老後資金の問題を考えたことはありますか?
漠然としていてイメージがつきにくいという人も多いかと思いますが、労働年齢や年金受給年齢の引き上げ、少子高齢化、物価の上昇も伴い、老後を悠々自適に過ごすというスタイルが難しいといわれています。
自宅を含めて、不動産を所有しているけれど、老後の資金が不安だと思われている方に紹介したいのが「リバースモーゲージ」です。
聞き慣れない言葉かもしれませんが、リバースモーゲージの基礎知識とメリットやデメリットなどについて詳しく紹介していきます。
リバースモーゲージとは?簡単に解説!
リバースモーゲージは、自宅に住み続けながら、住んでいる自宅を担保に融資を受けられる金融商品となっています。
仕組みを簡単に説明すると、担保とする住宅の評価額から算出される融資額に応じて借り入れを行い、毎月利息分を支払います。
元本は契約者が亡くなった後に自宅の売却で返済する形になります。
借入は、毎月年金のように一定額を受け取るタイプ・一括で受け取るタイプ・限度額の中で都度必要な額を受け取るタイプなどさまざまです。
リバースモーゲージの仕組みと特徴
住んでいる住宅を担保に融資を受けるのが、リバースモーゲージであると分かりましたが、
リバースモーゲージを利用したい場合はどこへ相談するのが良いのでしょうか?リバースモーゲージについて詳しく紹介していきます。
シニア向けのローン
リバースモーゲージを利用できるのは、多くの金融機関で55歳以上から申し込み可能となるケースが一般的です。
申し込みが可能な年齢の上限もあり、多くの場合、80歳までという制限がかかります。
リバースモーゲージは、高齢者対象の金融商品であるので、年齢設定が高く、完済時の年齢は定められていません。
最終的に持ち家の売却と完済となるので、完済時の年齢は不要のようです。
自宅(持ち家)が担保に
リバースモーゲージで重要となるのが「持ち家の有無」です。
リバースモーゲージの利用をする際に担保となるのが自宅(持ち家)になります。
自宅を担保としますが、借入後すぐに売却が必要ではなく、そのまま住み続けることができ、住んでいる間は所有権の移転もありません。
住み慣れた家や地域から離れることがなく、周囲に気づかれずに借入をすることができます。
取扱先が各都道府県の社会福祉協議会や金融機関
リバースモーゲージの利用は、各都道府県の社会福祉協議会や住宅金融支援機構、金融機関になります。取り扱いのない金融機関もあるので、金融機関を利用する際は、確認してから相談をしましょう。
各都道府県の社会福祉協議会、住宅金融支援機構を利用したい場合には、それぞれの機関へ相談をしてください。
取引先が公的機関と金融機関と分かれていますが、2つの異なる点は「金利」「条件」です。
公的機関は民間に比べて金利が低く設定されていることが多いです。
自治体などによっては、無利息で提供されている場合もあります。
無利子ですが、年齢条件や対象者などの条件が厳しいことが多いので、簡単に利用するのは難しいといわれています。
金融機関の場合は利子をしはらいますが、公的機関よりも条件が厳しくないものが多いです。
どちらを利用するか、相談をしたうえで決めるようにしましょう。
リバースモーゲージは悲惨?メリット・デメリットを徹底解説!
これからの生活のためにリバースモーゲージを利用したいと考えた時に、目先の事ばかりを気にしてしまいますが、利用するにあたってのメリット・デメリットを確認することが必要です。
リバースモーゲージを利用するメリット3選
①自宅に住み続けることができる
担保となるのは、現在住んでいる自宅となりますが、担保にしたことで退去する必要がありません。
自宅を手放さずに老後資金の借り入れができます。
契約者が死亡した場合、連帯保証あるいは連帯債務者である配偶者が契約を引き継ぐことができる可能性もあります。
別途審査等が必要になるので、必ず引き継ぐことができるとは限りません。
②高齢者が利用対象
リバースモーゲージの利用対象者は、各都道府県の社会福祉協議会、住宅金融支援機構、金融機関によっても年齢が若干異なりますが、50~80代の高齢者が利用対象です。
リタイア後、セカンドライフの生活資金などを確保するために融資を受ける金融商品なので、高齢であっても条件に問題がなければ融資を受けることが可能となります。
③月々の支払が少ない
融資を受けた場合返済をすることになりますが、リバースモーゲージの返済は契約期間中は利息のみの支払となります。
通常融資を受けた場合、元金+利子を支払いますが、元本は契約者の死後土地建物の売却によって一括返済となるのが一般的であり、毎月の支出を押さえることが可能です。
リバースモーゲージを利用するデメリット6選
①長生きするほどリスク上昇の可能性
長生きすることで、当たり前ですが生活費の支出が増えていきます。
リバースモーゲージの融資を受けた当初は余裕があった生活費も融資限度額まで借り入れをしなくてはいけない状況になることがあります。
