現代的な生活には欠かせない「照明」。スイッチひとつで明かりが灯り、夜の闇を払ってくれる照明の存在は、いまや生きていくには欠かせないといっても過言ではないものとなっているでしょう。
さらに最近の照明器具は、単に「明るい視覚を確保するため」という役割だけではなく、暮らしをもっと快適にしたり、インテリアのひとつとして楽しんだり、という要素も備えるようになってきました。
照明をこんなふうに使うこともできるのか、という新しい発見もあるかもしれません。今回は、照明器具についてとことんお話していきます。
照明の変化で得られる効果
明るさを確保する、という目的だけでなくさまざまな役割を果たす照明。では、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか。
お部屋の「雰囲気」を変えられる
リビングやダイニング、寝室をどのような雰囲気でまとめあげたいか。それにはインテリアの選び方も重要な要素ですが、いまやさまざまな照明器具もお部屋の雰囲気づくりに一役買ってくれます。
カフェ風のダイニングにしたい、豪華な雰囲気のリビングにしたい、すっきりとシンプルなお部屋にまとめたい…そのような要望も、照明の選び方ひとつで叶えられるのです。
料理が美味しく見える
特にダイニングの照明の選び方によって、料理をより美味しく見せられる効果があります。電球色のようなあたたかみのある色であれば、落ち着いた雰囲気のなかで美味しそうな食事ができますし、昼光色であれば明るい雰囲気のなか色鮮やかな料理が楽しめるでしょう。
照明だけでひとつの部屋を複数の目的で使い分けられる
たとえば寝室にしている居室を、ほかの目的で使いたいこともあるでしょう。デスクを置いて書斎も兼ねているのであれば部屋は全体的に明るくしたいですし、読書をしたいのであれば手元だけ明るく、そして就寝前は明かりを抑えてリラックスできるように…そのようなことも照明器具を使い分ければ可能になります。
寝室では暗くて本が読めない、リビングにずっといると就寝前でも明るい光に照らされていなければならない…というような不便が、照明を複数使い分けることで解消されるのです。
さまざまな照明器具
前述したように、最近の照明にはさまざまな役割が与えられ、それにともなって用途や目的別に多様な照明器具が生み出されています。細かく挙げればきりがないほどなので、ここではいろいろな照明器具を大きな分類で紹介していきます。
それぞれの特徴を知ることで、どんな場所にどの照明器具を設置すればよいかがわかってくるはずです。
シーリングライト
シーリングとは天井のこと。天井に設置する、もっとも一般的な照明器具です。形こそ時代を経て変化してきましたが、日本の住宅で非常に長く親しまれてきたタイプの照明でしょう。「電灯をつける」といういい方が懐かしいですね。賃貸住宅では据え置きで設置されていることが多く、よく見かけるものです。
近年はおしゃれな形状のものも多くなっているほか、LEDの普及により調光機能のついているものも増えていますが、メイン照明としてひとつのライトで部屋全体を照らす明るめのものであるという存在感は、変わっていません。
シンプルにもまとめられるし、インテリア性の高いシェードを合わせれば好みの雰囲気に変化させることも可能です。
ペンダントライト
ゆらゆらと揺れるペンダントから名称がついている通り、天井からコードやチェーンなどで吊るすタイプの照明器具です。デザイン性の高いものが多く、また光源が低い位置に来るため、インテリアの一部としての演出も楽しめるライトといえます。
後述するダクトレールと組み合わせて複数吊るし、あえて高低差をつけて並べるなど、レイアウトにバリエーションを持たせられる点もおもしろいでしょう。ダイニングなど、空間にアクセントを持たせたい箇所に設置されることが多くなっています。
スポットライト
狭い範囲をピンポイントで照らす照明器具です。天井だけでなく壁にも設置できて、角度や明るさを調節することでさまざまな使い方が可能です。絵画や置物、空間の一部などを強調したいときに適しています。
