けられます。保育園や保育所では、駅前などにある既存の施設を利用する場合、準備費用として補助金が出るのです。
また、地方自治体の補助として、耐震や修繕、解体・撤去に補助金が出ます。厚生労働省や文部科学省の窓口に相談して、建替えに対する補助金を受けましょう。
住宅の建替えの際に設備を設置すると受けられる補助金
家庭用燃料電池システムの導入助成金
家庭用燃料電池システムの導入助成金は、エネファーム設置補助金制度とも呼ばれ、指定された機器やシステムを導入する場合に支給されるものです。
支給要件は、日本在住の者が補助対象システム工事費用を支払うこと、工事完了日から6年以上継続使用することなどです。また、対象機器などは指定された製品に限ります。
雨水タンクの設置助成金
少し珍しいところでは、雨水タンクの設置にも補助金が出ます。雨水タンクは、雨水を溜めて散水などに利用する設備です。
雨水タンクの設置助成金は、建替えに伴って、新たに雨水タンクを設置する場合の工事費用の一部を補てんする補助金で、雨水タンク1台に対して支給されます。
合併浄化槽の設置助成金
下水が無い地域で利用される家庭用下水処理設備を、合併浄化槽といいます。排水を微生物の働きで浄化し、きれいな水に戻してから流すのが目的です。
山に土地を購入して新築を建てる場合、こういった設備が必要な可能性があります。
合併浄化槽の補助金は、下水道法で下水の整備が予定されていない地域であることが条件です。
古い家に見られるものですが、重要な設備です。もし、古い家を購入してリフォームする際に、合併浄化槽を新しくする際は活用しましょう。
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太陽光発電導入の助成金
住宅にソーラーパネルを設置する家が増えているのを受け、こちらにも補助金が導入されてます。
太陽光発電の助成金は、太陽光発電システムを設置する場合、工事費用の一部を補てんするものです。
省エネ給湯器の導入助成金
省エネ給湯器の導入助成金は、省エネ給湯器を導入する場合、工事費用の一部を補てんするものです。
新しく建て替えるときに、省エネ給湯器の導入を検討しましょう。
注意点としては、給湯器だけでなく、他の省エネ機器と同時導入が条件になっていることが多いです。補助金は、1~3万円ほどになっています。
エコキュートなどの省エネ給湯機器を導入する費用の一部を補助するもので、1台についての支給となります。
壁面や屋上緑化の助成金
壁面や屋上緑化の助成金は、屋上やベランダ・壁面に緑化を施す工事費用の一部を補てんするものです。
屋上やベランダに、最低1㎡以上の緑化スペースを作り樹木などを栽培した場合、などの条件がつきます。壁面につる性植物を這わせたものも対象となることがあります。
生け垣の設置補助金
住宅の周辺に生垣を設置する際、補助金が受けられることがあります。
道に接している生垣の長さが3m以上かつ、道から3m以内の敷地に設置する必要がある、設置後5年以上、接道緑化として活用される、などといった条件があります。
建替えの際に生垣を設置する場合、自治体の情報をチェックしましょう。
生け垣は、道路を通行する方々の心をなごませることから、緑化による街づくりのために期待されています。樹木の高さや生け垣の長さなど、自治体の条件を満たしていれば支給の対象となります。
建替えの際に受けられるその他の補助金
転入に係る補助金
転入に係るものも活用しましょう。その中で注目なのは、過疎地域の村起こしで使われる転入助成金です。少子高齢化が進み、田舎では若い世帯が減少しています。少しでもIターンやUターンをしてもらうために、自治体がお金を出しているのです。
地方によりますが、新築住宅を建てると30万円、新婚世帯と子育て世帯には10万円が追加される制度が存在しています。
注意点として、基本的に外部から転入することが条件である点です。通常の建替えでは利用できないので、注意しましょう。
その他の自治体による補助金制度例
自治体ごとに珍しい制度も存在します。東京都品川区では、生ごみ処理機を設置すると補助金が受けられるというものがありました。対象となるのは、バイオ式や炭化式の電気ごみ処理機です。
いわゆる、ディスポーザー敷きは該当しないので注意しましょう。そして、品川区内で住宅を建て替えて居住するのが条件です。この条件に該当する場合、本体購入価格の3分の1、6万円を超える場合は2万円まで支給されました。制度を利用するときは最新のものをチェックしてください。
住まいの建替えの際は補助金を活用しよう
住宅の建替えを実施する際には、国や地方自治体からさまざまな補助金が支給されます。
自治体ごとの補助金制度を活用し、建替えにかかる費用を抑えるのがおすすめです。建替え時に使えるもの、設備を導入する際に使えるものなどを有効活用しましょう。
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