マイホーム購入から10年、外壁や屋根の塗装もそろそろ塗り替え時期に差し掛かってきている。中古物件を購入したが、外壁の塗装までローンに組み込まなかった…そのような事情で外壁塗装業者をインターネットで検索してみると、たくさんのサイトがありますが、どれを見ても高額。
自分で塗り直すと一体どれくらい安く抑えることができるのだろうか。仕上がりはどんなものなのか。
昨今ではいろんなものがDIYでできる時代になってきました。であれば、外壁塗装もDIYできてしまうのではないか?と動画検索すると、DIY動画はたくさん出てきます。ですが、たった一度の作業のためにわざわざ一から道具をそろえるのは難しい。
でも心配はいりません。ホームセンターなどでレンタル道具として貸し出しをしているところがありますし、寸法通りに木材をカットしてくれるサービスの存在など、DIYを試みようとする方にとっては追い風の時代です。
そこで、今回は外壁塗装のDIYに挑戦するには一体どういったハードルがあるのかを詳しく話していきます。
外壁塗装の成分の種類
外壁塗装に使われる塗料の成分にはたくさんの種類がありますが、大きく分類すると、以下の4つとなります。
合成樹脂
合成樹脂とは、塗料の耐久性を決める主成分のことを指します。この主成分で耐久性や値段などが変わってくるといってもよいでしょう。耐久性の低い順にアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素となります。
添加剤
塗料の機能性を追加する成分を指します。1液、2液、つやあり、つやなし、硬質、弾性などです。
・1液と2液の違い:硬化剤といった膜を固める添加剤を使用するものが2液で、使わないものが1液です。2液型の方が丈夫で傷みにくい塗膜になりますが、扱いがやや難しいのでDIY向けではなく、職人さん向けといったところになります。
・つやありとつやなしでは、好みのデザインになってきます。どちらを選んでも作業に大きな違いはありません。
・硬質塗料と弾性塗料の違い:通常の塗料は表面が硬化する硬質塗料です。しかし硬質塗料では、モルタルの外壁のような下地だったり、弾力性がある下地だったりすると、ひび割れの原因になってしまいます。そのため、そういった下地には弾力性のある弾性塗料の方を使用します。
顔料
塗料に色を乗せる成分を指します。こちらも仕上がりに大変影響のある成分で、顔料ありの色ありと顔料なしのクリアーとに分かれます。
水・溶剤
塗料を液体化するために混ぜるものを指します。水を混ぜている水性塗料と、溶剤(シンナー)を混ぜている油性塗料とがあります。塗料は、混ぜるものによって水性か油性かが決定します。
塗料の選び方(DIY用)
本来は塗装業者におまかせする方が安心で、作業する手間も省け、作業期間なども短くてすみますが、今回はDIYということで、DIYにおすすめの塗料を紹介いたします。
DIYになると重視したいのが、「作業がしやすい、簡単」などといったことになるでしょう。しかし、作業のしやすい簡単な塗料は耐久性や、高級感といったものからは離れてしまいます。
もちろんしっかりとした塗装業者が耐久性のある丈夫な塗料で塗装をすると、見栄えの良いものとはなりますが、業者が使用するフッ素の油性塗料などは、素人が使うと大変危険で扱いづらいものです。
そういったリスクをできるだけ抑えられるものは、水性塗料です。
DIYで扱いやすい水性塗料
DIYで塗装を試みるのであれば、失敗のしにくい水性塗料を選びましょう。
水性塗料は、2液タイプではないので塗装に慣れていない方でもとても扱いやすく、保管にも気をつける必要がありません。
費用も比較的安いものが多く、ホームセンターで品ぞろえが豊富であることも嬉しいところです。
費用と耐久性を考慮した塗料
耐用年数が短くても、とにかく安く済ませたいのであれば、水性の安価な塗料の代表的なもとして、アクリルや塗料をおすすめします。しかし、少し費用がかかったとしても耐久性も重視したいのであれば、シリコンやフッ素塗料の方がよいでしょう。
ちなみに、性能的にも価格的にも、そのちょうど中間あたりがウレタン塗料です。
外壁の素材に合った塗料を選ぶ
塗装業者に一任するのであれば、値段と耐用年数や色味などの相談をすると、希望に近い塗料を何点か候補に挙げてくれるでしょう。しかし、DIYとなるとそうはい行きません。マイホームの外壁の素材も知っておく必要があります。
自身で塗料を選ぶ際には、塗料によってはサイディング用、モルタル用、金属対応などと記載しているはずなので、しっかりとチェックして購入しましょう。
