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解体工事単価とは?
解体工事単価とは、建物1坪(約3.3平方メートル)あたりの解体費用のことです。解体工事費用は坪単価とも呼ばれます。
この解体工事単価は、建物の解体費用を求める際に用いられます。解体工事単価に延床面積(建物各階の床面積の合計)をかけることで、おおよその解体費用を算出することができるでしょう。
ただし、この解体費用は建物本体の解体にかかる費用であり、解体工事にかかる費用の総額ではありません。ここでは、解体工事単価の相場や解体工事にかかる費用の内容などについて解説していきます。
解体工事単価の相場は建物の構造で違う!
解体工事単価を決める大きな要素のひとつに、解体する建物の構造があります。
基本的に、鉄筋など固い建物の解体には重機が必要であったり解体に手間や時間がかかったりします。そのため、鉄筋の建物は木造の建物に比べて解体工事単価が高くなる傾向があります。
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解体工事単価でみる解体費用の目安
一般的な解体工事単価と解体費用の目安についてご紹介します。
木造の場合、解体工事単価は1坪あたり3万円~5万円、鉄骨造の場合は1坪あたり4万円~6万円、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の場合は、1坪あたり6万円~8万円程度になります。
そのため、例えば30坪の建物を解体する場合、建物本体の解体費用は木造の場合90万円~150万円、鉄骨造の場合120万円~180万円、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の場合は180万円~240万円程度になります。
これらはあくまで目安であり、実際には様々な条件から解体費用は変わってくるでしょう。
3つの立地条件で変わる解体工事の費用
解体工事単価を決めるのは基本的に建物の構造ですが、それ以外に建物の立地条件によっても解体工事の費用は大きく変わります。
次に、解体工事の費用に影響する3つの立地条件について説明していきます。
1:解体する建造物の延床面積
解体工事の費用は解体工事単価×延床面積(建物各階の床面積の合計)で出すため、延床面積が広ければ広いほど解体工事の費用は高くなります。
しかし、一方で延床面積が広くなるほど解体工事単価は安くなる傾向があります。なぜなら、処分する廃棄物の量は建物の大きさに比例しますが、人件費や養生費などは建物の規模の大きさにあまり影響されないからです。
よって、延床面積が広い場合、工事費用の総額は高くなりますが、坪あたりの単価としては割安になります。
2:解体工事の現場近隣の住環境
解体工事を行う現場周辺の住環境によっても解体工事の費用は大きく変わります。
例えば、住宅密集地やとても狭い敷地での工事の場合、大きな重機を入れることができず手作業による解体が中心となるため、工事期間が長くなり結果工事費用が高くなります。
また、住宅が密集した地域の場合、廃棄物の処分場が近くにないことが多いため、その場合は廃棄物の運搬費や人件費が高くなりやすいです。
同じ地域であっても周辺の環境によって解体工事費用に違いがあるため、注意しましょう。
3:解体工事の現場周辺の道路状況
解体工事を行う現場周辺の道路状況も、解体工事費用に大きく影響します。
解体工事では、大型重機や廃棄物搬出用のトラックなどが頻繁に出入りするようになります。例えば、前の道路が通学路や人通りの多い道路である場合、安全のため出入口にガードマンを配置する必要があります。
通りの状況によってはガードマンが複数人必要なこともあり、そうなるとガードマンの人件費の分、解体工事費用は高くなります。
また、現場の前面道路との段差があり、工事車両が直接入ることができない場合は、段差を解消するため、歩道の切り下げ工事を行うこともあります。解体工事後は復旧工事も行うため、それらの工事費用により解体工事費用が高くなる場合があるでしょう。
解体工事単価以外にかかる4つの費用について
解体工事費用は基本的に建物の構造で決まり、それ以外にも解体現場の周辺の環境によって大きく変わることを説明してきました。
