家の建て替えの期間について紹介します。老朽化が進んだ戸建ての解体や建て替え工事の期間をまとめました。また、建て替えに必要な費用や工事中の仮住まいとなる家の家賃相場も掲載しているので、古くなった家の建て替えをする際の参考にしてください。
建て替えにかかる期間や費用を解説!
老朽化が進んでしまった家や、誰も住まなくなった空き家は、解体か建て替えをする必要があります。本記事では、家の建て替えの際にかかる費用や期間について紹介します。
また、建て替え工事中に必要となる仮住まいの家の家賃相場なども掲載しているので、戸建てを建て替える際などの参考にしてください。
建て替え完了までの大まかな流れと期間
まずは、建て替え工事が完了するまでの大まかな流れと期間について紹介します。工事の流れを理解しておくと、不測の事態にも対応できるので、最初にしっかりと覚えておきましょう。
家の建て替えの流れ
戸建てなどを建て替えを行う際の、期間は全体で1年程度が目安です。戸建て住宅の建て替えを考えている場合は、建築会社への依頼から始まります。建築会社を探し始めてから新居に入るまでの期間は約1年です。
なお、建て替え期間には大きく、準備期間と工事期間に分けられます。ただし、建築会社によって、工事にとりかかる時間は異なるので、事前にしっかりと確認しておきましょう。
準備にかかる期間は約4~8ヶ月
建て替え工事の準備に必要な期間は約4~8ヶ月です。準備期間は、建築会社の決定、契約・申請手続き、工事前の準備の3ブロックに分けられます。しかし、建築会社の決定に関しては、人によって大きく異なるので注意しましょう。
契約までに半年以上かかってしまったり、逆に1ヶ月ほどで契約に移行できたりする場合もあります。そして、工事前の準備としては、片付けや仮住まいへの引っ越し作業が必要なため、余裕を持って始めておくようにしましょう。
工事にかかる期間は約5~8ヶ月
工事が始まって、新居への引っ越しが完了するまでは約5~8ヶ月です。建て替えの工事期間も解体工事、新築工事、引っ越し作業の3ブロックに分けられます。
工事の期間は入れば、ほとんどがスケジュール通りに進みます。ただし、法務局への申請が遅れてしまうと、工事のスケジュールに影響を及ぼす可能性があるので注意しましょう。
建て替えの各種手続きにかかる期間
次は、建て替え工事を行う際の各種手続きにかかる期間について紹介します。手続きに遅れてしまうと、工事のスケジュールにも影響を及ぼす可能性があります。ですので、事前に各種手続きに必要な書類や費用、審査にかかる期間を把握しておきましょう。
手続き①建築確認
建て替えの際に必要となる建築確認申請は、工事着工前に行わなければならない手続きです。建築確認申請では、設計図書等の建築基準への適合性を審査する手続きです。
書類審査に問題がなければ、建築確認済証が発酵され、工事が開始されます。建築確認申請をする際の費用は、各自治体により異なり、床面積の大きさで金額に決まります。
そして、申請してから完了するまでは数週間程度ですが、問題があった場合は、さらに時間がかかるので注意しましょう。出典:建築関係法の概要(国土交通省)
手続き②建物滅失登記
建物減失登記の手続きは、家の解体後1ヶ月以内に行わなければなりません。申請の期間を過ぎると過料を科せられる可能性もあります。また、建物減失登記の申請には、多くの書類が必要となるので、余裕を持って準備しましょう。
そして、建物減失登記に必要な費用は、自分でやるか司法書士事務所や土地家屋調査士に依頼するかによって変わります。
もちろん、自分で書類等を用意した方が費用を抑えられますが、心配な場合は、依頼して確実に書類を揃えましょう。なお、建物滅失登記の手続きは申請から完了まで約7日程度かかります。出典:不動産登記法(e-GOV法令検索)
手続き③建物表題登記
建物表題登記の手続きは、建物を取得した1ヶ月以内に行う必要があります。建物滅失登記と同様に、期限内に手続きを進めないと過料を科せられる可能性もあるので注意しましょう。
