民泊経営に興味があるならこれだけは押さえよう!3つの業態と運営ポイント

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旅館やホテルよりはくだけているけれど、キャンプの野宿ほどにはワイルドではない。民泊という宿泊の仕方を一言で表すとこのような感じでしょうか。

民泊を利用したことがある方もまだまだ多くはないかもしれませんが、近年その人気が高まっているのは間違いありません。それを受けて、泊まる方ではなく運営する方にも興味がある方はいらっしゃるでしょう。

今回のお話は、民泊の運営についての基礎知識です。

民泊とは

民泊とは、「民家を宿泊施設にしたもの」「民家に泊まること」です。自宅の空き部屋や自分の所有不動産をゲストが宿泊できるようにし、宿泊料を取って貸し出すビジネスとして、近年注目を浴びてきました。

宿泊施設を運営する際には「旅館業法」にしたがう必要があります。無許可での営業は違法であり、必ず「申請」か「申請・許可」を経てからの運営となるわけです(「申請」のみで済む業態など詳細については後述します)。

また、空き部屋や所有不動産があれば理論上はすぐに始められるといっても、まったくの民家そのものでは宿泊施設としての魅力に乏しいため、リノベーションやインテリアの工夫などを行い、施設の紹介や規約などを記載したガイドも作成しなければなりません。始めたあとは、施設の維持と健全な運営が必要になります。

つまり、ビジネスとしての民泊は、友人や知人を自宅に泊めるのとはまったく性質を異にするものです。そのため、始めるためにはそれなりの知識と準備、そして手順を踏む必要があります。後項ではそれを順に見ていきましょう。

民泊の3つの業態とは

旅館業民泊

もっともハードルが高い業態です。旅館やホテルなどの宿泊施設に近い形態で、運営できる地域が限定されている・自治体の許可を取る必要があるなど手間はかかりますが、営業日数に制限がないので、本格的な経営が目指せます。

特にハードルが高いのは、「用途変更」です。建築基準法上の建物用途を「住宅」から「ホテルまたは旅館」に変更する必要があり、その際に住宅とは構造設備の要件が異なることから大規模な改修工事をしなければならないこともあるからです。

もう一点、フロントを設置するもしくはフロント機能を備えた管理事務所を近所に設けなければならない・管理人を常駐させなければならない、という義務もあります。設置費用や人件費、家賃なども考えなければならないため、よほど本格的な運営を目指すのでなければ、やはり相当ハードルは高いといえるでしょう。

特区民泊

正式には「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業」という、ものものしい名称です。「外国人旅行客を対象にした民泊サービスであれば、旅館業法の適用が除外される」という制度であるため、フロントや管理人常駐といった義務はありません。用途変更も不要です。

自治体ごとに「ここなら民泊の運営は可能ですよ」として定められている特区内でのみ、運営が可能な業態です。つまり自治体によっては特区自体が存在しないこともあり、当然その自治体では運営が不可能です。こちらも自治体に申請後、認可も必要であり、宿泊は2泊3日以上でなければならないという縛りもあります。

新法民泊

「許可」ではなく「申請」のみで始められる、もっともハードルの低い業態です。営業日数は年間180日以内という制限はありますが、気軽に始められるでしょう。設備も「キッチン・トイレ・浴室・洗面台」の4つがそろっていれば、設備の追加工事は不要であり、用途変更の手続や工事といったものも不要です。

新法民泊でいう「新法」とは、住宅宿泊事業法という法律を指し、2018年6月15日に施行されたばかりのものです。ハードルが低くて気軽に始められる分、ほかの2種類の業態とは少し異なり、あくまで「住宅の延長」であって「事業用の不動産ではない」というところがポイントとなります。そのため本格的な運営というよりも、空き部屋を活用した副業的な運営という位置づけで考えるとよいでしょう。

また、新法民泊の場合さらに細分化して2つの「形態」も存在するため、こちらも見ていきましょう。

家主居住型

民泊の施設に家主が居住しているか、もしくは居住していなくても宿泊客がいる期間は在宅していなければならない形態です。万が一不在になるにしても、原則1時間以内でなければなりません。宿泊客に鍵を渡して利用をまかせる、ということができないのです。

