解体工事というものは何度も経験するものではありませんし、どのくらいの値段になるのかよくわからないという方がほとんどではないでしょうか。
場合によっては100万円以上の予算が必要なこともあるので、できるだけ安くしたいと思うのも本音でしょう。
今回は解体工事の見積時に、値引き交渉をして大丈夫なのかという疑問についてお答えします。
この記事を読むことで解体工事に支障をきたさず、解体業者との信頼も損ねない値引き交渉が行えるでしょう。
値引き交渉をすると、解体業者に断られそうだと不安に思う方にも参考になると思います。解体工事をできるだけ安く済ませたいと考えている人はぜひ参考にしてください。
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解体工事で値引き交渉自体は問題なく行える
最初に見積時の値引き交渉が可能かどうかについてですが、値引き交渉は行うことに問題はありません。
解体工事の利益率は平均して20%程度となっており、他の建設業と比べてそこまで高いわけではありません。
解体工事業者は相見積もりによる比較が当たり前に行われ、競争率が高い業界です。そのため、解体工事に最低限で必要な費用から、取りすぎない範囲で利益を載せて見積もりを作成しています。
ですが、見積もりを作成する段階ではゆとりを持った見積金額を算出している場合があり、その部分を削ることは可能です。
一般的に「値引き交渉=業者の利益を削る」イメージがありますが、必ずしも利益を削るとは限りません。
もし、施主の想定していた解体費用をオーバーしていた場合は、正直に伝えて値下げ交渉するべきでしょう。解体業者側も取れそうな契約を失うのは惜しいですし、できる範囲での値引きには応じてくれるはずです。
利益を取りすぎていた場合解体業者から値引きしてくれることもある
解体業者側が見積金額を算出した際に、予定よりも多く利益が出ている場合は値引きとして利益を還元してもらえる場合があります。
例えば、工事現場が他の同じ規模の現場に比べて、短期間で工事が終わった場合です。
解体工事は、現場の周辺環境によって工期に差が生まれます。隣接する道路が広い場合や、周辺に住居が少ない場合などは比較的に作業が行いやすいです。
予定よりも短期間で終える工事を、見積金額のままで請け負うと他の施主よりも必要以上に利益を取ることになります。
そういった場合は施主が値引き交渉をしていなくても、利益を還元する形で値引きしてくれることがあるのです。
解体工事業者から値引きが期待できる4つの提案方法
値引き交渉を行うことに問題はありませんが、先に述べたように解体工事の利益率はそこまで高くはありません。
最初の見積もり提示金額にゆとりをもたせるのは、安全で確実な解体工事を行うための意味合いもあります。
むやみに安くしてほしいと頼むだけでは、値下げ交渉を成功させるのは難しいでしょう。
では、そういった場合に値引きしてもらいやすくなる交渉方法はあるのでしょうか?
値引き交渉を成功させるのに有効な手段として「施主が協力できることはないでしょうか?」と提示してみる方法があります。
施主が解体業者に協力することで費用の削減につながり、結果的に値引きできることがあるのです。
今回は、施主が解体業者に協力できる4つの例を紹介したいと思います。
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1.解体工事を行う時期とスケジュールを解体業者に合わせる
どんな業界でもそうですが、建設業界にも繁忙期と閑散期というものが存在します。
建設業界の繁忙期は年末の12月から年度末の3月までとなっていて、解体業者もこの時期はどこも忙いでしょう。
繁忙期に解体工事を依頼しても、値引き交渉どころか見積もりを断られる場合があります。
逆に、4月から6月の閑散期は、とにかく仕事を確保しておきたい時期なので比較的仕事を受けてもらいやすいです。
値引き以外の面でも、閑散期の方が現地調査に時間をかけてもらえるので見積もりの精度が高くなるメリットもあります。
工事のスケジュールについてもできるだけ解体業者の都合を優先したほうが良いでしょう。
見積もりから施工開始までの期間が極端に短かったり、期日の指定が細かいと値下げ交渉の難易度が上がります。
「○月から○月の間で業者側の都合の良い時期にお願いしたいです」といった余裕のあるスケジュールを提示することで値下げをしてもらえる可能性が上がるでしょう。
