80坪の家の解体費用っていくらくらい?
解体費用は坪単価の相場に延べ床面積をかけ、付随する工事費を加えた金額です。建物の大きさが影響しない費用が含まれることから、規模の大きい建物は小さい建物より坪単価が低くなります。つまり30坪よりも80坪の家は坪単価が安いのです。
解体費用を計算する際の坪単価には地域差があり、場所により補助制度も設けられているため、80坪の家の解体でかかる費用には幅があるでしょう。
家の解体費用を左右する主な要因
家の解体費用は、解体に関わるさまざまなことに影響されるため金額が変わります。合計坪数が同一の物件でも、同じ金額で解体できるとは限りません。
ここでは解体費用を左右する主な要因を4つ紹介します。
解体を行う業者
どの解体業者を選ぶかによって、解体費用は変わります。各業者によって解体費用に差があるのは解体工事の内容や方法、費用に含む利益率が異なるためです。
中には建物の解体費用のみを最初に提示し、工事終了後その他にかかった費用をプラスして、見積もりよりも高い金額を請求してくる業者も見られます。そのため契約前に詳細な見積もりを出し、説明を怠らない信頼のおける業者を選ぶことが大切です。
付随する工事の費用
解体工事では建物本体を解体する工事費以外に仮設工事費、建物及び敷地内にある物の撤去にかかる付帯工事費などが発生するでしょう。
解体工事では、粉塵や機械による振動の防止として養生シートで囲って、周囲に迷惑をかけないように配慮します。他にも、適切な工事をするために必要な準備にかかる費用は、仮設工事費や敷地内の庭の樹木、門、ブロック塀などを撤去する費用などがあります。
建物の立地
解体する建物の周辺環境によっても、解体工事費は異なります。隣接する建物と離れていれば重機で解体を進められますが、距離が近い住宅密集地ではスペースの確保や近隣への騒音、振動の問題から解体に必要な重機を現場に入れられない可能性が高いでしょう。
重機が使えない場所では、解体作業を人の手によって行わなければなりません。作業員の数が多めに必要となるため、重機に比べて時間がかかる分人件費は上がります。
建物の構造
建物は、使用されている材料によって解体しやすさや排出される廃棄物の量が異なるため、構造も費用に関係してきます。
固い材料を使う構造は、重機での解体が主になるため解体費用が高めです。反対に木材を使用した建物は重機を使用する機会が少なく、費用があまりかかりません。コンクリートや金属くずなど、廃棄物が多い鉄骨や鉄筋コンクリート構造に比べて処分する物も少ないでしょう。
80坪の家の解体費用の相場
地域による坪単価の違いはありますが、見積もり金額が妥当かどうか判断するには相場を知っておく必要があるでしょう。解体費用の相場は家の造りで違います。
ここでは、80坪の家を解体するときの費用相場を構造別に見ていきましょう。
鉄筋コンクリート造の場合
頑丈な鉄筋コンクリート造の家は解体に時間ががかかり、廃棄物量も多めです。そのため他の構造に比べると、解体費用は高くなるでしょう。
解体方法には、騒音や振動が控えめな圧砕機解体工法やスピーディーに作業できる大型ブレーカー工法などが用いられます。重機を使用するため、80坪の家の解体相場は200万円~600万円程度になるでしょう。
鉄骨造の場合
骨組みの部分に鉄骨を使用した鉄骨造の一般住宅は軽量鉄骨を採用している場合が多いでしょう。鉄骨造の家の解体費用は80坪の場合、相場が200万円台後半から~500万円台後半です。
解体は効率の良い鉄骨切断カッター工法や重機なしでも可能なガス切断工法などで行い、工期は木造よりも長くなるでしょう。鉄骨造の廃棄物には鉄骨と、他の構造よりも多いコンクリートが含まれています。
木造の場合
木造住宅の解体費用は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造よりもかかりません。80坪の家で200万円~500万円程度が相場と言われています。
木造住宅の主な工法は、在来工法(木造軸組工法)と2×4(ツーバイフォー)工法の2種類です。在来工法はあまり時間をかけずに解体可能ですが、頑丈な2×4は解体に労力を要し廃棄物も多いことから、費用は若干高めになるとされています。
