廃品回収車が違法かどうかの見分け方についてまとめました。粗大ゴミや不用品の適切な処分方法や、許可証を持っている廃品回収車の見分け方も解説します。廃品回収車による違法行為の具体例や、トラブルになった場合の対策もまとめているので参考にしてください。
違法の廃品回収車を見分ける知識を身に付けよう!
廃品回収車は、「無料で粗大ゴミや不用品を回収」するとアナウンスしながら地域を巡回しています。しかし、違法な廃品回収車も多く、トラブルに発展するケースは少なくありません。
本記事では、違法な廃品回収車を見分ける方法や、違法行為の具体例について紹介します。さらに、違法な廃品回収車とトラブルになった場合の対処法と、廃品回収車を利用しない粗大ゴミの処分方法も紹介しているので参考にしてください。
廃品回収車で許可なしに作業をすると違法になる
必要な許可①古物商許可
粗大ゴミや不用品を無料で引き取り、まだ使用できる品物を転売する廃品回収業者もいます。しかし、転売目的で不用品を回収する行為には古物商許可が必要です。古物商許可の申請は、営業所在地の管轄の警察署でおこないます。
古物商許可が必要な取引は、古物を買い取って売る、修理してから売る、使える部品だけを売る場合も含まれます。また、レンタル、品物の交換、海外へ輸出する行為も古物商許可が必要です。
古物商許可は、盗難などによる不正流出を防いだり、流通経路を辿ることを容易にする目的があります。古物商許可なく転売している業者は違法ですので注意しましょう。出典:古物商許可申請(警視庁)
必要な許可②一般廃棄物収集運搬許可
一般家庭から出た不用品やゴミを収集、運搬するには一般廃棄物収集運搬許可が必要です。これは、一般廃棄物処理の事業を安全安心に、確実に行う上で必要な実務、法律の知識、および技能などを習得することを目的としています。
一般廃棄物収集運搬許可は、各市区町村が承認する許可です。講習を受け許可を取得することで、家庭から排出される粗大ゴミや不用品をゴミ処分場へ運搬することが可能になります。出典:一般廃棄物(ごみ)実務管理者講習(日本環境衛生センター)
必要な許可③産業廃棄物収集運搬許可
産業廃棄物収集運搬業許可は、産業廃棄物の収集、運搬を委託され、事業として行う場合に必要な許可です。この許可は、各都道府県が承認するもので、許可を取得することでオフィスや工場から出たゴミ(廃棄物)を処分場へ運搬することができます。
許可証の有効期限は5年となっており、事業を続ける場合は更新許可申請が必要です。これらの許可なく産業廃棄物を収集、運搬する行為は、5年以下の懲役または3億円以下の罰金が科せられる違法行為です。
また、産業廃棄物を回収する業者は、運搬車の両側面に、産業廃棄物を運搬している旨の表示、業者名、委託を受けて収集する場合は許可番号を表示しなければなりません。出典:産業廃棄物収集運搬車への表示・書面備え付け義務(環境省)
廃品回収車が違法であることを見分ける方法
方法①廃品回収車に会社名が明記されているか確認する
違法な廃品回収業者か見分けるには、廃品回収車に会社名が記載されているかどうか確認しましょう。正規の廃品回収車には、会社名や電話番号が記載されている場合がほとんどです。違法な廃品回収車には何も記載されていないことが多いので、車体をチェックしてみましょう。
また、見積もりを依頼する際に、名刺に会社名や電話番号が記載されているかどうかも確認しましょう。違法な廃品回収業者は、そもそも名刺自体無い場合もあります。また、違法な業者は固定電話ではなく、携帯電話を記載していることも多いので併せて確認してみてください。
方法②一般廃棄物収集運搬業の許可番号を確認する
家庭から出る一般ゴミを回収するには、一般廃棄物処理業許可が必要です。許可がない場合は、違法な廃品回収車です。許可がある場合は、名刺やチラシに許可番号が記載されているので確認しましょう。名刺やチラシがない場合は、直接確認してみてください。
古物商許可は、不用品を中古品として販売するための許可ですので、一般ゴミを回収することはできません。家庭から出るゴミを回収、処分するには一般廃棄物処理業許可を持っていることが必須です。
方法③料金設定を確認する
違法な廃品回収車は、料金設定が不透明です。無料で引き取るかのような紛らわしいアナウンスで客を惹きつけ、実は料金がかかるというケースも少なくありません。
