相続登記・名義変更前の家は解体できる?工事の注意点や流れ、費用の解説!

解体工事

「相続登記・名義変更が終わっていないけど、家の解体工事を進めたい」というのは解体工事の中でもよくある質問です。祖父母が亡くなり何年も空き家になっている、ご両親が認知症などで判断能力がなくなっているといった際に考えられる事例でしょう。

特に、長期間に渡って空き家になっていた場合、所有者の名義が誰なのか分からず手をつけられないといったことも。しかし、相続財産の管理責任がある場合に放置を続けるのは大きなリスクです。

今回は、相続登記、名義変更前の空き家を解体することができるのかについて解説していきます。あわせて、注意点や流れについてもお伝えしていきます。

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相続登記・名義変更前(相続手続き前)の空き家でも解体はできる

結論から言うと、相続登記・名義変更前の状態であっても空き家の解体は可能です。解体を行いたい人と相続人が同一である必要はありません.

ただし、後述する「建物滅失登記」は相続人でなければできません。後々のトラブルを避けるためにも、登記簿を確認して誰の名義で相続人が誰になるのかを把握しておく必要があります。

遺言書がない場合の財産は相続人全員の財産です。相続人同士の了承を得ずに解体してしまうと、解体の事実を知らなかった相続人とトラブルに発展することも。

そのため、解体を検討する際は、相続人できちんと協議をして全員の同意を得てから行うと良いでしょう。建物の名義人が決まったら遺産分割協議書(相続人全員の印鑑証明書付き)を作成することをおすすめします。

相続登記・名義変更前の空き家を解体する際の注意点

上記に解説した通り、相続登記・名義変更前の空き家であっても解体をすることは可能です。しかし、注意すべきポイントや行わなければならないポイントもあります。相続登記、名義変更前に解体を検討する際には以下の項目に注意してください。

・相続人の名義を確認する

まず、意外とありがちなケースとして、両親の名義だと思っていた建物が実は祖父母名義であったケース。このような場合には相続の権利が複数人になるので、手続きや協議が複雑化します。

・解体を検討している建物の住宅ローン残高を事前に把握しておく

住宅ローンが残っている場合には金融機関などが建物の抵当権を持っている可能性があります。その場合には、抵当権者の承諾なく解体はできません。

・建物解体後、1カ月以内に建物滅失登記をしなければならない

建物滅失登記を行わないと、10万円以下の罰則金を科される場合があります。また、固定資産税も課税され続けるので、必ず建物滅失登記は行いましょう。

解体業者にとって相続登記・名義変更前の解体はよくある相談なので慣れている

解体を検討する際に、解体業者へ複雑な説明をするのが煩わしく感じるかもしれませんが、心配はいりません。解体業者にとってはむしろよくある事例の1つなのです。

多くの解体業者は「両親が亡くなったので、家を解体したい」と伝えるだけでスムーズに工事を進行してくれます。もちろん、依頼をするのも、工事の費用を負担するのも相続人でなくても大丈夫です。

例えば、実際にあった事例として、相続登記前の状況が

・土地の所有者はAさん、高齢男性

・空き家の所有者はBさん(亡くなっている)

当初は空き家を売却する予定でしたが、相続登記をしておらず、遠方なことから体力的負担や登記にかかる金銭的負担がとても大きいことが判明。そのため、こちらのケースでは、空き家を解体し更地にすることで相続登記をせずに売却し、手続きに掛かる費用や負担を大幅に削れました。

上記のようなさまざまな経験を踏まえ、どのような流れで工事が進むのか、どういった手続きをするべきなのかまで案内をしてくれるはずです。まずは、気軽にご相談をしてみてはいかがでしょうか。

相続登記・名義変更前の空き家を解体する際の流れを解説

相続登記・名義変更前の空き家の解体工事であっても基本的な工事の流れは通常とほとんど変わりません。基本的な流れとしては以下の手順で進めていきます。

相続人が誰であるか把握し、複数人の場合は全員の同意を得る

相続登記前でも解体工事自体は可能ですが、建物滅失登記ができるのは相続人だけです。相続人が誰であるか確認し、複数人の場合は全員の同意を得てから工事に進みましょう。

解体業者を探す

相続人同士で解体をすることの確認がとれたら解体業者を探していきましょう。解体業者に依頼する際には相続人ではないことを伝える必要はありませんが、工事の流れについて不安であれば相談をしてみると良いでしょう。

