「土地を手放すには?寄付や放棄はできるのか処分方法について解説」
土地を持っていると良いことばかりではなく、管理をする手間暇がかかるので、中には「手放したい」と感じる方もいるでしょう。
土地を簡単に処分することができるのか、どのくらいのお金がかかるのか気になります。
今回の記事では、土地を手放す方法、寄付や放棄はできるのかについてご紹介いたします。
ぜひ、いらない土地の処分にお困りの方は参考にしてみてください。
土地を手放したいと感じる理由
一般的にはどんな理由から土地を手放したいと感じることが多いのでしょうか。
結論から述べますと、土地を持っていると損をする時と言えます。
ここでは、土地を手放したいと感じる理由についてご紹介いたします。
固定資産税が高いから
土地をはじめ不動産を所有していると、固定資産税などの税金がかかりますが高いと感じると土地を手放したい理由になります。
農地や土地に建物があると税金の負担額を軽減する仕組みがありますが、更地となる場合は適用外となります。
また、農地は継続して耕す必要がありますし、空き家が建っているなら特例の適用を受けるために適切な管理を行う必要があります。
特に活用していない土地であるならなおさら、毎年払う固定資産税が重荷になりやすいです。
管理する手間と労力がかかる
土地は所有していても、そのままで良いということはなく、定期的な管理が必要になります。
雑草を抜いたり樹木の剪定を行ったり、土地の面積が広いほど手間と労力がかかるので、辛いと感じることがあります。
また、自宅近くにある土地はまだ良いとしても遠方にあると、足を運ぶための時間や交通費もかかります。
土地を手入れしないと、近隣へ迷惑をかけたり不法投棄を引き起こす原因を作ったりするので管理が必要不可欠です。
所有している土地のこまめな管理が面倒と感じた時、手放したいと感じることがあります。
土地を所有しているとかかる税金
土地を所有しているとかかる税金は主に2つ「固定資産税」と「都市計画税」です。
土地を所有しているとかかる税金の計算方法
ここでは、土地を所有しているとかかる税金の計算方法についてご紹介いたします。
また、市区町村によっても計算方法は異なることがある点についてもご了承ください。
・「固定資産税」→「課税標準×1.4%」
・「都市計画税」→「課税標準×0.3%」
土地の課税標準の特例
土地を住宅用地として使用している場合、土地の課税標準の特例が適用されます。
以下ご紹介いたしますので、参考にしてみてください。
・「固定資産税」→「小規模住宅用地(200平米以下の部分)」→「課税標準×1/6」
・「固定資産税」→ 「小規模住宅用地(200平米超の部分)」→ 「課税標準×1/3」
・「都市計画税」→ 「小規模住宅用地(200平米以下の部分)」→ 「課税標準×1/3」
・「都市計画税」→ 「小規模住宅用地(200平米超の部分)」→ 「課税標準×2/3」
土地を手放す方法
土地を手放したい場合、さまざまな方法があるので自分に合ったものを選んでみてください。
ここでは、土地を手放す方法についてご紹介いたします。
売る
不動産会社に依頼して、いらない土地を売る方法です。
自分にとって処分したい土地が、他の人から見ると必要ということがあります。
しかし、土地の状態によっては譲渡費用が売却価格を上回ることがあるので注意してください。
また、仲介に出してもいつまでも土地が売れないことがあります。
その時は、不動産会社が買主となってくれることがあるので、ぜひ相談してみてください。
土地を売るよりも買取相場は低いですが、スムーズに土地を手放せます。
土地を売ってお金にしたい方は、一度不動産会社で査定を受けてみてください。
自治体に寄付をする
いらない土地は市区町村の自治体などに寄付をすることもできます。
しかし、すべての土地が寄付できるわけではなく条件が設けられています。
その条件は自治体ごとに異なるので確認してみてください。
とはいえ、市区町村にとっては土地の所有者に対して課税される固定資産税は大切な収入源となることから、あまり多くは見られないレアケースと言えます。
いらない土地を寄付する上での大まかな手順は以下の通りです。
1.役所の担当窓口で土地の寄付について相談する
2.自治体の担当者が土地の調査を行う
3.調査の結果OKが出たなら必要書類に記入して提出する
公益法人に寄付をする
公益法人も土地の寄付を受け付けていることがあります。
気になる方はHPをチェックしてみてください。
とはいえ、公益法人に土地を寄付をする形は、所得税が課せられる場合があります。
税金面が気になる方は非課税の特例が設けられていないかも確認してみてください。
土地を寄付した後は所有権を相手先に移転する必要があるので、その点についても費用がかかります。
どちらが負担するかについても話し合って決めるようにしましょう。
個人に寄付をする
いらない土地は個人に寄付をして手放すこともできます。
相手は誰でも良いですが、親戚や隣地の所有者に対して譲渡する形が多いです。
また、その場合は相手方に税金がかかります。
以下、税金の種類となります。
・贈与税
・登録免許税
・不動産所得税
寄付する側は、特に税金等を支払う手続きは必要ありません。
