新築を建てる際に、内装や設備などにこだわる人は多いはず。しかし、外観の作りに関してはプランを検討している内に、気づけば「総二階」となっていたという事がよくあります。
そのため、「総二階の作りになるって言われたけど、そもそも総二階ってどんな家?」「総二階の住宅は他の作りに比べてどんな特徴があるの?」という疑問を抱くこともあるのではないでしょうか。
この記事では、総二階住宅とはどのような家のことなのか、メリットやデメリットについて解説します。
最近では、狭い土地であっても十分な間取りを確保できる総二階がとても人気を集めています。特徴を理解して、長く暮らしやすい家作りの参考にぜひご覧ください。
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総二階の家とは?その他の住宅との違いの解説
総二階住宅とは、一階部分と二階部分の大きさがほとんど同じように作られている住宅の事です。外観としては、凹凸が少なく正方形や長方形のような形になっています。
総二階は意識して作るというよりも、プランを練っていく中で自然と総二階となっていたことが多いです。広い土地を確保しにくい日本の土地事情の中で、なるべく床面積を確保するために積極的に取り入れられている作りでもあります。
そのため、総二階住宅は普段目にすることがとても多い住宅です。参考までに、総二階住宅以外の作りとしては以下のような作りがあります。
・平屋
平屋とは、1階建ての住宅のことです。階段がない作りなので、フロア内すべてをバリアフリー化することも可能。生活する上での導線がとても効率的になるというメリットがあります。
一方で、建築する際には広い土地が必要になる点、面積が広い分工事費などを含む坪単価が高くなりやすいといったデメリットがあります。
・部分二階建て
部分二階建て住宅とは、一階部分よりも二階部分の方が小さく作られている住宅のことです。リビングやダイニングなど主要スペースを一階に置き、寝室や子供部屋を二階部分にする家庭が多く見られます。
上記のような作りがありますが、一般的に採用されるのはやはり総二階の住宅が多いです。よく見かける作りの住宅だからこそ、良い面や悪い面を把握して後悔しない家作りをしましょう。
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総二階住宅の魅力を紹介
一般的な住宅に採用されることがとても多い「総二階」住宅。「ハウスメーカーにまかせて作った」という際に気づけば総二階住宅になっていたということも多いでしょう。
それでは、総二階住宅の家を建てて後悔することはないのでしょうか。ここからは、総二階住宅の魅力的なポイントを紹介します。マイホームの検討をしている人はぜひ参考にしてください。
材料費や施工費のコストダウンができる
総二階建て住宅はシンプルな作りの分、基礎や屋根、壁など材料費がかかる部分を大幅に削ることが可能です。
同じ広さの部分二階建て住宅と比較しても、総二階は基礎や屋根の部分が少ないため、材料費はもちろん工事にかかるコストを抑えられます。
また、全体的に見ても、設計がシンプルなことが多いので、工事のスムーズさも大きく変わってくるでしょう。工事がスムーズに進むということは、手数や手間が減り、コストダウンへとつながります。
そのため、コストを抑えて住宅を建てたいという面で考えると理想的な作りになると言えるでしょう。
凹凸がない分断熱性や気密性が高い
総二階住宅と部分二階住宅を比較すると、総二階住宅の方が表面積が小さくなります。表面積が小さい方が、室内の熱が溜まりやすく、断熱性や気密性が高くなります。
建物の表面積は、壁や屋根、開口部分、基礎の面積を合計したものになりますが、特に断熱性に影響するのは屋根部分です。屋根が部分二階よりも少ない総二階は、コストを抑えれれるだけではなく、断熱性の確保にも優れます。
また、凸凹が少なく各部材の繋がりがシンプルなことも断熱性や気密性の確保につながっています。複雑な作りでは断熱材や気密シートの施工がむずかしくなりますが、シンプルであれば隙間なく正確に施工ができます。
断熱性や気密性が確保できる家であれば、外気の影響を受けにくくなる大きなメリットがあります。夏は冷房の使用を最低限に抑えられ、冬は暖房を極力控えるなど、光熱費の節約にもつながってくることでしょう。
バランスが良いので地震に強い
