地価公示価格とは?意味・調べ方・決まり方について解説
「土地が今いくらで売れるか知りたい!」と感じるなら、地価公示価格(ちかこうじかかく)を押さえることが大切です。
法令に基づき国が土地の価格を公示した制度となるので、信頼性が高い指標の一つとして見ることができます。
今回の記事では、地価公示価格の調べ方や決まり方、基準地価・路線価・実勢価格との違いなどについてご紹介いたします。
ぜひ、地価公示価格について詳しく知りたい方は参考にしてみてください。
地価公示価格とは
地価公示価格とは、毎年1月1日時点における全国の標準地の土地価格を、3月下旬ごろに公的機関が発表しているものです。
日本では「地価公示法」の法令に基づき、国土交通省土地鑑定委員会が公示しています。
歴史としては1970年から地価公示価格の公示が始まりました。
地価公示価格は、土地のみに対して行われています。
たとえ建物があっても更地の場合でも、土地そのものに対して評価が行われているということになります。
地価公示価格は毎年更新されているので、不動産について高い関心がある方は、しっかり押さえていることが多いです。
また「地価公示価格」の他に「地価公示」「公示地価」と呼ばれることもあります。
しかし、地価公示の本来の意味は、地価を公表することです。
公示地価は、地価公示で公表された土地価格について指しています。
使い方次第では、誤解を招くことがあるので気をつけましょう。
地価公示価格は、土地が今いくらで売れるのかを知る上での参考になります。
相続税評価・固定資産税評価の目安としても活用されることが多いのでしっかり押さえておきましょう。
地価公示価格の調べ方
地価公示価格を調べるには、国土交通省のHPの「標準地・基準地検索システム」にアクセスするのが一番簡単でわかりやすいです。
まず初めに「検索地域選択」からご希望の都道府県と市区町村を選択した後「検索条件」を決めていきます。
最後に「検索」ボタンを押すと、地価公示価格の情報が表示されます。
数分で地価公示価格が簡単にわかるので、ぜひ試してみてください。
※参考:https://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=2&TYP=0
地価公示価格の決め方
地価公示価格の決め方は、国土交通省の土地鑑定委員会が2人以上の不動産鑑定士に鑑定評価を依頼した後、最終的に必要な調整を行い決定しています。
不動産鑑定士は国家資格者です。
また、2人以上の不動産鑑定士も別々に現地を調査しています。
地価公示価格は、複数人の不動産鑑定士が出した鑑定評価を平均した数値ではありません。
客観的要素や公平性も確保しているので信頼性も高いです。
公示地価の対象を決める上で重視するポイント
地価公示価格を決める上で、標準的な土地を公示地価の対象として選ぶ必要があります。
主に4つの点が重視されますが、それは「代表性」「中庸性」「安定性」「確定性」となります。
代表性は、その市区町村全体の地価水準をできる限り代表しうるものであることです。
中庸性は、近隣地域における土地の利用状況、環境、地積、形状等が片寄らず中正が取れているものであることです。
安定性は、近隣地域における安定した土地の利用状況に配慮したものであることです。
また、土地の利用状況が移行している場合、変化についても十分に配慮しているかが重要視されます。
確定性は、明確に他の土地と区分されて、範囲が特定できるものであることです。
また、選定する地域の特性を踏まえた上で、範囲の特定する方法を広く考慮した上で、一部に偏ることのないように配慮する必要があります。
地価公示価格の必要性
地価公示価格は、一般消費者が土地取引を行う上で、その土地が適正価格であるか客観的目安として参考になる性質があります。
不動産は、その金額の大きさから一生を通しての買い物になる方も多いです。
不動産は、食品や生活用品などと異なり、まったく同じものはこの世にありません。場所や形、面積などにも違いがあって、人気も偏りが見られるため価格に差が生じることがあります。
地価公示価格がないと、売主が勝手に本来の価値以上の言い値をつけて、消費者がそれに従う流れができてしまいます。
適正な取引を行うようにするのが、地価公示価格の必要性となります。
他にも、地価公示価格は土地の相続評価、固定資産税評価についての基準としても扱われることがある重要な指標です。
地価公示価格が高くなる理由
地価公示価格が高くなるのは、その土地に人気が集まっているからです。
土地は性質上、まったく同じものはありません。何らかの事情で需要が増えると、地価公示価格も上がりやすいです。
また、地価公示価格の価値は、土地そのものの特性に影響を受けることがあります。
高低差がなく形が整っていると言える土地は、人気が集まりやすいです。
利便性としても駅から近く、広い道路に面している土地こそ需要が高いです。
他にも、地価公示価格の価値は、イベントにも影響を受けることがあります。
