農地転用とは、農地に使っていた土地を駐車場や住宅地など、農地以外のものとして使用することを言います。
「農業を引退したい」と感じた時、一つの方法として農地転用を考えることはないでしょうか。
今回の記事では、土地の農地転用の方法やメリットやデメリットなどについてご紹介いたします。
ぜひ、土地の農地転用を検討している方は参考にしてみてください。
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農地転用とは
農地転用とは、農地として使っていた土地を農地以外のものにすることを指します。
例としては、農地から駐車場、住宅地、店舗、道路などへと転用するケースが見られます。
耕作に使用されている土地はすべて農地です。
また、農地転用は「農転」と略して呼ばれることもあります。
とはいえ、農地転用は誰でも気軽にできるわけではありません。
農地転用を行いたい方こそ、まずは農地法について知ることが大切です。
農地法とは
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農地法は農地転用に深い関わりがある法律です。
農地転用を行いたい方は、農地法の中でも農地法4条と5条を押さえていきましょう。
農地法4条では権利者(所有者)による農地転用を規制していて、農地法5条では農地転用を行う上で権利の設定・移転を規制の対象としています。
日本の食物生産力を守るために個人の意志で勝手に農地転用を行うことができないように一定の規制がかけられています。
法律に違反した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されることがあります。
農地転用を行いたい方は農地法に沿った手続きを取ることが大切です。
農地転用の活用例
ここでは、農地転用を行う上での具体的な活用例についてご紹介いたします。
例えば以下のような活用方法が挙げられます。
駐車場にする
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運営方法の一つとして、農地を駐車場にして、コインパーキング・月極駐車場にする方法があります。
立地が市街地に近いと、収益を上げられる見込みがあります。
初期費用を抑えたい方は屋根がない駐車場にする方法がおすすめです。
賃貸住宅用地にする
利便性が高い場所にある農地こそ賃貸住宅用地にする方法もあります。
アパートを建てると入居者から家賃を徴収して利益を得ることができます。
事業用地として貸し出す
農地転用した土地を事業を行っている人に貸し出す方法もあります。
使い道は資材置き場、一時使用目的の倉庫などさまざまです。
不安な方はトラブルを避けるために、決まった期間で契約が終了する、事業用定期借地権契約を結ぶのがおすすめです。
太陽光発電用地の運営
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日当たりが良い場所に農地があるなら、太陽光発電用地の運営という方法もあります。
土地にソーラーパネルを設置して電力会社に電気を買い取ってもらうため、安定した収益を得ることが期待できます。
とはいえ、初期費用がかかりやすいので、その点にも注意してください。
高齢者向け施設の経営
広大な農地をお持ちの方は、高齢者向け施設の経営という方法もあります。
施設利用を目的とすることから、アパート経営よりも立地条件に左右されにくい特徴があります。
とはいえ、初期費用にまとまった資金が必要になるのでリスクがつきものです。
農地転用の手続きを行う方法
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農地転用を行う場合、手続きが必要になります。
農地が市街化区域内にあれば、農業委員会の窓口に行き、提出書類を出す必要があります。
また、市街化調整区域内にあれば都道府県からの許可をもらう必要があります。
以下を参考にしてみてください。
農業委員会へ提出書類を出す
農地転用をするには農業委員会の窓口に行き申請を行う必要があります。
指定する書類を締切日までに提出することになります。
また、締切日を過ぎてしまうと、翌月の締切日まで待たなくてはなりません。
その分、農地転用の審査も遅れてしまうので気を付けてください。
おおよそ提出書類の締切日から10日ほどで返答が来ます。
都道府県からの許可をもらう
農地転用をするには、都道府県知事から許可をもらう必要があります。
農業委員会を経由して許可をもらう流れとなります。
また、締切日から約1ヶ月半で返答が来ることになるので、時間に余裕を持ち申請を行うようにしましょう。
農地転用を行う上でかかる費用
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農地転用の許可をもらう上で、費用はかかりません。
しかし、必要な書類を揃える上で、行政書士に依頼する方も多く、その場合においては別途費用が数万円かかることがあります。
農地転用を行う上で必要な書類
農地転用を行う上で必要な書類は以下となります。
ぜひ参考にしてみてください。
・登記事項証明書
・住民票
・登記簿謄本
・利用計画図
・公図
・事業計画書(必要に応じて)
・残高証明書(必要に応じて) など
なお、農地転用の目的などによっても必要な書類は異なります。
わからない点については市役所などで確認を取りましょう。
農地転用を行う上で不安がある場合の対処法
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農地転用を行う上で不安がある方は、農業委員会の窓口に行くと相談に乗ってもらえることがあります。
そもそも自分の土地は転用することが可能か、申請内容で疑問に思うことについて何でも話せます。
農地転用を行う上で必要な知識を得られることから、その後の手続きも進めやすくなります。
農地転用の許可について
農地転用はそもそもどのような条件に当てはまる農地が転用できるのか気になることはありませんか?