しかし、解体工事単価や周辺環境以外にも、解体工事費用に影響するものがいくつかあります。次に、その中から代表的なものを4つご紹介します。
1:建物以外のものを撤去する費用
解体工事では、建物本体以外にも様々なものを撤去することがあり、それらを撤去する場合にも撤去費用がかかります。
例えば、敷地内の植木や庭石、倉庫やブロック塀などがそれにあたります。これらは付帯工事や追加工事と呼ばれ、基本的に解体工事単価に含まれることがありません。
この撤去費用は業者や地域によって大きく差があります。そのため、解体工事費用を考える際には、建物本体の解体費用の他に付帯工事にかかる費用を想定して考える必要があるでしょう。
2:地中障害物の撤去工事費用
建物の地下に地中障害物が残っている場合、それらの撤去工事費用がかかります。
建物の解体後に地下室のコンクリート躯体や浄化槽、井戸などが見つかるということは多くあります。それら地中障害物が見つかった場合は、土を掘り返し撤去する必要があり、その分解体工事費用も高くなります。
もし、解体工事中に地中障害物を発見した場合、業者と現場で確認した後、別途撤去費用の見積をしてから撤去工事を行ってもらいましょう。
3:アスベストの除去工事費用
古い建物では、断熱材としてアスベストが使われていることがあります。アスベストは現在使用が禁止されており、解体する建物にアスベストが使われていた場合は、解体時アスベストが飛散するのを防ぐため、アスベスト除去工事が別途必要になります。
アスベスト除去工事は適切な工法で行うことが定められており、手間も時間もかかるため、場合によっては解体費用が一気に高くなることもあります。
そのため、アスベストの使用が考えられる建物の解体では、見積の段階でアスベスト有無に関する調査を行った方が良いでしょう。
4:解体工事後に整地する費用
解体工事後、土地を整地するための費用も必要となります。
石やコンクリート、埋没物などが特にない土地の場合であれば、1平方メートルあたり500円~700円程度で済みますが、地盤の改良や庭木の撤去などを行うと、1平方メートルあたり1万円~3万円ほどになる場合もあります。
この整地費用は解体業者によって費用が大きく変わります。見積を取る際は複数の業者に依頼して内容を確認する方が良いでしょう。
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解体工事単価に廃棄物処分費用は含まれる?
解体工事単価は、建物の解体工事費用の他に建物の廃材処分費用も含まれることが一般的です。また、解体工事費用には解体工事を行うための人件費も含まれます。
しかし、家具や電化製品などの生活用品、庭の木や石などは建物の廃材には含まれず別途処分費用が発生するため、注意しましょう。
解体工事費用を抑えるための3つのコツ
解体工事では、解体工事そのものの費用以外に、様々な費用がかかることを説明してきました。そのため、思っていたよりも工事費用が高額になることも多いでしょう。
しかし、いくつかポイントを押さえることで費用を節約することもできます。
次に、費用を抑えるためのコツを3つご紹介します。
1:自治体の補助金を利用する
自治体によっては、防災の観点から古い家の解体費用に補助金を出しているところもあります。
補助金が出る条件は老朽化した家屋の解体や古い木造住宅の建て替えなど、自治体によって異なりますが、制度を取り入れている自治体は年々増えています。
それぞれ補助金の額や内容、申請条件などが異なるため、管轄の自治体に問い合わせをしたりホームページをチェックしたりして確認してみましょう。
2:敷地内にある不用品やごみの処分
敷地内にある不用品やごみを自分で処分すると、解体工事費用を大きく節約できるでしょう。
建物の解体の際に不要な家具や電化製品などを一緒に廃棄物として処理すると、処理費用が高額になってしまいます。解体前に不用品を粗大ゴミとして処理したり、自分でゴミ処理場へ持ち込んだりすることで、それらの費用を抑えることができるでしょう。
また、まだ使えるものをリサイクルショップに買い取ってもらえば、費用を抑えるだけでなく、収入につながることがあります。
3:雑草や植木の処分をしておく