優良な廃品回収車は、料金がわかりやすくシンプルであることが多いです。値段を聞いても曖昧で、はっきり答えない場合は違法なケースが多いので注意しましょう。
方法④ホームページを見て判断する
廃品回収車が違法か調べるには、ホームページがあるかどうかもチェックしてみましょう。ホームページがなかったり連絡先がはっきりしない業者は、トラブルがあっても対応してもらえない可能性があります。
また、悪質な場合は、連絡先が全く架空であるといったケースもあります。違法かどうか心配な場合は、住所や電話番号を事前に確かめると安心でしょう。
方法⑥住宅街を巡回している廃品回収車は避ける
「家庭ゴミを回収します」とアナウンスしている廃品回収車は、違法である可能性があります。不用品を積み込んでから料金を請求してきたり、後から高額な料金を請求するケースが後を絶ちません。
使える部品や価値のある金属だけ抜き取り、ゴミを不法投棄するといったトラブルもあります。自治体のホームページでも、違法な廃品回収車に対する注意喚起が記載されているのでチェックしてみてください。
方法⑦引っ越し直後に営業してくる業者に注意する
違法な業者の中には、引っ越し前後のタイミングを見計らって訪ねてくる業者もいます。こちらからの依頼もなしに突然訪れる業者は、違法であると思って間違いないでしょう。
このような業者は押しが強いので、隙を見せると強引に不用品を回収されてしまいます。さらに、換金できそうなものや、必要な物まで運び出されるケースもあります。
優良な業者は、突然自宅に押しかけることはありません。アポなしで訪ねてくる業者は違法ですので、毅然とした態度で対応しましょう。
廃品回収車による違法行為の具体例
違法行為①不法投棄
粗大ゴミや不用品を適切に処分せず、不法投棄している違法な廃品回収業者もいます。まだ使える家電や家具はリサイクル業車に買い取ってもらい、残った粗大ゴミなどを不法投棄することで成り立っている廃品回収業者も存在するのです。
不用品を引き取ってもらった後のことは関係ないと考える人もいますが、不法投棄は依頼者も共犯とみなされます。不法投棄は1000万円以下の罰金、または5年以下の懲役刑が科せられる違法行為であることを認識しておきましょう。出典:不法投棄に関する罰則(九都県市首脳会議廃棄物問題検討委員会)
違法行為②過剰請求
不用品を積み込んでから、不当に高額な料金を請求してくる違法業者もいます。「特別な処分が必要だから」「量が多いから」といった理由をつけて、相場を上回る高額料金を請求してきます。
威圧的な態度で料金請求されると、恐怖心から支払ってしまうケースも少なくありません。さらに、料金の支払いを断ると、出張費や荷物を積み込んだ作業代といった名目で、料金請求してきて支払うまで居座り続けます。
違法行為③家電リサイクル法違反
家電リサイクル法は、一般家庭や事務所から排出された家電製品(テレビやエアコンなど)から、有用な部分や材料をリサイクルし、廃棄物を減量、資源の有効利用を促進するための法律です。
違法な廃品回収業者は無許可であることが多いため、家電リサイクル法違反で運営している可能性が高いでしょう。違法な廃品回収業者は家電を適切に処分できないため、火災や有毒ガスの発生といったトラブルが問題視されています。出典:家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)(経済産業省)
違法行為④海外に不正輸出
日本製の家具や家電は品質が良いため、海外では高い需要があります。日本では価値のない不用品でも海外では需要があるため、無料で廃品回収して輸出することで利益を得ている業者もいるのです。
また、価値のある金属(鉄やレアメタル)だけを取り出し、海外へ違法に輸出している業者もいます。このような違法業者は、必要な金属以外を山中へ不法投棄したり、埋め立てていることも多いようです。
違法行為⑤個人情報の流出
パソコンやスマートフォンが違法業者の手に渡ると、個人情報を抜き取られる可能性があります。個人情報は売買され、犯罪や勧誘電話に利用されます。データを消していても安心はできないので、パソコンやスマートフォンは適切な業者に持ち込み処分してもらうか、下取りしてもらいましょう。
違法行為⑥強引な買取りや窃盗