DIY塗装準備
さて、塗料も決まりました。ここで重要なのが何事も行き当たりばったりで行わないことです。逸る気持ちを抑えて、しっかり住まいと周囲の確認もしておきましょう。
計画を立てる
塗装作業を行う前に、まず作業計画を立てます。建築現場でも民間の工事にしても、職人さんが好き勝手に作業をしているわけではありません。事前に計画を立て、安全に作業を進めていけるように危険個所の確認や、危険行為の禁止などの注意喚起をして、工程通りに進捗を確認しながら作業を行っています。
外壁塗装は、危険作業や高所作業が含まれるので、しっかりと計画を立て、無理な作業にならないよう事前準備を整えておきましょう。
特に一人での作業は控えておきましょう。何か重篤なミスや事故があった場合、近くに誰も居なければ発見が遅れてしまい、最悪の場合には手遅れになってしまう可能性があるからです。
近隣への周知
突然、家の隣や裏で塗装工事を始めると大半の人はびっくりするでしょう。そこで、近隣の方に理解と協力をしていただくためにも、お知らせしておくことは大切です。塗装工事は風向きなどの影響で臭いや、周りへの塗料の飛散も考えられます。
高所作業を伴う作業であれば、足場の設置と撤去もあるでしょう。その作業時にはどうしても作業音は出てしまいます。
トラブルになる前に、事前に報告をしておくことで迷惑に感じる気持ちも緩和されるものです。
ここもしっかりと押さえておきましょう。
高所作業時には足場の設置が必要
建築業界においての高所作業の基準は2メートルです。
2メート以上になる場所の作業時には必ず足場を組みましょう。そして、安全帯と呼ばれる命綱をしっかりと着装することも忘れずに。
脚立単体での最上段での作業は、とても危険なので控えてください。
足場がない、または足場が不安定な場所での作業も危険です。不安定な場所での作業は危険なだけではなく、細かいところまで塗料を塗ることもできませんので、せっかく塗ってもそこからほころびが生じる恐れまで出てきます。
※足場組立、撤去作業は、専門業者に依頼しましょう。自身で単管パイプや、足場材を使っての作業はとても危険です。見様見真似では絶対にやめてください。
専用の道具をそろえる
塗装に必要な手道具と呼ばれるものがあります。ハケやローラーといったものです。
100円均一で揃えることもできますが、やはりそこはしっかりとしたものをそろえて作業をしましょう。
専用のものは特化して作り込まれていますので、ほんの少しだけ持ちやすかったり、疲れにくかったりします。このほんの少しの差が、一日を通しての作業で雲泥の差を生みます。
そればかりか、安い道具を使っていると、すぐに道具がくたびれてしまい、思うように作業ができないといったことや、慣れない作業をすることで疲れてしまい、結果として満足のいく仕上がりにならないということもあるでしょう。できあがってから後悔はしたくありませんので、そこはしっかりとした道具で作業することを強くおすすめします。
仕様や要領をしっかりと守る
塗装作業をするときには必ず、その塗料の仕様や要領などを守ることが大切です。
塗料にはそれぞれ耐久や仕上がりの程度があります。それを最大限に引き出すためには、仕様や要領をしっかりと守り、作業することにほかなりません。
・対応素地(外壁素材への対応)
・希釈率(塗料と水を混ぜ合わせる割合)
・乾燥時間(塗装後に乾燥させる時間)
以上の3点は必ず確認し、仕様通りの施工を心がけましょう。
※仕様などの記載は商品の缶に記されているか、説明書があるかなど、事前に確認をしておきましょう。
作業時の着装
作業着を正しく着装し、安全に作業を行う。建築業界などでは大切なことなので、毎日のように口が酸っぱくなるほど言われていることですが、DIYとなると楽しく行うことによって、気が緩んでしまうこともあるでしょう。しかし、肝心なことは、自分の身は自分で守らなければならないということです。DIYだからといって、気を緩めていると大変なことになります。
靴
安全靴が望ましいですが、重量物を扱うことはないので、かかとのある滑りにくい靴で足りるでしょう。その際にはできれば紐ではなく、マジックテープか何もないような靴がおすすめです。
紐靴しかない場合には、ガムテープなどで紐の部分を止めておくとよいでしょう。万が一、足場などに引っ掛けてしまうようなことがあると、横転するなどの可能性があり、大変危険です。
安全帯