総二階建て住宅は一階と二階の柱の位置が合っているので、バランス性に優れています。そのため、耐震性が高く、万が一の地震の揺れにも強い住宅となるのは大きなメリットです。
耐震性は家の形が複雑になるほど、揺れの負荷が一点に集中してしまうことが考えられます。シンプルな形状の総二階は、揺れに対して家全体に均等に負荷が掛かるようにできているので、結果的に耐震性が高くなります。
また、屋根や壁の面積が少ないことで、ヒビなどの外観的なダメージを抑えることが可能です。そのため、建築語に長い年月が経過しても、きれいな状態を保ちやすいという特徴もあります。
総二階建て住宅は、正方形や長方形のシンプルな形状から、耐震性や耐久性に優れた「強い家」だと言えるでしょう。
狭い土地を最大限活用した家作りができる
都心部など、広い土地を確保しにくいエリアでは総二階建ての住宅を目にすることが多いでしょう。理由としては、一階と二階を同じ作りにすることで、限られた土地の中で面積を最大限に活用できるためです。
建ぺい率や容積率など、土地の規制により差異はありますが、狭小地の土地でもできる限り広くすることを可能にします。
また、土地を確保しにくいエリアでは、一戸建てを持ちたいけど駐車スペースの確保ができないという問題はとても大きいはず。総二階の間取りは、1階部分を広くしすぎなくても二階の面積を確保できるため、空きスペースを作り駐車スペースを確保できます。
土地が狭いわりに地価が高い都心部では駐車場を借りるコストを抑えられるのは大きなメリット。狭小地であっても、広い床面積を確保して、空きスペースも作り出せるのは総二階ならではの魅力です。
総二階の住宅にはどんなデメリットがある?
それでは、「なんとなくプランを進めていたら総二階になっていた。」といった際にデメリットはあるのでしょうか。考えられるデメリットを見ていきましょう。
外観がシンプルになり、個性が出しにくい
シンプルな形状で凸凹が少ない総二階建て住宅は、外観デザインが単調になりがちで、個性が出しにくいといった特徴があります。「他の家と同じような作りにしたくない」と考えているのなら、デザインに関して工夫をする必要があります。
しかし、個性を出すためにあまり凸凹をつけすぎた作りにしてしまうと、総二階ならではの強みを無くしてしまう可能性が有ります。シンプルなことで抑えたコストやメンテナンス性が弱くなってしまうのです。
そのため、総二階の強みを活かして個性を出したいと考えるならシンプルな中にオシャレさを出すことを目指しましょう。窓の配置や配色、一部にバルコニーの設置などで個性的な家に仕上げることが可能です。
土地探しが難しい
住宅を建てる際には、土地ごとに定められた広さや高さの規制を守らなければなりません。また、総二階建て住宅は正方形や長方形になるので、形が悪い土地によっては建てられないということも考えられます。
特に、狭小地が多く総二階に向いているはずの都心部ほど法規制が厳しい場合が多いです。北側斜線制限や道路斜線制限といった規制により、建てたくても建てられないケースというのも出てきます。
・北側斜線制限とは
北側の隣人の日当たりが悪くならないように、建築物の高さを制限する規制のこと。定められた一定の勾配範囲の中でしか建築物を建てられない決まりになっています。
・道路斜線制限とは
道路自体の日当たりや風通しを確保するために、建物が道路に接する高さを制限する規制。こちらも、定められた範囲内の高さでなければ建築ができません。
こういった規制を逃れるためには、建物自体を後ろに下げたり、建物の高さを見直す必要が出てきます。そのため、総二階を建てたくても建てられない、希望通りの間取りにすることができないといったケースも考えられます。
間取りなど、内装の配置が難しい
総二階は一階と二階の床面積が同じ作りの建物。仮に、二階の部屋数などが十分であっても、一階の広さに応じて二階も広げる必要があるので、結果的にコストが掛かってしまうことがあります。
一階部分にはリビングをはじめ、洗面所やお風呂場、客室など用意したい場所がたくさんあるので、限られた広さにすべてを配置するのは難しくなってきます。二階部分も一階にあわせて広げるので、普通の間取りでは余剰スペースが生まれてしまうことも。
そのため、生活をしやすい間取りにするには配置に工夫をする必要があります。生活の導線に最適な間取りにすることが大切です。
シンプルになりやすい総二階の住宅で個性をだすコツを紹介!
