建物の解体工事を依頼すると、工事後の土地の整備、つまり「整地」まで業者にしっかり行ってもらえると期待する方は多いでしょう。
しかし、解体工事と整地はたいていの場合別物として扱われるため、施主と業者との間で認識にずれが生じ、トラブルに発展することも少なくありません。
ここでは整地という作業について、さまざまな側面から細かく見ていきましょう。
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「整地」とは土地を整える作業
「整地」とは、その字のごとく土地を整えること。つまり建物を解体したあとに建築物から出た破片やゴミなどをきれいに取り除き、地中の埋設物も除去して土をならし、重機などで固める作業をいいます。
整地には程度に違いがあり、その土地の使用用途によって、行うべき整地のレベルには違いが出てきます。たとえば「新築で家屋を建てる」「売り地に出す」「駐車場として使う」などによって行うべき整地のレベルが異なります。
「更地」とはどう違う?
「更地」という言葉も聞いたことがあるでしょうか。こちらも言葉の響きから「まっさらの状態の土地」を想像しますよね。
「整地」はゴミなどをきれいに取り除き地面を平らにする作業を差しますが、これに対して「更地」は単純に「建物がない状態」の土地を指します。更地は必ずしもきれいに整備された状態とは限らない、という点に注意が必要です。
石やコンクリート破片が残っている場合や、草や木が残っている場合、平らでない状態でない場合も更地というのです。
このような更地をそのまま土地として利用するのはおすすめできません。場合によっては改めて整地を行う必要も出てきます。
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整地の相場より高額になりやすいケース4つ
環境が変わったり作業する内容が増えたりすることで、金額は高額になっていきます。整地の相場より高額になりやすい4つのケースを紹介します。
雑草を除去する場合
整地をする場合、除去するのに手間のかかるどくだみ草などの雑草が生えている場合や、雑草の量がかなり多い場合は、追加費用がかかることがあります。根っこが深かったり、雑草がたくさん生い茂っていると、雑草を除去するだけでもかなりの手間になるからです。
このように通常の範囲を超えるようなレベルの除草は追加費用がかかる可能性があるのです。また、除草の際に発生した雑草や残土の処分費用も追加でかかることがあります。
斜面
傾斜角度のある土地で整地する場合、作業が難しくなるので、費用が高額になりやすいです。傾斜の角度がきつく一定を超えるとさらに費用がかかる場合があります。
費用の相場として1㎡あたり1~2万円ほどかかる場合が多いです。傾斜が15度以上になると1㎡あたり4万円前後かかることもあるので覚えておきましょう。
抜根
整地する際に地面を掘ると出てくるのが木の根っこです。整地する土地に木の根っこがあれば、除去しなければなりません。木を根っこから抜かずにそのままにしておくとハチの巣が発生したりとさまざまなリスクが出てきます。
整地する際に木の根っこがあった場合は除去するのに追加費用がかかるので、高額になりやすい傾向にあります。根が深いものほど抜くのが大変なので、費用も高くなりがちです。庭木がある場合は目安として、1本あたりの伐採に2,000~7,000円、伐根に5,000円ほどかかります。
石の撤去
土を掘ると、土の中にあった大きな石が見つかることがあります。整地する土地に大きな石があった場合も、除去しなければなりません。石の撤去費用は、石の大きさや重さによって大きく費用が変わってきます。50kgの石だと750~2000円、100kgの石だと1万5000~4万円ほどです。
山林
山林は木の伐採や抜根だけでなく、基盤改良なども必要になるエリアです。山林での作業は面積が広く、工程も大変なので、高額になります。整地する面積によっては費用がかなり高額になります。山林の整地の費用の相場は、1㎡あたり2~3万円です。
整地の程度・種類
建物の解体後、その土地をどのように利用するかによって、行うべき整地の度合いが異なってきます。土地の用途に合わせて、最適な整地を行えるように確認しておきましょう。
粗整地
ざっくりとした整地、といえるのが「粗整地」です。大きな破片や石、ゴミなどを取り除き、トンボや重機などでざっと地面をならす方法です。コストをもっとも抑えることができます。、土地の次の利用目的が明確でない場合などに適した整地方法とされています。
砕石舗装
「砕石舗装」は粗整地よりも細かいゴミまで丁寧に取り除いて整えたうえで、砕石を敷き詰めて転圧し、きれいに仕上げる方法です。砕石にも種類が多数あるので、どれを選ぶかによってコストに差が出ます。
真砂土舗装
粗整地よりも細かく丁寧にゴミを除去し、真砂土と呼ばれるものを敷いて転圧します。この「真砂土舗装」は、ガーデニングなど、植物を植える土地に適した整地方法です。また見た目がとてもきれいに仕上がることから、土地売却を考える際にもたいていの場合この真砂土舗装がされます。
コンクリート・アスファルト舗装
「コンクリート・アスファルト舗装」では、砕石を敷き詰めたあと、コンクリートやアスファルトで舗装をします。駐車場などに利用する際に最適です。厳密にいうと整地ではなく外構工事のひとつに分類されます。対応できる解体業者であれば、セットで行ってくれることもあります。
整地にかかる費用の目安
整地にかかる費用の目安は次のとおりです。
・粗整地:1㎡当たり300~600円
・砕石舗装:1㎡当たり2,000~7,000円
・真砂土舗装:1㎡当たり3,000~4,000円
・アスファルト舗装:1㎡当たり3,500~6,500円
・コンクリート舗装:1㎡当たり5,000~1万円
土地活用ごとのおすすめの整地方法