電気やガス、水道などのライフラインを停止する

解体業者が決まり、工事へ進む際に電気やガス、水道などの契約が残っている際には停止する手続きを行います。ただし、水道に関しては工事に使うことが多いので解体工事が済んでから停止をするのが一般的です。

・建物滅失登記をする

解体作業が終了したら、建物がなくなったことを証明する「建物滅失登記」を行います。こちらの手続は相続人でなければできません。

建物滅失登記に必要な書類は、登記申請書や住宅のあった場所を示す地図、解体業者が発行する取り壊し申請書、解体業者の印鑑証明書などが必要です。

上記までのおおよその流れを把握しておくことで、工事をスムーズに進めることができるでしょう。

解体費用は管理責任がある相続人で負担する!相続人同士でよく話し合いを

解体工事を行うにはある程度まとまった金額が必要になり、一般住宅でも100万円以上はかかってしまいます。解体にかかる大きな金額を負担する義務があるのは空き家や土地の管理責任がある相続人です。

しかし、相続人が複数いる場合、具体的に誰が支払うのか法的に決まっているわけではありません。そのため、相続人同士でよく話し合って誰が負担するのかをはっきりと決めておく必要があります。

よく見られる事例としては、負担金額を兄弟や親戚など相続人の人数で割ってそれぞれが分担して支払う方法です。もしくは、解体して更地にした後の土地を活用する予定がある相続人が負担することも見られます。

それぞれがどの程度負担するのかをあらかじめはっきりと決めておかないと、後々トラブルに発展する恐れがあります。全員が納得できるように、よく話し合って決めましょう。

特定空き家、更地は固定資産税が6倍!しかし、要件を満たせば3,000万円の特別控除が受けられる

倒壊などの危険性がある特定空き家は住宅用地の軽減措置が受けられなくなるため、通常の住宅の6倍もの固定資産税を支払わなければなりません。さらに、解体後に更地にした場合であっても、住宅用地軽減措置がなく税金の負担額が跳ね上がります。

しかし、相続した家や土地が要件を満たしていれば3,000万円の特別控除を受けることが可能です。国土交通省は以下のように記載をしています。

 相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む。)又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除します。

 また、平成31年度税制改正要望の結果、本特例措置については2019年12月31日までとされていた適用期間が2023年12月31日までに延長されることとなり、特例の対象となる相続した家屋についても、これまで被相続人が相続の開始直前において居住していたことが必要でしたが、老人ホーム等に入居していた場合(一定要件を満たした場合に限ります。)も対象に加わることとなりました。

引用:国土交通省

空き家が放置状態になってしまう場合や更地にして売却を行いたいと考えてる人はぜひ当てはまるかの確認をしてください。こちらは「両親が亡くなってから3年以上放置」してしまうと控除を受けられないのでご注意ください。

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まとめ:相続登記・名義変更前の空き家も解体は可能!

今回は、相続登記・名義変更前の土地であっても解体はできるということについて解説をしました。解体業者にとっても珍しいケースではないため問題なく工事は進められるといえるでしょう。

ただし、相続登記前・名義変更前の解体にあたる際には、そもそも解体ができないケースや後々のトラブルを避けるために注意しなければならないポイントもあります。特に確認をしておきたいポイントは以下の通りです。

・相続人の名義を確認して、誰が相続人かを確認する

・建物の抵当権を金融機関が持っている場合には許可なく解体できない

・建物解体後、1カ月以内に建物滅失登記をしなければならない

上記のポイントは必ず確認してから親族間同士の協議へ入りましょう。やはり、相続人同士で一番重要視しなければならないのは「話し合い」です。

話し合いをおろそかにしてしまうと、厄介なトラブルで精神的にも金銭的にも疲弊してしまうことがあるので、よく話し合い全員が納得をしてから進めていきましょう。

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