材料費や施工費のコストダウンをしつつも耐震性の高さや、暮らしやすさから総二階住宅はとてもたくさん見られます。外観のデザイン性やオシャレさにこだわりたい人にとっては個性を出しにくいため、少し物足りなさを感じるかもしれませんね。
上記でも少し触れましたが、だからと言って凸凹を増やしたデザインにすると、総二階の強みが薄れてしまうかもしれません。そのため、総二階のシンプルさを活かした工夫をして個性をだすことが理想的です。
ここからは、総二階住宅のシンプルさを強みに変えるポイントを紹介していきます。少しの工夫でオリジナル性を高めることができるのでぜひ参考にしてください。
さまざまな配色パターンで検討する
シンプルな外観をオシャレに見せる一番基本的な方法としては、カラーリングを工夫することです。作りがシンプルだからこそ、多少主張が強いカラーリングにしても個性をアピールしすぎることがありません。
例えば、外壁の一部だけカラーを変えたり、玄関ドアのカラーを変えたりと、配色のバリエーションはとても多彩にあります。
中でも人気が高いのはシンプルモダンなツートンカラー。しかし、3色以上使用してもきれいにまとまる可能性が高いので、さまざまなパターンを組み合せてシミュレーションしてみると良いでしょう。
庇やバルコニーを設置して個性的にする
外観のアクセントで一番わかりやすいのは庇やバルコニーなどを設置して、一部だけ凸凹にする方法。外壁が一階二階ともに揃っている建物を個性的な建物へ変化を加えます。
外観のアクセントになるのはもちろん、洗濯物や布団を干すときなどにも使えるので実用性も抜群です。また、雨が降っている日に憂鬱な、玄関の出入りで濡れる心配もなくなります。
外観だけではなく、余剰スペースが生まれやすい中央部分の内装にインナーバルコニーを設置するというアイデアも。庇やバルコニーの設置は外観だけではなく、暮らしにも大きな変化をもたらす方法です。
窓の配置でアクセントにする
住宅の外観を大きく左右するのは外壁や配色だけではなく、窓の配置や大きさがとても大切です。特に、通りに面した目立つ窓などは住宅の印象ががらりと変わります。
形が独特な窓を取り入れる、四角い窓を丸型にするといった変化で住宅自体の表情を変えることができるでしょう。窓枠のカラーを個性的なものに変えるだけでも十分に存在感をアピールできますよ。
ただし、窓を大きくする、配置を考える際には風通しの良さや光の入り具合などは十分に考慮する必要があります。たとえ外観がオシャレになっても暮らしにくさがでてしまう可能性があります。
まずは、生活のしやすさを念頭に置いた上で、窓の大きさや配置などに工夫を凝らして個性を主張しましょう。
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総二階住宅のメリット、デメリットを知って有効に土地活用をしよう
今回は総二階住宅とはそもそもどんな住宅のことを指すのか、メリットとデメリットを交えながら紹介しました。総二階住宅は一階部分と二階部分がほぼ同じ作りになっている住宅で、広く採用されている作り方です。
広く一般的に採用されている理由としては、
・材料費や施工費のコストダウンができる
・凸凹がないので断熱性や気密性が高い
・地震に強い家作りができる
・狭小地であっても広い家作りができる
といった理由があげられます。特に、都心部などの土地が狭く地価が高いエリアでは、限られた土地を最大限に活用する方法として採用されています。
ただし、総二階はメリットだけではなくデメリットも。主に考えられる点としては以下の通りです。
・外観がシンプルなので個性が出しにくい
・土地探しに苦労する
・間取りの配置が難しい
上記のようなデメリットが挙げられますが、工夫次第で十分、快適に過ごすことが可能です。
マイホームのプランを進めていく上で、自然と総二階になっていたということも多いでしょう。なぜ、総二階になるのか、どんなメリットやデメリットがあるのかを把握して、長く満足いく家作りをしていきましょう。
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