「スポットライト」と聞くと、舞台などを照らす明るい照明をイメージするかもしれませんが、もちろんやさしくやわらかな光を発することもできるので、何もない壁や天井を照らし間接照明としてさまざまな表情を演出するという使い方もおしゃれです。
ダウンライト
天井に埋め込むタイプの照明器具です。天井がフラットになるため空間がすっきりし、スタイリッシュな仕上がりになります。スポットライト同様、ひとつでは明るくできる範囲が限られるため、複数を一定の間隔で並べて設置するのが一般的です。
とはいえ、広い範囲に対応できる広角タイプや明るさ優先の集光タイプというようなものもあるので、好みの雰囲気や使い方に合わせて選ぶとよいでしょう。
照明を目立たせたくないという場合にも使われますが、天井に埋め込むため新築時やリフォーム時でなければ設置ができず、またあとから位置を変えることもできません。レイアウトや用途などしっかりとした計画を立てたうえで採用しましょう。
スタンドライト
その名の通り、立てて使う照明器具です。部屋のコーナーやベッドサイドなどに補助的に置かれることが多く、デザイン性の高いものが豊富にそろっているので、おしゃれなインテリアとしても楽しめます。
シャンデリア
天井から吊るす、もしくは天井に直接取り付けるタイプの照明器具のなかでも、小さなライトを複数並べてガラスや金属できらびやかに装飾されたものです。ゴージャスな雰囲気を作り出すものが多く、特に吹き抜けの高い天井から吊るされているシャンデリアの存在感は見事の一言です。
ブラケットライト
天井ではなく壁に取り付けるタイプの照明で、デザイン性が高いものです。外側に向かって照らすもの、壁や天井に向かって照らして間接照明のように使うものなど、インテリアや目的に合わせてさまざまなタイプを選べます。
フットライト(足元灯)
廊下や階段、ベッドサイドの足元に設置する証明です。暗い時間に目が覚めて、部屋の明かりを煌々とつけてしまうと家族の睡眠を妨げてしまうため、そんなときにフットライトの出番となります。ほのかな明るさで歩行の補助をしてくれる存在であり、インテリア性よりも実用性が高いものといえます。
人感センサーや夜間の時間帯のみ点灯する機能がついたものもあり、必需品ではありませんが、あれば助かるはずです。
シーリングファン
天井から吊るすタイプのファンに、照明器具が一体化しているものです。吹き抜けなど天井が高い空間は冷暖房効率が良くないため、空気を循環させる目的で取り付けられます。そこに照明も一体化させているため、実用性とインテリア性を兼ね備えたものといえます。
ダクトレール
照明器具というよりは、その周辺器具です。天井にレールを敷き、そこからペンダントライトを吊るしたりスポットライトをつけたりします。ライトはレール上で自由に動かすことができるので、複数設置することでレイアウトを変えられ、その時々の用途や雰囲気に照明を合わせてみてはいかがでしょうか。
間接照明
間接照明は、何かの照明器具そのものの名称というわけではなく、照明を使った「手法」にあたります。
光源で直接あたりを照らすのではなく、まず光源から光を壁や天井などに反射させて得られる明かりのことなのです。光が直接目に入らないため、やわらかで穏やかな雰囲気やメリハリのある空間を得られ、それによってさまざまなメリットが生まれます。
照明器具の光源に使われるものの種類
照明器具はどうやって光るのでしょうか。それを知るためには、まず光源の種類を知りましょう。大きく分けて「白熱電球」「蛍光灯」「LED」の3種類です。
ここで「あ、これらは光源の種類なのか」と思った方もいるのではないでしょうか。イメージ的には、電球というと丸っこいガラスの中に小さく閉じ込められたコイルのようなものがあるもの、蛍光灯は長細い、もしくはドーナツを細くしたような管状のもの、というふうに思い浮かびませんか。
ではLEDは…?