2.事前に処分できるものは事前に処理する
解体工事費用の内訳として解体費用の次に大きなウエイトを締めているのが廃棄物処理費用です。
解体する家屋の中にある家財道具や電化製品などは、事前に処分しておくことで廃棄物処理費用を浮かせることができます。
自分たちで法律や自治体のルールに従い処分することで、費用が浮くだけなく解体工事がスムーズに進行して工期が早くなるメリットもあるでしょう。
また、現場内に庭木や雑草がある場合も、先に伐採したり除草して置くことで費用の削減につながります。
手間は必要ですが、自分たちで事前にできることを行えば、解体業者の手間が減り工事費用を浮かせることができます。
3.工事用車両の待機場所を提供できれば駐車場代を浮かせられる
施主が協力することで削減できる費用は、廃棄物処理費用以外も複数存在します。
解体工事に使用する工事用車両を待機させるための、駐車場代または借地料もそのひとつです。
もし、施主が駐車場として提供する土地が近くにある場合は、解体業者に提供することで駐車場代をまるまる浮かせることができます。
また、知人が所有している空き地や駐車場があるのであれば、知り合いに交渉して駐車場スペースとして貸してもらうことも可能でしょう。
可能であれば、知人に空き地や駐車場を使わせてほしいと交渉して見るのも一つの手です。うまく行けば解体業者に駐車場代や借地料を払うより安い費用で駐車スペースを借りることができるかもしれません。
4.建物滅失登記を施主が行えば代行費用が浮く
解体工事で必ずおこなうものとして、建物滅失登記というものがあります。
これは、解体工事後や災害等で建物がなくなったことを登記簿に記載するために必要な手続きです。
建物滅失登記は、解体工事を行ってから1カ月以内に法務局へ申請をしなければいけません。
この手続きは必要な書類が複数あり時間が必要な作業なので、解体業者または土地家屋調査士に代理で申請してもうらうことが一般的です。
建物滅失登記の代行費用の相場はおよそ4万円から5万円ですが、施主自身で行うと登記事項証明書代の1,000円のみで行うことができます。
建物滅失登記は怠ると、10万円以下の罰金が課せられので確実に行う必要があります。
そのため、その道のプロである解体業者や土地家屋調査士に代行してもらった方が安心できる方もいらっしゃるでしょう。
ですが、自分で建物滅失登記を行うことも選択肢の一つとして覚えていてもらいたいです。
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無理な値引きを行うと安全な工事の保証が難しくなる
値引き交渉の注意点としては、あまり無理な要求はしないほうが良いでしょう。
解体工事で値引きはおおよそ1割までと言われており、それ以上の値引きを要求した場合、解体業者側から断られることがあります。
当たり前の話ですが、解体業者側も最低限利益は確保しなければ仕事として成り立ちません。
利益を確保した上で値引きをするとなると、人件費など必要な部分を削減する必要が出てきます。
作業人数が減らされてしまったり重機の数が足りない解体工事では、最低限のクオリティを保つことが難しいでしょう。
雑な工事になって現場周辺の住民からクレームが発生したり、最悪の場合は重大な事故や災害が起きる可能性も考えられます。
解体業者にとって安全な解体工事を行うのは義務ともいえますから、安全を確保するのが難しい費用では仕事を請け負ってくれません。
できるだけ安い金額に抑えたい気持ちもわかりますが、安全で確実な工事を行うために必要なラインが存在することを覚えておきましょう。
解体業者と協力することで上手に値下げ交渉が行える
値下げ交渉では解体業者に寄り添った提案をすることで、値下げしてもらえる確率が上がることを紹介しました。
解体工事は多額の金額が必要ですが、できるだけ負担を減らしたいと考えるのは当然です。
それでも、安全に解体工事ができる最低限の金額があることは忘れないでください。
見積もり交渉に臨む際には、施主の予算を提示しながら、解体業者と協力できる部分を模索するようにしましょう。
お互いが誠意のある対応を見せることで、総合的に納得できる解体工事が行えるはずです。
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