実際に、2020年に開催される予定と発表されていた東京オリンピック前の時期に地価公示価格は上昇していました。
全国ランキングの中でも、地価公示価格が高いのは首都である東京都に集中している傾向があります。
※参考:https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_fr4_000043.html
基準地価・路線価・実勢価格との違い
地価公示価格以外に、土地の価値を表すものに、基準地価・路線価・実勢価格があります。
似ている言葉となりますが、公開元や算定時点が異なるのでしっかり押さえていきましょう。
基準地価
基準地価(きじゅんちか)は、1年間の地価の働きを見るために役立ちます。
評価の対象となるのは、全国の約2万地点の基準地です。
国土利用計画法に基づき毎年7月1日時点に算定したものを各都道府県が9月20日頃に発表します。
基準地価の目的は、地価公示価格と同じく土地取引の指標のためです。
地価公示価格は、2人以上の不動産鑑定士に見てもらう必要がありますが、基準地価の場合人数は1人以上で構いません。
また、地価公示価格と基準地価は算定の期間には半年間のズレがあることがわかります。
そのため、地価公示価格よりも基準地価の方が高ければ価格は上昇していて、逆に安ければ下落していることがわかります。
土地の価格を正確に知りたいなら、地価公示価格と基準地価を合わせてチェックしてみてください。
基準地価を調べるためには、地価公示価格と同じく、国土交通省のHPの「標準地・基準地検索システム」にアクセスするとわかります。
手順に沿って調べると、基準地価の参考価格を知ることができます。
※参考:https://www.land.mlit.go.jp/landPrice/AriaServlet?MOD=2&TYP=0&_fsi=XyXKg7ak
路線価
路線価(ろせんか)は、相続税や贈与税など税金の指標となる価格です。
路線(道路)に面する、標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額を出したものです。
一般的に地価公示価格の7〜8割程度が目安として見ることができます。
路線価は、相続税法に基づき毎年1月1日時点に算定したものを国税庁が発表します。
目的は、地価公示価格や基準地価とは異なり、税金の指標として扱われることです。
また、路線価が定められた地域でのみ評価の際に用いることになります。
路線価を知るためには、国税庁の財産評価基準書「路線価図・評価倍率表」で調べることができます。
まず初めに、地図や下にあるテキストからご希望の都道府県を選択した後「路線価図」をクリック。
ご覧になりたい市区町村を選択して、手順に沿って進めていくと、該当する路線価図が表示されます。
道路の上に数値が記載されているものが、路線価の価額となります。
※参考:https://www.rosenka.nta.go.jp
実勢価格
実勢価格(じっせいかかく)は、不動産を取引する上で売買される価格を指します。
需要と供給が釣り合う価格を指すことから、地価公示価格・基準地価・路線価とは異なる性質があります。
また、実勢価格の算定時点は、明確な日付などは無く「売却時点」と言えるでしょう。
その性質上、実勢価格は地価公示価格・基準地価と同等の価値を持つと言われていますが、実際には公示地価の1.1倍となるケースが多いです。
地価公示価格・基準地価は確実なものではなく、あくまでも目安の指標として見るようにしましょう。
また、素人が実勢価格を計算するのは難しいです。
気になる方は、専門家に話を聞くようにしてください。 とはいえ、大体の目安はわかるもののプロであっても不動産の市場における正確な価値を判断するのは難しいことを覚えておいてください。
地価公示価格の注意点
地価公示価格はあくまでも目安の指標となります。確実なものではありません。
土地の特性や取引する人の事情を考慮すると、実際の地価よりも高くなったり逆に低くなったりすることがあります。
そのため、地価公示価格を絶対のものとは考えず、参考程度に留めておきましょう。
また、地価公示価格は更地に対して価格がつけられています。
建物を含めて考えてしまうと、計算が複雑になってしまうことが理由です。
混合して覚える方もいるので、しっかり切り離して考えましょう。
まとめ
不動産売買を検討している方は、地価公示価格の指標を参考にすることが大切です。
自分の土地が今いくらくらいするのか、大体の目安を確認できます。
一番簡単な調べ方は、国土交通省のHPの「標準地・基準地検索システム」にアクセスすることです。
地価公示価格は、毎年1月1日時点における全国の標準地の土地価格を、3月下旬ごろ公的機関が発表しています。
毎年更新されているので、しっかりチェックしていきましょう。
土地の性質上、同じものはありません。
地価公示価格の指標があっても、一律の値段で売買できるとは限らないので、不動産を高く売りたい方こそ複数の不動産業者に見積もりを出すのがおすすめです。