違法業者の中には強引に家の中に入り込み、必要な品物まで回収する悪質な業者もいます。言葉巧みに品物を回収するようしむけたり、脅しに近い言葉で強引に品物を回収していきます。家に男性が不在で、女性や高齢者しかいない場合は特に注意が必要です。
特定商取引の法改正により、悪質な訪問購入(出張買取り)は規制の対象となっています。悪質な業者は強引に回収を迫ってきますので、対応には注意しましょう。出典:訪問購入(特定商取引法ガイド)
廃品回収業者とトラブルになったときの対策
対策①消費者生活センターに相談する
違法な廃品回収業者とトラブルになった場合は、消費者生活センターに連絡しましょう。消費者生活センターは、商品購入だけでなく、サービス利用で生じた問題についても相談することができます。
いつ、どこでどのようなトラブルが起こったか、さらに電話番号や住所を知っておくとスムーズです。見積もり書や領収書がある場合は、証拠となるので捨てずにとっておきましょう。
相談するタイミングは、金銭のやりとりをする前でも構いません。違法な廃品回収業車に対する対応も助言もしてくれるので、気になることがあったら相談してみてください。
対策②家電リサイクル法対象の品を把握しておく
家電リサイクル法の対象になる電化製品は、エアコン、テレビ、冷蔵庫(冷凍庫)、洗濯機(乾燥機)の4品です。これらの家電の回収をできるのは、電気店の引き取り、市町村の引き取り、指定引き取り場所への持ち込みのいずれかになります。
廃品回収車でこれらの家電を引き取る業者は、家電リサイクル法に反する違法業者ですので注意しましょう。トラブルにならないためよう、自身でもしっかり家電リサイクル法対象の品を覚えておくことが大切です。出典:家電4品目の「正しい処分」早わかり!(経済産業省)
対策③許可証と見積もり書を証拠としてもらっておく
廃品回収車に見積もりを依頼する際は、業務許可証や見積もり書を証拠としてもらっておきましょう。万が一、違法な業者だった場合でも、許可証や見積もり書があれば証拠として提出できます。トラブルの早期解決にも役立つので、必ずもらうようにしてください。
違法な廃品回収車を使わず不用品を処分する方法
方法①自治体の粗大ごみ回収を利用する
多くの自治体では、粗大ゴミの回収サービスを行なっています。回収方法は自治体によって若干異なりますが、多くは指定のゴミ収集場所まで運ぶことになります。事前に予約が必要になるので、ゴミ収集センターへ電話し日時を確認しましょう。
料金も自治体によって異なり、無料の場合もあれば、料金がかかる場合もあります。例えば渋谷区では、布団や椅子は400円、ソファーは2,000円、両袖机は2,800円の料金がかかります。
詳しい料金は、各自治体のホームページなどで確認してみましょう。また、自分で粗大ゴミを持ち込める場合は、ゴミ処分場へ直接持ち込むことも可能です。出典:粗大ごみ(渋谷区)
方法②リサイクルショップを利用する
捨てるにはもったいない不用品は、リサイクルショップに買い取ってもらいましょう。冷蔵庫やテレビといった家電も、製造年月日や使用状況によっては買い取ってもらえます。
大型家電や家具の場合は、出張で買取査定してもらえることもあります。店舗によっては出張費がかかる場合もあるので、無料か違法な買取業者でないかしっかり確認してから査定依頼しましょう。
方法③ネットオークション等を利用する
品物によっては、フリマアプリやネットオークションを活用することも検討してみましょう。自分にとっては不要な品でも、誰かにとっては価値ある品かもしれません。
しかし、ネットオークションやフリマアプリは、トラブルにつながるケースもあります。傷や汚れ、不具合はしっかり明記する、壊れないようしっかり梱包する、メッセージのやり取りをしっかりすることでトラブルを避けることができるでしょう。
廃品回収車が違法でないか確認してから依頼しよう!
「不用品、粗大ゴミを無料で回収する」とアナウンスしている廃品回収車は、違法業者である場合がほとんどです。廃品を積み込んでから作業費を請求されたり、高額な処分費用を請求されるケースもあります。
違法な廃品回収車とトラブルにならないために、依頼者側も正しい知識を身につけておく必要があります。万が一トラブルに巻き込まれた場合は、消費者生活センターに相談してみてください。