土地の寄付は口頭でも成立しますが、後からトラブルにならないためにも、書面として内容を書き留めておくことをおすすめします。
不安な方は、弁護士などの手を借りながら手続きを進めていくのも一つの方法です。
空き家バンクを利用する
土地に建物が建っている方は、空き家バンクを利用して土地を手放す方法もあります。
NPO法人などが運営するサイトに物件情報が掲載されるので、移住希望者の目に留まるきっかけになります。
不動産売却と並行して空き家バンクを利用すると土地をスムーズに処分できそうです。
放棄する
相続前であるなら、土地を放棄する方法もあります。
相続放棄を希望する場合、相続を知った日から3ヶ月以内であれば家庭裁判所に申し出を行うと放棄できます。
しかし、土地を含むすべての財産相続を放棄することになります。
例えば、他の財産は相続して、土地のみを個別に放棄するということはできないので気をつけましょう。
また、自分以外の法定相続人がいる場合、事前に財産放棄をしたい旨を伝えておいて同意を得ておくとトラブルも起こりにくいです。
相続放棄をする場合の一連の流れは以下の通りです。
1.財産調査を行う
2.相続放棄をする上で必要な書類を集める
3.相続を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申し立てをする
4.「相続放棄申述受理通知書」を受け取る
5.相続放棄が完了する
財産放棄をすると固定資産税等の税金の支払い義務は発生しません。
とはいえ、相続財産管理人が決まるまでは土地の管理義務は残ります。
管理などを通して何か問題が起きた時には責任を負うことになるので、その点についても心得ておきましょう。
土地を個人に寄付をする場合の税率と控除額
土地を個人に寄付をする場合、受け取る側に税金がかかります。
贈与税扱いになるので、毎年110万円の基礎控除分、土地の評価額から差し引けます。
そこに贈与税の税率が課せられて、税額が決まることになります。
また、基礎控除後の課税価格によっても税率とさらに差し引ける控除額は異なるのでしっかり押さえていきましょう。
以下、土地を個人に寄付をする場合の税率と控除額についてご紹介いたします。
・「基礎控除後の課税価格」→「税率」→「控除額」
・「200万円以下」→「10%」→「なし」
・「300万円以下」→「15%」→「10万円」
・「400万円以下」→「20%」→「25万円」
・「600万円以下」→「30%」→「65万円」
・「1,000万円以下」→「40%」→「125万円」
・「1,500万円以下」→「45%」→「175万円」
・「3,000万円以下」→「50%」→「250万円」
・「3,000万円超」→「55%」→「400万円」
2023年から国に土地を引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」とは
土地のさまざまな手放し方をご紹介いたしましたが、2023年から国に土地を引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が始まります。
2022年時点では、一度土地を相続したら所有権を放棄することはできませんでした。
しかし、新制度が施行されると土地の所有権を放棄することが可能となります。
ここでは、相続土地国庫帰属制度について詳しくご紹介いたします。
相続土地国庫帰属制度について
相続土地国庫帰属制度は、2023年4月27日から施行される、一度相続した・贈与を受けた土地の所有者の権利を放棄して国に土地を帰属させることができる新制度です。
制度を受けるためには、申請書、必要書類を提出した上で可否の審査に合格する必要があります。
審査を受けるためには手数料が必要です。
また、以下に当てはまる土地を持っている方は、制度を受けられない可能性が高いので注意してください。
・土地に建物が建っている
・土地の境界線が不明確
・担保にしている土地
・他人に使用される可能性が高い土地
・土壌汚染がある土地
・埋設物がある土地
・帰属について争いがある土地
また、相続土地国庫帰属制度が適用された場合、10年分の土地管理費用相当額の負担金も納付する必要があります。
相続土地国庫帰属制度は無償で土地を引き取ってくれる制度ではないので、別途費用をかけたくない方は土地を売ったり個人に寄付をしたりする別の方法を選んでみてください。
まとめ
土地を手放すためには売ったり自治体・個人に寄付をしたり、または放棄を行うなどの方法があります。
2023年からは国に土地を引き取ってもらえる「相続土地国庫帰属制度」が始まります。
一度相続した土地でも所有権を放棄することができる制度です。
しかし、審査を受けるためには手数料が必要で、制度が適用された場合でも10年分の土地管理費用相当額の納付を行わなければなりません。
土地を手放したい方の中には「別途費用をできるだけかけたくない」という方も多いでしょう。
そのまま放置しておいても、税金を支払ったり管理をする手間暇がかかったりします。
自分に合った土地の手放し方を知りたい方は、ぜひ不動産会社のプロに相談してみてください。
今回は、土地を手放す方法、寄付や放棄はできるのかについてご紹介いたしました。