80坪の家の解体費用の内訳
解体費用の相場を把握できたら、次にどのような費用が発生するのか、解体費用の多くを占めているのは何かを理解できるよう内訳について見ていきましょう。
ここからは、80坪の家を解体する際にかかる費用を項目ごとに解説します。
解体工事の費用
解体工事の費用は解体費用全体で2番目に多く、30%~40%程度を占めると言われています。解体工事の項目に入るのは、工事で使用する重機のリース代金や人件費など、家屋の解体に必要な費用などです。
重機と作業員にかかる費用のバランスは一定ではありません。重機を利用できずに手作業での解体がメインになると、人件費は上がります。
仮設工事の費用
仮設工事の費用が占める割合は全体の10%~20%程度になると言われています。80坪の家の仮設工事に含まれるのは、解体工事をする上で必須となる足場材や養生シート、散水設備など養生に関する物です。
養生の仕方は立地によって変わるため、同じ規模の家であっても仮設工事の費用が同程度とは限らないでしょう。近隣とのトラブルを避けるためには、費用をかけて工事の準備を万全にしておくことが大切です。
整地の費用
解体後に、整地にするためにかかる費用の割合は全体の10%前後です。解体した土地に家を建てられるよう、平らできれいな状態するのが整地ですが、解体業者によっては、大きめの石や破片を拾わずにならして作業を終らせてしまう場合があります。
特別な理由がない限り、一度掘り起こして余分な物を取り除いて整地しないと建築前に除去作業が必要になり、余分な費用が発生する可能性があるでしょう。
廃棄物の処分費用
解体費用の中で占める割合が大きくなるのは、廃棄物の処分費用です。全体の40%~50%程度と半分近くを占めます。廃棄処分費だけが極端に少ない業者は、正しくに廃棄していないおそれがあるでしょう。
解体工事で発生する廃棄物は、産業廃棄物として適正な処理が必要です。種類によって単価が決まっており、項目ごとに計算されます。単価は均一化されていないため、同じ廃棄物でも自治体によって金額が変わるでしょう。
その他諸経費
その他の諸経費の割合は、全体の10%程度になるでしょう。諸経費には駐車場の料金、近隣への挨拶時に手渡す品物の代金、申請書類の作成費などが含まれます。道路使用許可を申請すれば路上駐車が可能ですが、安全上難しいときは駐車場が必要です。
諸経費の項目が細かく示されておらず、目安より明らかに金額が高い場合は、含まれる内容について解体業者に尋ねてみましょう。
80坪の家を解体する流れ
80坪の家の解体は、事前準備をすませてから解体工事に入り、終了後に整地するのが主な流れです。最初に、現地調査によって出された見積もりをチェックし、業者を決めて契約します。
建物の解体前は近隣への挨拶、ライフライン停止の手続きなどが必要です。その後、足場や養生の設置や不要物の撤去してから家を解体に入ります。解体後、排出された廃材を分別処理し土地の整地が終わると工事完了です。
解体費用を抑えるためのポイント
プロへ依頼せずに、できることを自分で行うと費用は抑えられます。他にも業者選びや制度の活用などに工夫すると、本来かかる解体費用を削れる可能性があるでしょう。
ここからは、80坪の家の解体費用を抑えて支払い金額を少なくするためのポイントを6つ紹介します。
- 役所の手続きを自分で行う
- 複数の業者に見積もりしてもらう
- 地方自治体の補助金制度を利用する
- 樹木や雑草を処分しておく
- 不用品を処分しておく
- 重機を揃えている業者を選ぶ
役所の手続きを自分で行う
役所へ提出する書類は、自分で作成して手続きすることで費用を抑えられます。解体工事の発注者に届出義務がある書類は、建設リサイクル法の届出、アスベストを除去するために必要な、特定粉じん排出等作業実施の届出、建物滅失登記の3つです。
建物滅失登記は土地家屋調査士へ代行を依頼でき、他の2つも委任状によって解体業者に代行をお願いできます。自分で行えば、代行の依頼で発生する費用がかかりません。
複数の業者に見積もりしてもらう
解体工事をする際は、複数の業者から見積もりを取って比較しましょう。同じ80坪の家の見積もりであっても、工事内容や利益率の違いなどによって金額に差が出ます。