まず初めに、農地の区分は5つに分けられます。
・農用地区域内農地
・甲種農地
・第1種農地
・第2種農地
・第3種農地
農地の区分によっては、そもそも農地転用が不許可となることがあります。
しっかりポイントを押さえていきましょう。
農地転用の許可が下りやすい農地の特徴
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立地基準と一般基準に当てはまる農地は、農地転用を行うことができます。
以下、どちらの項目にも当てはまると農地転用の許可が下りる可能性が高いです。
立地基準について
まず初めに、立地基準についてご紹介いたします。
第2種農地に当てはまる
第2種農地に当てはまるのは、市街地として発展する可能性のある区域内の農地、農地の未整備で生産力が低い農地です。
第3種農地に当てはまる
第3種農地に当てはまるのは、市街地にある農地、都市的整備がされた区域内の農地です。
一般基準について
続いて、一般基準についてご紹介いたします。
転用事業の確実性
農地転用を行う上で、資力はあるか、目的に合う転用の面積が適正であるか、転用事業の確実性があるかを確かめます。
周辺農地への影響
農地転用を行う上で、周辺農地の被害防除措置が適切であるかを確かめます。
一時転用の場合、農地への原状回復が確実であるか
仮設工作物などを一時的に設置する場合、農地転用の一時転用が認められます。
しかし、農地への原状回復が確実であることが条件です。
農地転用が不許可とされやすい農地の特徴
ここでは、農地転用が不許可とされやすい農地の特徴についてご紹介いたします。
しかし、例外的に許可される場合があるため、気になる方はお近くの農業委員会までお問い合わせください。
農用地区域内農地に当てはまる
農用地区域内農地に当てはまる農地は、農業復興地域整備計画において、農業以外の用途に変えるのは厳しく法律で制限されています。
甲種農地に当てはまる
甲種農地に当てはまる農地は、土地改良事業等から8年以内の農地など、特に良好な営農条件が揃っている農地が当てはまります。
第1種農地に当てはまる
第1種農地に当てはまる農地は、おおむね10ヘクタール以上となる集団農地、農業公共投資の対象地域、生産力の高い農地が当てはまります。
農地転用を行うメリット・デメリット
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農地転用を行う場合、それぞれメリット・デメリットがあります。
農地転用を行うメリット
ここでは、農地転用を行うメリットについてご紹介いたします。
農地を活用できる
農地を持っていても畑を耕していないという方もいるかと思います。
農地転用を行うと土地が活用できるので将来的にも管理するための不安を減らすことができます。
収益が得られる
農地転用を行うと、方法によっては収益が得られることがあります。
例えば、賃貸住宅用地にしたり、事業用地として貸し出したりすることです。
農地を持っているだけで固定資産税がかかりますが、活用方法によっては収入を得るきっかけにつながります。
農地転用を行うデメリット
ここでは、農地転用を行うデメリットについてご紹介いたします。
農地に戻すことができなくなる
農地転用を一度行うと農地に戻すことができなくなるので、先を見通した上で決定することが大切です。
特に、今後農地として活用する予定がある方は、一時転用を行うことも検討してみてください。
軽い気持ちで行うと後悔しやすい
農地転用を行うと活用方法によっては収益を得るきっかけにつながりますが、初期費用がかかるなどリスクがつきものです。
事業用地として貸し出す場合、業績悪化になると撤退されるケースもあります。
人によっては夜も眠れなくなるほどの不安材料になることがあります。
よく考えた上で農地転用に踏み切るようにしましょう。
まとめ
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土地の農地転用をするには、手続きが必要になります。
農業委員会の窓口に行き提出書類を出したり、都道府県からの許可をもらったりする必要があります。
無許可で進めてしまうと、農地法に違反することになるので、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されることがあるので注意してください。
また、すべての土地が農地転用をできるわけではなく、立地基準と一般基準に合格する必要があります。
農地転用を申請する上で費用がかかることはありません。
しかし、必要な書類を揃える上で行政書士に依頼する方も多く、その場合手数料が数万円かかることがあります。
農地転用を行う許可が下りるまで条件によっては約1ヶ月ほどかかるので、時間に余裕を持ち申請を行うようにしましょう。
今回は、土地の農地転用の方法やメリットやデメリットなどについてご紹介いたしました。