大事なマイホームが危険にさらされる要因は、自然現象だけではありません。同じ人間による犯罪行為もまた、用心しなければいけないものです。
特に空き巣などの泥棒行為は、どんな家でも対象になりえます。ただし、その場合も対象になりやすい家、なりにくい家の分岐点があるものです。
泥棒がターゲットにしやすい家とはどんな特徴があるのか?反対に嫌がる家は?
そして、泥棒に嫌がってもらう家にするためにはどうしたらいいのか、つまり防犯のためにはどのような策を取ればいいのか。
今回は一戸建ての防犯方法について、上記のような内容で詳しくお話していきます。
家を狙う「泥棒」の概要
空き巣・忍び込み・居空き
家に入り込み、盗みをはたらく「泥棒」にはいくつか種類があります。
もっとも代表的なものが「空き巣」。留守中の家を狙って侵入し、金品を盗む犯罪行為です。泥棒の大多数はこの空き巣ですが、実はさらに大胆な手口で盗みに入る行為もあるのです。
そのひとつめが「忍び込み」。これは夜間、留守ではなく住民が寝静まっている間に侵入するものです。
そして「居空き」。これは昼間に住民が在宅中でも侵入する非常に大胆な手口です。盗みだけでなく鉢合わせしたり、危害を加えられたりする恐れもある危険なものです。
泥棒はどこから侵入するの?
ほとんどの泥棒の侵入経路は、窓だといわれています。無施錠の窓はもちろんのこと、施錠されていても鍵を壊したり窓を割って鍵を開けたりして入り込んでくるのです。
ゴミ出しなど、ほんの少しの時間だと油断していて被害に遭う、ということもかなりの割合で存在します。手慣れた泥棒なら、侵入から盗み行為、逃走まで5分もあれば完了してしまうといわれており、わずかな時間でも関係なく空き巣の犯罪は起こりうるということなのです。
泥棒は綿密に「下見」をする
泥棒はターゲットにする家を物色し、必ず綿密に下見を行います。
「裕福そうか」「侵入はしやすそうか・侵入経路は」「死角があるか」「留守になりがちな時間帯はいつか」「防犯意識は高いか・防犯装置は設置されているか」「どんな家族構成か」「近所の目につきやすいか」といったことを事前に確認しているのです。 決して行き当たりばったりの犯行は行いません。逆にいえば、下見の段階で「この家はやめておいたほうが良さそうだな」と感じさせれば、防犯として成功といえるのです。
泥棒に狙われやすい家の特徴とは
前項で述べた内容を踏まえ、泥棒がターゲットにしやすい家の特徴を見ていきましょう。
下見がしやすい家
前述したように、泥棒は犯行前に必ずターゲットの家の下見を行います。下見で得た情報をもとに、犯行を行うかを決定したり、侵入経路を考えたりするため、下見はしやすければしやすいほど情報がたくさん手に入って好都合なわけです。
下見がしやすい家とは、具体的に「道路に面している部分が多い」「外から中の様子が見えやすい」というような家です。
目立たない家
高い塀や庭木などで周囲から見えづらい、死角となるものが多くある、というような家は、泥棒が侵入しようとしている様子も目立たないため、狙われやすくなります。
留守かどうかがわかりやすい家
下見の際に家の中の様子がわからなくても、郵便ポストに郵便物が溜まっているとか、夜になっても電気がつかないとか、そういった点から留守がちな家だと判断されることがあります。留守の多い家は、当然ターゲットにされやすくなります。
防犯意識が低そうな家
見た感じ防犯装置(防犯カメラやセンサーライトなど)が見当たらない、外出時に施錠していく様子がない、夜も窓を開けっぱなしで寝ているなど、明らかに防犯意識が低そうだと思われる家は、当然ながら早い段階から目をつけられる可能性が高いでしょう。
泥棒が狙いづらい家の特徴とは
次に、前項とは反対に泥棒が嫌がる家の特徴を見てみましょう。
犬を飼っている家
「番犬」というくらいなので、犬がいる家は泥棒が避けたがるのは当然といえます。泥棒は当然余計な注目を浴びたくないので、見慣れない人間を見てほえる犬がいるような家は基本的に敬遠するでしょう。
防犯対策をしていることが明確にわかる家
見えるところに防犯カメラがついていたり、セキュリティ会社のステッカーが貼ってあったりするような防犯意識の高そうだと判断される家も、泥棒はわざわざ狙わないはずです。
侵入に時間がかかる家
窓やドアをきちんと施錠していても狙われる家は狙われますが、鍵を破りづらい・窓を割りにくいなどの理由で侵入に時間がかかる家は、仮にターゲットとしていても途中で侵入をあきらめることが多いようです。
分かれ目は「5分以内に侵入ができるかどうか」。5分以上鍵破りに手間取るようなら、たいていの泥棒はその家に忍び込むのをあきらめるというデータがあります。のちほど詳述しますが、ピッキングしにくい鍵にする、窓ガラスに防犯フィルムを貼るといった方法で、泥棒の侵入意欲を失わせる効果が期待できるのです。
見通しの良い家
周囲の道路や近所の家から見通しが良く、死角がない家も泥棒は嫌がります。身を隠せる場所がなければ、泥棒としても「作業」がしづらいのは当然といえます。
近所づきあいがさかんな地域の家