見積金額が安い場合、追加の費用が多く発生し、最終的な支払い額が大幅に増えてしまう場合もあります。提示された金額のみでなく、作業内容とかかる費用を細かくチェックし、任せられる業者を選んで依頼すれば、費用を抑えられる可能性は高いでしょう。
地方自治体の補助金制度を利用する
地方自治体の補助金制度を利用すると、解体費用を軽減できる場合があるでしょう。補助金の対象となるのは空き家または、一定条件を満たしている居住中の家屋です。補助金制度の有無、どちらの制度を設けているかは自治体ごとに違います。
補助金の金額や適用条件も一律ではありません。補助金を利用して解体費用を抑えたいときは、解体する建物が所在している自治体のサイトで確かめてみましょう。また、上限が決められているため、早めに確認しておくことをおすすめします。
樹木や雑草を処分しておく
庭にある樹木や雑草は自分で処分しておきましょう。樹木や雑草の撤去も解体業者に依頼できますが、作業してもらえば付帯工事費や人件費が加算されます。
樹齢の長い大きな木を伐採するのは難しいですが、手持ちの道具がある場合は、できる分だけでも自分で処分しておくと良いでしょう。自治体によりますが、木や枝はある程度の長さに切りそろえてまとめれば、収集してもらうことも可能です。
不用品を処分しておく
手間はかかりますが、解体前に家の中にある不用品を自分で処分しておくことも、費用を抑えるポイントです。解体業者に依頼すれば費用が発生する他、産業廃棄物として処理されることで処分費が高くなります。
自分で捨てれば、家庭ゴミとして収集してもらえる物は処分可能です。リサイクルショップやオークションサイト、フリマアプリも活用すると、不用品を現金化できる可能性もあるでしょう。
重機を揃えている業者を選ぶ
解体業者を選ぶ際は、工事の期間だけ現場に合う重機を借りて対応している業者ではなく、自社で重機を揃えているところを選びます。重機を保有している業者に依頼すれば、レンタル費用を支払わずにすむためです。
レンタル費用は、基本料金と1日当たりの費用を足した金額です。レンタル会社を利用する以外に、別の会社から重機を借りるケースもありますが、自社で保有していない限り、借りる際に発生した金額分が上乗せされるでしょう。
解体費用の支払いにはローンを利用できる?
建て替えの解体費用は、建築費の一部に含めると住宅ローンを利用できます。居住者がいない家の解体工事は、担保や保証人なしで借りられる場合が多い空き家解体ローンの利用が可能です。
金融機関との間で別に取引していると、優遇されて金利が下がるケースもあるため確認してみましょう。
また、空き家の解体で自治体の補助金を受給する際は、自治体と連携している金融機関で申し込むことで金利が低くなることがあるでしょう。
家を解体するメリット
老朽化した家や空き家は、災害時に倒壊し、近隣に迷惑をかける可能性があります。古い家は維持管理していくだけで金銭的な負担も大きいでしょう。また、空き家を放置していると、住宅用地に対する特例措置の対象から外れ、固定資産税が上がるおそれもあります。
解体して更地にしていると、古い家が建っている場合より解体費がいらず施工時間を短縮できるとの理由で魅力が増し、売却しやすくなると言われています。
家を解体するデメリット
解体して更地にするためには、工事費用がかかるなどデメリットもあります。更地にしたまま保有していると、固定資産税額を軽減できる住宅用地の特例措置の対象から外れ、土地にかかる税金をそのまま支払うことになるでしょう。
建て替えの場合も、更地にした後で家を建てられないケースがあるため注意が必要です。都市計画区域では、4m以上の道路に敷地が2m以上接していることが建築基準法で義務付けられています。
80坪の家の解体費用相場を知ろう
相場を知ることは、見積もりの価格が適正かどうかを見極めるのに役立ちます。解体業者を選ぶ際は相見積もりを取り、提示された金額が相場の範囲内か調べるとともに、細かい部分も含めて比較しましょう。
80坪の家の解体費用は安くても数百万円かかります。問題なく進めていけるよう、記事を参考に解体費用の相場や内訳をチェックし、信頼できる業者へ依頼しましょう。