借り入れをしても十分な生活費を確保できないこともありますので、長生きした際の生活を考えた上で融資を受けるか検討をしましょう。
②生存中に土地・建物が下落すれば融資限度額の見直しがある
各都道府県の社会福祉協議会、住宅金融支援機構、金融機関によっても異なりますが、多くの場合は貸付限度額が、担保となる土地建物評価額の50~60%であり、数年ごとに評価の見直しが行われ、貸付限度額の見直しも行なわれます。
借入額が貸付限度額を上回った場合、残高をすべて返済する必要があります。
③変動金利のみのため、リスクが生じる可能性がある
金融機関のリバースモーゲージのほとんどが、変動金利であり、金利が上昇すると返済額が多くなります。
現在は非常に金利が低いですが、このままの状態が続くとは限らないので、いつ金利が上昇してもおかしくないということを認識しておきましょう。
④推定相続人とトラブルになる可能性がある
リバースモーゲージは契約者の死後、担保となっている土地建物を売却をし、残債の完済を行います。通常は相続人の同意を得て売却を行うことになるので、申込時に推定相続人の同意を得ておく必要があります。
⑤子供と同居できない可能性がある
通常リバースモーゲージで融資を受ける場合、現在の住居に同居できるのは配偶者のみに限定がされています。
子供との同居を希望する場合、任意後見制度の利用などが条件となることがあるので注意が必要です。
⑥対象エリア・不動産が限定される
リバースモーゲージは全国で利用できるとは限りません。
融資を受けていた契約者の死後、担保不動産の売却などで一括返済を行うので、担保となる不動産が融資額に見合う価値がなければ価格の下落などによって、融資の中止や不動産の早期売却などをしなくてはいけません。
売却しやすいことも融資条件となっているため、対象エリアや不動産が限定されています。
リバースモーゲージを検討している場合は、対象エリアであるのか確認をしておきましょう。
リバースモーゲージはマンションも可能?
リバースモーゲージが一戸建てしか使用できないと思っている方いらっしゃるのではないでしょうか。実はマンションでも一部ですがリバースモーゲージを利用することができます。
リバースモーゲージの利用対象となるマンションの条件
①立地がいい
立地の良いマンションはリバースモーゲージの利用対象となりやすい傾向にあります。都心部など土地や物件が売れやすい地域や、駅から近くアクセスが良い場所にあるとよいでしょう。
②築が浅い
築20年以内であれば、リバースモーゲージの対象となる可能性があります。
ぜひマンションに住んでいらっしゃる方もリバースモーゲージの利用を検討してみてくださいね。
リバースモーゲージをおすすめできる人
メリットデメリット、注意点を知った上で、リバースモーゲージをおすすめできる人はどのような人なのか紹介します。
老後の資金に不安がある・老後の資金を残しておきたい
「老後資金2000万円」というのを聞いたことがありますか?
実際に老後資金に2,000万円というのは多くの人に老後資金に関する危機感を与え、リバースモーゲージをしなくてはいけないと感じている人も多いはずです。
安心して老後を過ごしたいと考えている人にリバースモーゲージはおすすめです。
相続人がいない・自宅を残す必要がない
相続人がいる場合、リバースモーゲージの利用に関して相続人の同意が必要となります。
相続人全てが同意をすれば良いですが、反対する人が1人でもいれば利用することができません。
相続人や配偶者、家族がいない人にとって自宅は残しておく必要がないかもしれません。
自分が生きている間は必要ですが、死後の対応などについて悩んでいる場合、リバースモーゲージを活用することで、死後の問題もクリアできます。
リバースモーゲージを利用している場合、死後の不動産処分を各都道府県の社会福祉協議会、住宅金融支援機構、金融機関が行うので、不動産の処分等について心配する必要がないです。
老人ホームで暮らすことを検討している
いずれ老人ホームでの生活を検討している場合、リバースモーゲージの融資金を老人ホームの入居金に充てることも可能です。
高齢者住宅・老人ホームの入居を検討しているが、自分が生きているうちは自宅を残しておきたいと考えている人にも、リバースモーゲージはおすすめの方法になります。
リスクを理解して自分に合った選択を
リバースモーゲージは、不動産資産を所有しているがこれからの生活に不安がある人が今後の生活の安定のために利用する金融商品になります。
今住んでいる家に住みながら融資を受けて返済をしていき、死後土地建物を売却して元金の返済に充てる返済方法になります。
メリットも多いように感じますが、説明したようにデメリットもあるため、十分な検討をしたうえ、各都道府県の社会福祉協議会、住宅金融支援機構、金融機関など、取扱先に相談してみましょう。