申請には所有権証明書や住所証明書、建物図面などの書類が必要ですので、早めに準備しておきましょう。そして、建物表題登記に必要な費用は、建物の形状や所有権証明書の有無によって変動します。申請から完了までは約10日ほどかかります。出典:不動産登記法(e-GOV法令検索)
手続き④抵当権設定登記
建て替えの際に住宅ローンを使用する場合は、抵当権設定登記の手続きが必要です。抵当権設定登記には専門の知識が必要となるため、司法書士に依頼するのがおすすめです。
司法書士に依頼する場合は、手数料がかかるので、費用はその分多くかかります。抵当権設定登記には、印鑑証明書や登記原因証明情報、金融機関の資格証明書などが必要です。
そして、抵当権設定登記の手続きを行う際は、司法書士に依頼した時の費用にプラスして、借入額×0.4%分の登録免許税がかかります。
手続き⑤ローン審査
建て替えの時にローンを利用する場合は、ローン審査の期間も把握しておきましょう。ローン審査には事前審査と本審査の2つあります。ローンを利用する際は、金融機関や与信力、担保力などによって期間が異なります。
事前審査の結果は、比較的早いですが、本審査では長ければ1ヶ月以上かかることもあるので注意しましょう。
審査に時間がかかるときに考えられる原因
建て替えの際の各種審査に時間がかかる場合は、いくつかの原因が考えられます。最初に考えられる原因は、書類に不備がある場合や追加書類が必要となる場合です。申請時に書類が不足している場合は、当然審査が進行されません。
また、追加書類がある場合も、追加書類のやり取りなどが発生するため、審査結果が出るまでに時間を要します。
さらに、ローン審査など金融機関に関わる際は、申し込みが集中していると審査結果が出るまでに時間がかかります。特に、住宅ローンの繁忙期である1月~3月は長引く傾向にあるので注意しましょう。
建て替えの解体工事にかかる期間
次は、建て替えの解体工事にかかる時間を見てみましょう。解体工事が完了するまでの流れと工事が長引く原因についても掲載しているので、解体工事の期間を把握する際の参考にしてください。
解体の工程と工事期間の目安
解体工事は、いくつかの工程に分けることができます。最初に、解体業者との契約を行います。次に、建て替えの解体工事を行う場所の近隣住民への挨拶も忘れずに行いましょう。そして、解体工事が開始され、外構から解体が始めります。
その後、建物の解体工事、基礎の撤去作業が行われます。最後に、整地と清掃を行ったら解体工事は完了です。建物の解体は、面積や構造によって期間に差が出ます。
解体業者との契約から解体が完了するまでは、一般的に9~19日程度です。ただし、さまざまな要因によって、解体工事が長引くので、日数はあくまで目安として覚えておきましょう。
天気や追加工事の有無で長引く場合も
解体工事が長引く最大の原因は天気です。雨天の場合は解体工事を行うことができないので、その分工事期間が長引きます。
また、住宅の建材にアスベストが使用されていると、特別な手続きと特殊な工法による解体が必要ですので、解体の時間が大幅に延びます。その他にも、工事を進める中、地中埋蔵物が見つかった際は、撤去する時間も必要です。
建て替えの各種調査にかかる期間
次は、建て替えの時に必要となる、各種調査について紹介します。解体前に行う敷地調査と、解体後に行う地盤調査を掲載しているので、建て替えを行う際の参考にしてください。
調査①敷地調査
敷地調査は、建て替えを検討している家の解体前に行う調査です。建て替えを考えている土地の測量や土地にかかる法規制、ライフラインの整備状況などを調査しています。
敷地調査は、建築会社や土地家屋調査士、測量士事務所に依頼することが可能です。そして、敷地調査の期間の目安は約7~10日間です。
調査②地盤調査
地盤調査とは、土地の地盤の強度を調べる調査です。地盤調査では、専門的な重機を使って調べます。なお、敷地形状によって工法が違い、調査する期間も異なります。そして、地盤調査にかかる時間の目安は約10~20日間です。
地盤の改良工事が必要な場合はどうなる?