先ほども少し触れましたが、建物の解体工事を済ませたのちにその土地を今後どう活用していくかによって、適した整地の方法が変わってきます。主な活用用途と適した整地の方法を紹介します。
当面土地を利用する予定がない場合
建物を解体した後に土地をどのように利用するか決まっていない場合は、コストを抑えられる「粗整地」が適しています。
建物の解体後どのように土地を利用するか、とくに決まっていないということもありますよね。「空き家が古くなって危険なので、とりあえず解体しよう」というような場合は、とりあえずコストを抑えられる粗整地を選択するのがいいでしょう。
新たに建物を建てる場合
新たに建物を建てる場合は、建設会社が求める整地の方法にしましょう。古い建物の解体をする業者と、新しい建物を建設する業者が別である場合、あらかじめ建設会社が希望する土地の仕上がり状態を確認しておき、その内容を解体業者に伝えます。こうして建設会社が希望する土地の仕上がりにできる整地の方法を行ってもらいましょう。
土地売却をする場合
真砂土舗装の項目で説明した通り、土地売却をする場合は仕上がりの美しい「真砂土舗装」での整地がおすすめです。土地探しをしている方の購買意欲が高まるでしょう。
すでに売却先が決まっている場合には、購入してくれる相手が希望する土地の仕上がりをあらかじめ確認しておき、解体業者に伝えておくといいですね。
畑にする場合
畑や農業用の土地にしたいのであれば、まず地中にゴミやコンクリート破片などの障害物が一切残らないよう丁寧に整えてもらいましょう。加えて、土が固まらないよう「転圧などはしないでほしい」と伝えておきましょう。
ただし、その土地の土が畑として適するものであるとは限らないので、新しく農業用の土を自分で搬入するなどの作業が必要になる可能性もあることを頭に入れておきましょう。
駐車場にする場合
コインパーキングなど、他人に貸し出すための駐車場としての利用を考えるならば、先述のように「コンクリートやアスファルトでの舗装」がもっとも適しています。
しかし個人宅の駐車場ならば、砕石舗装で十分という場合もあるので、コスト面から検討してみるといいでしょう。
地主に返還する場合
土地の持ち主が異なり、建物を解体したのち地主に返すといった場合は、地主の求める状態にしてからの返還が必要です。契約書などに詳細が記されていることもあるので、まずはそちらを確認してみるといいでしょう。
土地の整地費用を抑える方法
土地の整地費用を抑える方法を紹介します。整地にかかる費用について「思ったより高いな」と思っている人や、「なるべくコストカットしたい」という人は、これから紹介する方法を実践してみてください。
複数の業者から見積もりをもらう
整地の見積もりは、最低でも3社からもらいましょう。同じ土地で同じ整地の方法であっても、依頼する業者によって費用が変わります。
3社以上の複数の業者から見積もりを取ることで、それぞれの費用を比べて、お得な業者に依頼することができます。比べることによって明らかに費用が高いなど、違いがハッキリとわかります。見積もりをもらうことで、複数の業者から相場よりもはるかに高額な業者に依頼してしまうことも防止できます。こうして整地にかかる費用を抑えることにつながります。
しかし安さだけでなく、信頼できる業者かどうかもチェックしましょう。
自分でできるところは自分で整地する
自分できる作業は自分で行うことで、その分コストカットできます。整地にかかる費用は整地する範囲によっても金額が大きく変わるからです。
自分でできそうな作業がないか探してみましょう。業者に「この作業を自分で行うと費用を抑えられます都聞いと聞いてみてください。業者と話し合ったうえで自分でできる作業は自分で行うことで、費用を安く抑えることが可能です。
良い業者を選ぶポイント
安く済ませることも大切ですが、良い業者を選ぶことも大切です。良い業者を選ぶポイントを紹介します。
口コミ
施工実績だけでなく、業者の口コミがある場合は口コミもチェックしましょう。信頼できる業者なのかチェックするうえで、実際に業者を利用した人の口コミを見ることは大いに役立ちます。
施工実績
業者の施工実績を確認することも大切です。施工実績が豊富な業者は、依頼をたくさん受けているということなので、難しい整地であっても臨機応変に対応してもらえると考えられます。
たとえば、整地する場所に大きな石はなさそうだったけれど、作業中にかなり大きな石が埋まっているのが見つかった場合に、重機を手配して取り除くことになるなど、問題が発生することがあります。施工実績が豊富な業者であれば、問題が発生した際にも臨機応変に対応してもらえると考えられるので安心です。
見積もりの内容
何にいくらかかるのか、見積もりの内容を詳しく記載している業者を選びましょう。見積もりに「〇〇◯◯一式 〇〇円」というざっくりとした記載がある場合は要注意です。「〇〇一式 〇〇円」という記載の詳細について、具体的に何にいくらかかるのか、詳しく説明をしてもらいましょう。
このように内訳をしっかりと理解をしたうえで依頼することで、相場よりもはるかに高額な業者に依頼してしまうことを防止でき、費用を抑えることにつながります。
費用の詳細について聞いてもきちんと説明してもらえない場合は要注意です。このような業者のなかには、後から追加費用ばかりとろうとするなど、悪質な業者がいるからです。何にいくらかかるのか、費用について詳しく記載している業者を選びましょう。
まとめ
建物の解体後にきちんと整地をすることによって、「土地を売却しやすくなる・売却価格が上がる可能性がある」「土地活用の選択肢が広がる」「今は利用しない土地でも、いざ将来活用を考えたときに工事開始がスムーズになる」といったメリットが生じるということがわかります。
すぐには土地活用をしようとは考えていない場合でも、将来を見据えて建物解体工事後の整地については、早めに検討しておくことをおすすめします。
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