家主不在型

家主居住型以外の形態は、すべてこの家主不在型に分類されます。宿泊客がいる間も家主は不在でかまいませんが、その代わり住宅宿泊管理業者などに委託して、管理者を派遣してもらわなければなりません。

家主がいるか、いないなら管理人を派遣するか。要するに宿泊客だけの状態で利用してもらうことは不可能である、ということです。

初期費用の準備

どの業態で民泊を始めるかということにもよりますが、初期費用としては数十万円~数百万円見込んでおかなければなりません。主な内訳は、下記の通りです。

・リノベーション・清掃費用・・・10万円~数百万円(清掃だけ・全面リノベーションなど、規模によって金額はかなり変わる)

・防火設備やセキュリティ設備の設置・・・1~20万円程度

・行政書士への申請代行依頼・・・20~40万円程度(自分で申請する場合は数千円で済む)

・家具や家電・アメニティ…10万円~(どの程度のものをそろえるかによって金額はかなり変わる)

繰り返しますが、どんな規模でリノベーションするか、どれくらいの設備を整えるかで、費用のかかり具合はまったく異なってきます。消防設備など必ず必要なもの、最低限必要なものは最優先し、プラスアルファのものには予算とのバランスを考えながら優先順位をつけて用意していきましょう。

民泊を始めるまでの流れ

申請・許可

民泊を始めるためには、申請と許可が必要になります。先述した3つの業態ごとにその方法は異なるため、それぞれ見ていきましょう。

旅館業民泊の場合

申請は保健所に行いますが、その前に役所の建築指導課・開発審査課で「民泊の登録要件」「建築基準や建築許可」といったものを満たしているかどうかを審査してもらいます。審査に通らなければ、当然保健所への申請も不可能です。

申請のための必要書類は、「登記事項証明書」「状況見取り図」「配置図・平面図」「構造設備の仕様図」「使用承諾書」「水質検査成績書」「土地・建物登記簿謄本」「検査済証」です。見慣れないものが多いため、早くから準備していくようにしましょう。

特区民泊の場合

「申請書」「住民票の写し」「賃貸借契約及びこれに付随する契約に係る約款」「施設の構造設備を明らかにする図面」を用意し、保健所ではなく各自治体の申請窓口に申請します。

新法民泊の場合

ポータルサイトからオンライン申請できます。「届出書」「住宅の図面」「欠格事由に該当しない事の誓約書」「転貸承諾書」などを用意して、提出しましょう。届出書はダウンロードも可能です。

リノベーションやインテリア・備品などの準備

民家に手を加えず、そのままの状態で宿泊施設にしても、なかなかゲストにとって魅力的な部屋にはならないことがほとんどでしょう。ここは専門家の手も借りて、どうしたら集客につながるリノベーションになるかをよく考え、清潔感やおしゃれさを重視したデザインで設計したいものです。

また、インテリアにもこだわりましょう。こちらもインテリアデザイナーなどに相談し、家具だけでなく備品やアメニティもそろえていきます。テーブルや椅子、ベッドなどの必要最低限の家具や家電、布団セットとシーツ、バスタオル、フェイスタオル、ゴミ箱、衣類ハンガー、清掃道具などがまず欲しいところです。

料金設定と規約の作成

季節や時期によって宿泊料金の設定に差をつけることを考えるのであれば、料金表も工夫します。併せて「施設の利用方法やルール(守ってほしいこと)」「アクセス」「周辺施設の情報」などを記載したウェルカムガイドを作成しましょう。

このときポイントとなるのは、外国人の利用が多いという点です。日本語だけでなく、多言語でガイドを用意することも必要ですし、それ以上に外国と日本の文化の違いをよく理解したうえで作成しなければなりません。

たとえば、日本人にとって室内に上がるときは靴を脱ぐのが当然ですが、外国には土足のままという地域の方が多いですよね。そのため、施設利用マナーには「靴を脱いでください」という一言が必要であったりするわけです。

知識と同時に想像力を膨らませ、さまざまな文化圏に対応したガイドに仕上げましょう。

民泊サイトへの登録

民泊施設があることを知ってもらうためには、宣伝が必要になりますが、そのためにはホームページを用意したりSNSを利用したりするだけではなく、民泊サイトへの登録も必須となります。ここから予約を受け付けることもできます。

