高齢な親が施設に入居して、借地に建っている実家に誰も住まなくなったなどの理由で土地の借地権を地主さんに返すことがあります。
そういった場合、借地に建ててある家などの建物はどうしたらいいのでしょうか。
答えは“更地にしてからお返しする”です。
なぜなら一般的に土地賃貸契約書には「原状に復して返還するものとする」というような条文があるからです。原状に復す、つまり借りた時の状態(更地)に戻して返すということです。
借地に建った家を解体して更地にするには単に解体費用がかかるだけではなく、適切な手続きが必要になります。ここでは更地にするために必要な手続きと借地権の返還方法、そして解体費用について、一般的な返還方法順を追ってわかりやすく解説していきます。
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借地返還までのおおまかな流れ
土地賃貸契約書を確認する
契約書には土地利用に関する権利や義務、また、それらに対する“条件”が書かれています。一般的な契約よりも借地権者(借地人)に有利な条件がで契約している可能性もあります。数十年前の契約内容ですので、細部まで覚えているとは限りません。もう一度見直しておきましょう。
借地権に関わる法律は1992年に新法が定められました。新法が定められた前の契約と後の契約では適用される法律が変わります。ご自分が契約した年もあわせて確認しておきましょう。
新法や契約書に関してはこちらの記事でさらに詳しく解説しています。
借地権設定者(地主)に報告する
まず借地権設定者(地主)へ賃貸契約を更新しないことを伝えましょう。
なにも伝えずにいきなり解体工事を始めてしまうと思わぬトラブルに発展する可能性があります。最悪、訴訟沙汰ということもありえるので、借地権設定者(地主)との関係を悪化させないよう心がけましょう。
借地権設定者(地主)と相談・交渉する
借地権や建物の買取が可能なのか、建物を解体する必要があるのか、いつまでに更地にして引き渡すのかなど、借地権設定者(地主)と相談し、場合によっては条件を譲歩してもらえるように交渉を行います。
借地権設定者(地主)とのトラブルは時間やお金が無駄になってしまい、ひとつも良いことはありません。トラブルを防ぐためにも借地権設定者(地主)への報告や連絡は密に行いましょう。
解体業者を選び解体工事を行う
借地権設定者(地主)と返還の期日などの交渉がまとまったら、解体業者を選びます。解体業者ごとに解体費用に違いがありますので、複数の業者から相見積もりを取りましょう。
解体業者と解体工事の契約後、いよいよ解体工事が始まります。解体工事では業者の出入りや騒音、粉塵などで迷惑をかけることがありますので、ご近所へのあいさつを済ませておきましょう。
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借地の返還と建物滅失登記
予定通り更地になれば、借地を借地権設定者(地主)に返還します。あわせて法務局に「建物滅失登記」を申請します。
建物滅失登記とは建物を取り壊した際に申請する建物を滅失した証明の登記です。建物を解体した1ヶ月以内に行うよう不動産登記法で定められています。申請し忘れると次の借地権者が建物を建てられないなどさまざまなデメリットがあるので、必ず行いましょう。
一般的な流れは以上になります。
各項目のより詳しい補足説明はこちらから。
1 土地賃貸契約書を確認する 2 借地権設定者(地主)に報告する 3 借地権設定者(地主)と相談・交渉する 4 解体業者を選び解体工事を行う 5 借地の返還と建物滅失登記
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