あなたを守る命綱です。2メートル以上は必ず着装し、足場などの頑丈なところに固定してください。
労働災害発生状況の不動のワースト2に「転落・墜落」があります。そのことを頭に入れ、決して侮らず高所作業に臨んでください。
作業するマイホームが2階建てなら胴ベルト型を使用しましょう。フルハーネスタイプは、高さ6.75m以上でなければ落下した際に地面にたたきつけられますので注意してください。
※安全フックは腰より高い位置での固定が推奨されており、腰より上に固定するとその分落下の際の衝撃が緩和されます。
高圧洗浄時に必要なもの
雨具、長靴、ゴム手袋、ゴーグルなど。
※足場に上がり2メートル以上の場所なら安全帯も着装。
保護具
マスクや、軍手、ゴーグルなど。
塗装作業時には、できる限りの肌の露出は控え、保護具を着装しましょう。手荒れの原因になる恐れや、誤って目に入ったら危険です。
※目に入った場合は、作業を止め、目を流水で洗い流し、医者の診断を受けましょう。
作業の流れ
いよいよ塗装作業です。ここまでしっかりと準備をしてきましたので、万全のはずです。
ここからは、作業の流れに沿って必要なものをお話します。
洗浄作業
外壁には、新築あるいは外壁の塗り直しをしてから今まで雨風にさらされ、太陽光も受け続けています。当然ながら、汚れやカビ、コケなども付着しているでしょう。
ここで必要なことは、そういったものをきれいに洗い落とす洗浄作業です。
高圧洗浄機で一気に洗い流すか、ブラシなどで水をかけながら地道に落としていかなくてはなりません。
高圧洗浄機なら、朝から洗浄作業をして2時間もあれば一通りの汚れは落とせます、その後に汚れの酷い部分をブラシでゴシゴシと落としていきます。
季節や天候にもよりますが、その日に塗装作業は控えましょう。しっかりと水分を落として乾燥した下地に塗装することによって、仕様通りの効果が発揮されるからです。
養生
きれいに洗浄して、水分がなくなったら、養生作業に移ります。
窓枠や、塗料の色を変更する境界などには、マスカーと呼ばれるビニールに養生テープが付いたものがあります。それを貼り、万が一、塗料が垂れても問題ないようにしておきます。目地などには養生テープやガムテープでしっかりと密着させておきましょう。
ブルーシートや布などで外壁周りにぐるりと一周敷き詰めます。そうすることで塗装作業時に、塗料を落としても安心です。
しかし、専門業者に依頼した足場に落とすと、あとで請求の対象になるので注意が必要です。
※外壁がサイディングの場合には必ず目地があります。その目地にはゴムのような素材で間を埋めていますので、そのコーキングも劣化します。もちろんDIY対象となります。
コーキングの打ち直しに使うコーキング剤とそのコーキング剤を打つためのコーキングガン、そして密着させる接着剤の役割をするプライマリー、さらには、コーキング剤をきれいに見せるためにマスキングテープとヘラ、それらが必要になってきます。
下塗り
下塗り塗料とは、この次の工程で出てくる中塗りや上塗りで使用する塗料をより密着させる働きがある塗料の接着剤と考えましょう。上述したプライマリーとは同じ働きをしますが、製品としては全く別のものとなります。
下塗り用の塗料には、水性のものと油性のものがありますが、今回はDIYなので、比較的臭いの少ない、取り扱いが容易な水性がおすすめです。
必要な道具は、ローラー、ローラーハンドル、ハケ、塗料を小分けして入れるための下げ缶などです。
上塗り
続いて、上塗り塗装です。下塗り塗装が完全に乾いた後にこの工程に進みます。
上塗りは、2回行うと、きれいで丈夫に仕上がります。(塗料の仕様を確認してください)
使う道具は、下塗りで使用したものと同じものです。水性なので、水でよく洗い、乾燥したものを使用しましょう。
清掃
各所にマスキングテープや養生テープなどで養生をしているので、忘れず剥がしていきます。剥がし忘れのないように注意しましょう。
清掃時にはごみが発生するので、ごみ袋とほうきやちりとりがあるととても便利です。
まとめ
外壁塗装には、たくさんの工程があります。その全てを自身で行うのであれば、工期も多く見積もっておかなければなりません。何事も余裕を持った方がよいからです。
塗装専門業者に依頼した場合と比べてざっくりとした計算でいうと、およそ半額、あるいはそれ以下にはなるでしょう。
しかし、何度もお話していますが、危険を伴う作業には変わりがないので、無理をしてDIYを試みるのではなく、時間にも体力にも安全にも配慮し、余裕を持って行ってくださいね。