登録の際には、施設の説明文をわかりやすく工夫することはもちろん、写真もゲストが魅力を感じるものを選びましょう。特に最初のうちは口コミがないため、写真は非常に重要な要素となります。

また、前述したように民泊は外国人利用客の割合が大きいため、こちらも多言語に対応する必要があります。ネイティブチェックをきちんと受け、不自然な表現がないようにしておきましょう。

民泊運営スタート

申請の準備から運営開始までは、数か月~半年かかると見込んでおきましょう。各種許可も即時で下りるわけではなく、準備をスタートしてからやるべきことが次々に見つかることも考えると、スケジュールに余裕をもつことが大事です。

運営を開始したあとも、施設の維持管理をしつつ宣伝も引き続き行い、経営のための余念がない状態にしていかなければなりません。また、2か月おきに都道府県知事に宿泊者数などの報告も行う義務があります。運営を開始させることがゴールではなく、文字通りそこからがスタートであるため、魅力的な民泊施設の維持と集客に努めていきましょう。

確定申告と納税

民泊で利益が出た場合は、当然確定申告が必要になります。このとき、民泊施設にしている建物が居住している自宅なのか、自己所有の賃貸物件なのかによって、勘定科目が変わります。

自宅の場合は「雑所得」で、年間の売上が20万円以下なら所得税の申告は不要(ただし住民税の申告は必要)です。対して自己所有の賃貸物件の場合は「不動産所得」となります。

利益が出たら、確定申告は必ずしなければならないもの。日々の維持管理に追われて忘れることのないようにしなければなりません。

民泊運営の際の注意と成功ポイント

マンションでは管理規約を必ず確認

一戸建て住宅だけでなく、マンションの一室を民泊として利用することは、もちろん可能です。ただしマンションによっては、管理規約に「居住以外の目的」で住戸を使用することを禁じているところがあります。これは住宅の延長線上である新法民泊であっても除外されるため、すなわち民泊としての使用は禁止ということになります。

マンション居住で民泊を考えている人は、まず初めにこの点を確認しなければならないでしょう。

近隣住民への配慮

それまで普通の住宅であったところが、突然宿泊施設になり、見知らぬ人が入れ替わり立ち替わり出入りすることになったら、隣人をはじめ近隣住人は戸惑うことでしょう。

運営開始の前にきちんと挨拶や事情の説明を行う、場合によっては数軒を一気に集めての説明会を催すことも視野に入れて考えておくべきです。

ゲストのニーズに応えるリノベーションとインテリアを目指す

どうせ泊まるなら、清潔でおしゃれで設備の整った施設を選ぶのは、宿泊客として当然の心理ですよね。立地が少々よくないとしても、ほかの民泊とは一味違った個性や充実したサービスがあれば、そこに泊まる価値があると感じてもらえます。

そのため、リノベーションやインテリア、アメニティなどには多少の投資をすることも必要になります。これは民泊の準備段階で考えなければならないことなので、イメージやコンセプトをまず大事にし、それに沿って設備やサービスを検討していくとよいでしょう。

ただし注意ポイントとして、外国人ゲストの要望に応えるためと思って和風の雰囲気を大事にしようと、「和式トイレや(ベッドではなく)布団」にすることは避けたほうがよいでしょう。このような部分には普段使い慣れているものを求めるゲストが多いからです。和風を演出するならほかの部分で発揮しておきましょう。

インターネット環境を整える

いまやどこに行ってもインターネットが使える環境であり、それを当然と思っている宿泊客がほとんどです。WiFi環境が整っているかどうかという点は、重要というよりもむしろ当たり前と思っていた方がよいでしょう。施設選びの際には、必ずチェックされるポイントです。

まとめ

本格的な経営を求められる業態、気軽に始められる業態、両方共に越えるべきハードルはありますが、民泊運営に興味や意欲が高いのであれば、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。

ただし、お客さんがいてこその商売です。宿泊業はあくまでサービス業であることを心得、特に文化の違うお客さんには細心の注意を払ってのサービスを心がけましょう。

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