庭の雑草や植木を事前に処分しておくことも、解体工事費用の節約につながります。
例えば、庭に大きな石や立派な樹木があった場合、解体業者は樹木や石の撤去に重機を使い、トラックで処理場へと運ぶことになります。これらの作業は建物の解体とは別料金になるため、その分費用が追加されることになります。
それらの費用を節約するためにも、自分でできる範囲だけでも庭の木や雑草などは事前に処分しておきましょう。
老朽化した建造物の解体工事費用について
老朽化した建物の場合、解体費用が高くなることがあります。
老朽化した建物は倒壊の恐れがあるため、解体も通常の建物より慎重に行います。そのため、工事の期間が長くかかり、人件費が高くなる可能性もあるため、注意しましょう。
老朽化した建物の解体の場合、自治体の補助金などが優先的に受けられる場合もあるため、一度管轄の自治体に確認してみましょう。
固定資産税など解体工事後の税金の負担もチェックしよう
住宅が建っている土地では、固定資産税や都市計画税の特例措置の対象になるため、税の負担が軽減されています。建物を解体し更地にした場合、それらの軽減を受けることができず、固定資産税などの税額がもとの税額に戻るため、負担が大きくなります。
固定資産税や都市計画税など、解体工事後の税負担がどのようになるか事前に確認しておきましょう。
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解体工事費用の見積の重要性
解体工事では、建物本体の解体工事以外にも、廃棄物の処理や様々な障害物の撤去、整地費用など様々な追加工事が発生します。その費用が最初の見積に入っていなかった場合は追加で費用が発生します。
見積が安いからと言って業者を決めると、解体工事中に追加費用が発生し、結果的に多くの費用がかかることもあります。そのため、解体業者に見積を取ってもらった時点で、何にどれくらいの費用がかかるのか確認しておく必要があるでしょう。
また、同じ解体工事でも業者によって見積金額が大きく違うことがあります。いくつかの見積を見比べることによって、適正な解体費用を知ることができるでしょう。
業者によって所持している重機などで費用が違う
解体工事の見積が業者によって変わるのは、所持している重機などによって工事費用が変わるからです。
同じ解体工事であっても、建物の構造や大きさ、周辺の環境によって最適な重機は異なります。その建物の解体に最適な重機を持っている場合、同じ作業を手作業で行うより短い工期で行うことができるため、その分コストも安くなります。
また、重機を持っていない業者が重機をレンタルすると、その分解体工事費用に反映されます。そのため、同じ解体工事であっても、業者によって工事費用が異なることがあるのです。
現地調査した見積書の内容と費用で複数の業者を比較する
解体工事費用は解体工事単価と延床面積で計算することができるため、現場を見なくてもある程度概算することができます。
しかし、それはあくまで概算であり、実際の現場の状況や周辺の道路環境、建物の状態などを調査しないと、どのような追加工事が必要なのか知ることはできないでしょう。
そのため、複数の業者に現地調査した上で見積書を出してもらい、工事内容や費用について比較検討しましょう。
見積書の内容をよく確認し、納得できる見積を出してくれる業者に依頼することをおすすめします。
施工管理がしっかりしている解体業者を選ぼう
解体工事にはとても多くの費用がかかります。
解体工事単価である程度解体工事費用を算出することはできますが、解体現場周辺の環境によって解体工事費用は大きく変わり、また解体工事単価に含まれない費用も多くあるため、平均的な単価から工事費用の総額を出すことはとても難しいでしょう。
そのためにも、適正な価格で適切な工事を行ってくれる解体業者に解体を依頼することはとても大切です。良い業者を見つけるには、複数の業者に見積を取り、見積書の内容をしっかり確認することが必要です。
ここで説明した解体工事費用の内容を理解し、現場の状況を調査した上で見積を取り、施工管理がしっかりとした解体業者を選びましょう。
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