実はこのイメージは、電球の「形」、蛍光灯の「形」がそのまま光源のイメージとなっているからこそ生み出されているものです。しかし本来は、電球も蛍光灯も、その形ではなく光を生み出す仕組みの違いで「電球」「蛍光灯」と分けられているのです。
だから「電球型の蛍光灯」もありますし、「電球型のLED」もあるわけです。丸っこい形をしているからすべてが「白熱電球」なのかといったら、そうではないのですね。
ではこれらをひとつずつ、詳しく見ていきましょう。
白熱電球
まさに昭和、それも戦前の照明のイメージをする方が多いかもしれません。裸電球をそのまま天井から吊るしている光景を覚えている、映画で観た、という声も聞こえてきそうですね。
白熱電球はエジソンが発明し、もっとも長い間照明の光源として使われてきました。明るければ明るいほど消費電力が多く、非常に熱くなるという特徴があります。
おなじみの球体のガラスの中にコイル状のフィラメントという物体があり、そこに電流を流して熱を発し、光に換えるという仕組みです。
「白熱」という文字が使われているものの、光はあたたかみのあるオレンジがかった色をしていて、なんともいえないノスタルジックな雰囲気を醸し出してくれます。後述するLED電球の「電球色」という種類は、この白熱電球の暖色を再現したものであり、白熱電球自体には白系の色の光はありません。
メリットは、電球自体の価格が安いこと。ワット数にもよりますが、100円台から買えるものもあります。反対にデメリットは寿命が短いこと。1,000~2,000時間ほどしかもたず、電球交換の手間も多くなります。さらに電球自体の価格は安くても、電気代がかなり高いため、コストパフォーマンスの面ではLED電球に後れを取ります。
省エネの観点からLEDへの切り替えが進んでいますが、やはりそのあたたかな色合いには根強い人気があり、いまでも愛されています。
蛍光灯
蛍光灯も、昭和後期のイメージが大きい光源でしょう。管のなかの水銀ガスに電流を通すことで紫外線を発生させ、それが管の内側に塗られた蛍光塗料に反射して光を発するという仕組みです。
形状にも複数あるのが特徴で、オフィスやお店の天井で見かけるようなストレートの「直管蛍光灯」、古めの家の和室で見かける、ドーナツを細くしたような形状の「丸型蛍光灯」、ソフトクリームのようにぐるぐる巻きの形をしている「コンパクト蛍光灯」、最近はほとんど見かけませんが、電球の形をしている「電球型蛍光灯」などに分けられます。
電球に比べて消費電力が少なく、また寿命も6,000〜1万3,000時間ほどと長く、コストパフォーマンスに優れている点がメリットで、電球と使い分けられながら長らく活躍してきました。
デメリットは、スイッチを入れてから点灯するまでに時間差がある、光のちらつきがある、寒さに弱いなどの点です。ただしこれらの弱点を改良した「インバータータイプ」の蛍光灯もあります。
また「電気はこまめに消す」ことで節電・光熱費節約になると思われていますが、実は蛍光灯は点灯させるときにもっとも電力を消費するため、こまめなオン・オフは逆効果なのです。長時間使用する際は、少しの時間席を立つぐらいならつけっぱなしにしておいた方がよい、と覚えておきましょう。
LED
LEDとは「Light Emitting Diode」の略であり、「発光ダイオード」のことです。電気を流すと光を発する半導体であり、水銀などを用いず、温室効果ガスの排出も少なく、「環境にやさしい」「消費電力が少ない」「寿命が長い」という新世代の光源です。熱も出さないため、白熱電球のように「熱くてさわれない」ということもありません。
もともと液晶の表示画面などに使われていましたが、1993年に青色発光ダイオードが実用化されてから照明としても使われるようになりました。
寿命は約40,000時間、蛍光灯の3~5倍以上にもなり、一度交換すれば1日に10時間使用したとしても10年もつ計算になります。また消費電力も蛍光灯の約半分であり、省エネ性能も非常に高いもので、その分電気代の節約にもなるでしょう。
消費電力が非常に少ないため、明るさの単位もそれまで使われていた「ワット」ではなく「ルーメン」が用いられます。換算目安としては、40ワット=485ルーメン、200ワット=3,330ルーメンとなっています。
また、LEDは光の色のラインナップも多彩です。白熱電球のあたたかみを再現した暖色系の「電球色」、自然な雰囲気を出す「昼白色」、青みがかったすがすがしい「昼光色」といったものから選べるため、用途や好みでチョイスするとよいでしょう。
デメリットを挙げるとすれば、LED本体の価格が高いことくらいでしょう。しかし低電力・高寿命であることを考えると、コストパフォーマンスはよいといえます。長く使い続けるほどお得なのが、LEDなのです。
まとめ
照明について、多彩な役割や豊富な器具、光源に関する知識をまとめました。インテリアの一部として、また生活に彩りや癒しを与えてくれる存在として、これからは照明にも凝ってみたいと感じられたのではないでしょうか。
目的に応じた工夫で、応用は無限にきくといえます。ぜひいろいろと検討して、素敵な選択をしてください。