地盤調査の結果によっては、改良工事が必要になる場合もあります。計画している住宅の規模や構造によっては地盤改良が必要となる場合、建築工事に着工するまでに時間がかかります。
そして、地盤改良にかかる期間は、土地の状況や面積、新築する住宅の規模によって異なるため、専門家にしっかりと確認しておきましょう。
また、地盤改良工事にはいくつかの工法があるので、早めに着工したい場合は、最短の方法ができないかどうか相談するのがおすすめです。
建て替えの新築工事にかかる期間
次は、建て替えの新築工事にかかる期間について見てみましょう。戸建てを建てる際の工法や戸建ての構造に分けて掲載しているので、建て替えの新築工事期間を調べる際の参考にしてください。
在来工法の場合
建て替えの新築工事は、工法や戸建ての構造によって、工事期間が異なります。在来工法は、日本に古くからある伝統工法を簡略化して、木材を使う建築方法です。在来軸組工法ともいわれており、柱と梁を組んで、家の骨組みを造ります。
昔から取り入れられている工法のため、多くの建築業者が取り扱っています。そして、工期の目安は約4~5ヶ月とやや長めです。
2×4工法(ツーバイフォー工法)の場合
2×4工法(ツーバイフォー工法)とは、アメリカで発達した合理的な工法です。難しい技術の必要がなく、安定して高品質な住宅を建てることができます。
職人の技術や経験値に左右されずに材料を組み立てられるので、工期を短くしたい場合におすすめです。
また、耐震性に優れた工法となっており、在来工法と比較すると約1.5~2倍ともいわれています。2×4工法(ツーバイフォー工法)を利用した建て替えの新築工事の工期は約2~4ヶ月です。
軽量鉄骨造の場合
戸建ての構造で鉄骨造は複数種類存在しますが、その中でもポピュラーなのが軽量鉄骨造です。軽量鉄骨造は、厚さ6mm未満の軽量鉄骨を折り曲げた、さまざまなフレームを軸組みにして、現場で組み立てます。
軽量鉄骨造は、在来工法のような職人の技術も必要なく、一定の品質も保証されるので比較的容易な工法です。さらに、現場で組み立てるため、工期も在来工法よりも短く、約2~4ヶ月ほとが目安となっています。
鉄筋コンクリート造の場合
鉄筋コンクリート造は、鉄筋で補強したコンクリートが構造体になっています。鉄筋とコンクリートが互いを補うことで、高い強度を実現させています。
耐震性や遮音性、気密性、耐火性にも優れており、デザインの自由度も高いです。ただし、工事費用が高く、工期の目安も約5~6ヶ月とやや長めとなっています。
建て替えにかかる各種費用の目安
次は、建て替えにかかる各種費用について紹介します。建て替え工事を行う際は、仮住まいに引っ越しや家賃などにお金が発生するので、事前にかかる費用の目安を把握しておきましょう。
設計費用の目安
建て替えの際に新築の設計を依頼する場合は、設計費用がかかります。設計費用の相場は、設計事務所へ依頼する場合、建物価格の10~15%を支払うのが一般的です。
なお、工務店やハウスメーカーに設計を依頼する場合は、3~5%が支払い額になることもあります。
さらに、依頼する業者によっては、建物価格に設計費用も含んでいることもあります。そのため、事前に設計費用に関しては、依頼する場所に確認しておくようにしましょう。
引っ越し費用の目安
建て替えを行う期間には、仮住まいとなる家に引っ越す必要があります。さらに、新居が完成した際には、仮住まいからの引っ越しもあるため、2回分の引っ越し費用が必要です。
引っ越しを依頼する業者や荷物、時期によって金額に差はありますが、一般的には15~30万円ほどかかります。決して安い金額ではないため、複数の業者をしっかりと吟味して、少しでも費用を抑えるようにしましょう。
仮住まいの家賃の目安
建て替え工事中には、仮住まいとなる家の家賃費用もしっかりと計算しておく必要があります。また、仮住まいに住む期間なども考慮して家を探しましょう。
建て替え工事の期間中、仮に3LDKの家賃10万円の仮住まいに住む場合、6ヶ月分の家賃(60万円)+敷金・礼金(20万円)+仲介手数料(10万円)+保証金やその他(10万円)で合計80万円ほどかかります。
住む場所や間取りによっては、家賃が変わるので、少なくとも50万円は想定しておきましょう。なお、少しでも家賃を抑えるために、敷金礼金や仲介手数料がない物件やキャンペーンを行っている不動産会社を探すのもおすすめです。
解体工事費用の目安
建て替えを行う建物を解体する際の費用は、坪単価で1.5~3万円ほどです。なお、敷地が広くなれば坪単価が下がったり、駐車場などの構造によって上がったりする場合もあります。
そして、坪単価が安くなりやすいのは、木造でシンプルな造りの建物です。逆に、強度の高い鉄骨やコンクリート造、複雑な造りの建物は高額になりやすいです。
新築工事費用の目安