近年は地域の連帯感が薄まっているといわれていますが、今でも近所づきあいがさかんな地域はたくさん存在します。見慣れない人物や不審者を見かけた近所の住民に声をかけられたり通報されたりするのは、泥棒としても避けたいところなので、こういった地域にある家はやはり敬遠されます。
では近所づきあいがさかんかどうかを、泥棒はどこで判断するのでしょうか?それは、ゴミの収集場所。定められた収集曜日を守らないでゴミが置かれているような地域は、近所の連帯感が薄いという傾向があるため、泥棒はそこを見ているといわれています。
人が通れないサイズの窓が多い家
換気などでどうしても窓を開けっぱなしにしておきたいときもあるでしょうが、その窓が物理的に人が通れない大きさや幅であれば、侵入されることもありません。これから家の新築を考えているのであれば、スリット窓のように細いものや高い位置の小窓などを多く採用すると良いでしょう。
明日からできる!防犯方法
どうしたら家を泥棒から守れるか、ということを考えるときには、泥棒の目線に立ってみることが大事です。前述したように「侵入に時間がかかると気づかせる」「実際に侵入に時間がかかるように防犯策を取る」「目立ちたくないという心理を利用する」ということを基本に置き、具体的な方法を見てみましょう。
防犯カメラを設置する
泥棒の姿を実際に記録することができるだけではなく、前述したように「防犯カメラがある」ということを泥棒にアピールするだけでも、抑止力として期待できます。
ただし、抑止力だけで考えてしまうとダミーカメラでもいいのではないかと思ってしまいますが、ダミーでは見抜かれてしまう可能性もあります。予算の許す限り、本物の防犯カメラを設置するとよいでしょう。
センサーライトを設置する
人の気配がすると自動的に点灯するセンサーライトを設置しておくことも、防犯意識の高さのアピールになります。また、暗がりで犯行を行おうとしたら突然ライトの点灯で辺りが照らされて驚く、ということも泥棒の逃走を促せるでしょう。
防犯砂利を敷く
踏むと大きな音が鳴る防犯砂利を敷地内に敷くと、歩くたびに辺りに足音が響き渡ります。夜間であれば住民が目を覚ましたり、昼であれば近所の視線を集めたり、ということを恐れさせる効果があります。
鍵の数を増やす
泥棒はいわば「鍵を開けるプロ」なので、ピッキング機材は一通りそろえているため、侵入経路の鍵を破ること自体はそれほど難しくありません。しかし、ドアや窓にかかっている鍵の数が増えれば増えるほど、侵入に時間がかかるため、こちらも抑止力としての効果が期待できるでしょう。
窓ガラスに防犯フィルムを貼って割りにくくすることでも、同様の効果が得られます。
家の周囲をきれいに保つ
庭など、家の外の部分をきれいにしておくことも重要です。なぜかというと、外がごちゃごちゃと散らかっている家は、内部も同様に散らかっていると判断されるからです。そういう家は泥棒が入ってもその痕跡になかなか気づかないので、泥棒にとって好都合なのです。
また、郵便ポストの中身を溜めっぱなしにしておくのもやめましょう。長期不在だと判断され、ターゲットにされやすくなります。
留守中も電気をつけっぱなしにする
特に夜間の対策として、留守であっても電気をつけて家の中を明るくしておくというのも効果的です。留守なのか、すでに就寝しているのか、という判断のつきづらさが、侵入の抑止力となります。
2階までよじ登れる足場を撤去する
まさかわざわざ2階から…という油断も禁物です。2階からの侵入経路が確保できると判断されれば、十分可能性はあるからです。2階だからと施錠を怠るのも考えものですね。
そもそも2階から侵入できると思わせないようにするためには、2階によじ登れる足場になるものを撤去することが大事です。物置などは、配置から検討し直す必要があります。
警備会社と契約する
ホームセキュリティー会社と契約すると、「警報装置を設置して、異変があったら警備員がすぐに来てくれる」「随時見回りをしてくれる」といったサービスをしてもらえます。一昔前は富裕層を中心に利用されているイメージが強かったですが、近年は一般的にも普及してきています。
もちろんコストはそれなりにかかりますが、安全で安心な暮らしと引き換えと思えば、導入を検討する余地も出てくるのではないでしょうか。
各社のプランをよく確認して、惹かれるサービスがあればぜひ導入したいですね。
まとめ
泥棒対策といっても、意外に簡単なものが多いということがわかりましたね。
まずは、しっかり施錠すること。当たり前のようでいて、なかなか徹底してできないことかもしれません。短い時間だから大丈夫、と油断せずにこまめに鍵をかけて外出することを心がけましょう。
そして「この家は無理そうだな」と泥棒に思わせることが大事です。防犯に役立つグッズや仕掛けは、設置することそれ自体でももちろん防犯に役立ちますが、「この家は防犯意識が高くてやりにくそうだ」と判断させることで抑止力にもつながります。そのため、泥棒が下見をするときに目に入りやすく設置するということも効果的です。
まずは自分で手軽に取り掛かれることから始めて、泥棒から大切な家を守りたいですね。