建て替えの新築工事は、土地の広さや床面積によって異なりますが、1000万円以上かかるのが一般的です。また、ハウスメーカーが扱うような大量生産型のパッケージ住宅であれば、費用を抑えることもできます。
家の費用を抑えて、生活や子供の教育費にお金を回したい人におすすめです。新築工事の費用に上限はないため、個人の価値観や資産に合わせて調整しましょう。
なお、長期優良住宅の場合は、補助金が出る可能性が高いので、費用を抑えたい場合は利用しましょう。出典:長期優良住宅のページ(国土交通省)
不動産取得税・印紙税・登録免許税の目安
家の建て替えには税金もかかります。主な税金は不動産取得税・印紙税・登録免許税の3つです。各税金は、固定資産税評価額や建物価格に対して数%の割合でかかるので、予め計算しておきましょう。
なお、不動産取得税などは優遇措置で免除になる場合もあるので、事前に確認しておくようにしましょう。
建て替え期間中の仮住まいを探す時のポイント
次は、建て替え工事中の仮住まいを探すポイントを見てみましょう。建て替え工事の内容によっては、1年近く済むことになる場合もあるので、費用を抑えるためにも探す際のポイントをしかりと押さえておきましょう。
約半年~8ヶ月間住むことを前提に探す
建て替え工事中の仮住まいの家は、最低でも半年は済む前提で探すようにしましょう。ほとんどの賃貸住宅は2年契約が基本ですので、1年未満の短期契約の賃貸は非常に見つかりにくいです。
しかし、仮住まいとはいえ、新築が完成するまで住む続けることになるので、自分が快適に過ごせる場所を探しましょう。
解体工事の2~3ヶ月前には探し始める
建て替え工事中の仮住まいとなる家探しは、短期契約となるので、中々見つかりません。加えて、犬や猫などのペットを飼っている場合は、さらに見つけにくくなります。そのため、解体工事の2~3ヶ月前には探し始めるようにしましょう。
なお、解体工事の着工日までに仮住まいが見つからない場合、工期が遅れる可能性があるので注意しましょう。ただし、仮住まいを契約するタイミングが早すぎると、その分の家賃がかかるので、契約のタイミングには注意が必要です。
一般的な賃貸住宅以外も検討する
一般的な賃貸住宅以外にも仮住まいになる、場所も多いので検討しておきましょう。一般的な賃貸住宅では、1年未満の短期契約を受け付けていない場合や、敷金礼金がかかることもあります。
そのため、建て替えの新築工事に費用を回すためにも引っ越しや、仮住まいの家賃を少しでも抑える選択をしましょう。
UR賃貸住宅
UR賃貸住宅とは、都市再生機構が管理している賃貸住宅です。礼金や仲介手数料が不要で、短期間でも借りることができます。さらに、間取りが広めの物件も多く用意されています。
賃料を抑えつつも、快適な暮らしができるので、建て替え工事中の仮住まいとしてもっともおすすめです。ただし、UR賃貸住宅は人気が非常に高いので、空き物件がない可能性もあるので注意しましょう。
ウィークリーマンション
ウィークリーマンションやマンスリーマンションを利用するのもおすすめです。月単位で契約できるマンスリーマンションよりも、週単位で契約できるウィークリーマンションの方が調整しやすいです。
そして、ウィークリーマンションは、敷金・礼金・仲介手数料が発生しないことがほとんどで、利用日数に応じた金額を支払うのみで借りられます。ただし、月単位や週単位で契約できるため、賃料が割高となる場合が多いので注意しましょう。
ホテル
仮住まいとなる賃貸住宅が見つからない場合は、ホテル住まいも検討しましょう。ただし、ホテルは家族で住むには狭く、1日の部屋代も高いです。そのため、ホテルを探す場合は、マンスリーで契約でき物件を探して、少しでも費用を抑えましょう。
仮住まい中の荷物保管はトランクルームを活用
引っ越しの際に荷物を少しでも減らしたい場合は、トランクルームを活用しましょう。トランクルームとは、自宅の収納の延長として利用できる収納サービスです。
一般的にトランクルームは、月額製で月々の料金を支払うことで収納スペースをレンタルできます。トランクルームの平均料金は2,000~7,000円程度ですが、広さや立地によっては、1万円を超える場合もあります。
仮住まいの家賃や引っ越し費用は現金で用意しておく
建て替え工事中の引っ越しや仮住まいの家賃は、住宅ローンの対象にはなりにくいので、自分で現金を用意しておきましょう。建て替え工事中の引っ越し費用などでも相当な金額となるので、前もって用意するのがおすすめです。
建て替えに要する期間や費用は事前のチェックが大事!
建て替え工事を行う際には、自分で用意するものも多く、事前のチェックが非常に大事です。解体工事や新築工事にかかる期間、仮住まいに引っ越す費用や、さまざまな手続きに必要な費用などを理解しておく必要があります。
事前に期限や費用などを理解しておくと、本番は柔軟に対応することでき、スムーズに建て替え工事を進めることが可能です。