土地活用ではマンションを経営する方法が有名かもしれませんが、そのほかにもサービス付き高齢者向け住宅を経営する方法や、保育園を経営する方法、太陽光発電を行う方法などがあります。
土地活用にはそれぞれ使える補助金があります。補助金は、経済活動を行う事業者に対して、経済活動を補助するために給付されています。補助金を利用することで、土地活用における金銭的な負担を減らして実施することが可能です。
この記事では土地活用の方法について、空き家を活用する方法、マンションを経営する方法、サービス付き高齢者向け住宅を経営する方法、保育園を経営する方法、太陽光発電の5つの方法をご紹介します。それぞれの土地活用ごとに、特徴や注意点、使える補助金についてもご説明します。
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補助金について
補助金とは、経済活動を行う事業者に対して、経済活動を補助するために給付されるお金です。国や自治体などが何かの政策を促進することを目的として、税金を使って事業者や個人事業主を支援しています。
補助金の給付には審査があります。補助金を給付するか、給付する場合はいくら給付するかが審査で決められます。
補助金は決められている条件を満たした場合に受給することができます。
補助金が受給できる土地活用方法一覧!
土地活用の方法には、それぞれに使える補助金があります。土地活用ごとに、特徴や注意点、使える補助金についてご説明します。
①空き家の活用
空き家の活用や解体、購入には自治体ごとに補助金が出る場合があります。現在使われていない、または今後使う予定のない空き家がある方、また空き家の購入を検討している方は所属している自治体のホームページ等を確認してみましょう。
空き家活用における注意点
受け取れる金額や条件は自治体ごとに異なるためご注意ください。
空き家活用で受給できる補助金
受け取れる金額や条件は自治体ごとに異なるためご注意ください。
②マンションを経営する
マンション経営では、初期費用としてマンションの建設費を支出しなければなりませんが、自分で所有している土地にマンションを建てる場合は、マンションの建設費を出費しなくて済みます。
マンション経営で得る家賃収入は不動産所得として計上しますが、減価償却費や青色申告特別控除などを計上することで所得をマイナスにすることができれば、給与所得など他の所得から差し引くことができます。
マンション経営は、老後の収入を確保することにも役立ちます。将来年金を受給できなくなったり、少額しか受給できなくなったりした時のために備えておくことが可能です。
マンション経営における注意点
近年の日本では人口減少が深刻化していて、人口はピークを過ぎて減少しています。少子高齢化も進んでいて、人口が減るスピードは増していくと考えられます。このような社会情勢によって、マンション経営は増加しています。競争率が高くなっているため、厳しい戦いを強いられます。築年数の古いマンションや郊外にあるマンションは、経営が困難になることが心配されます。
土地活用としてマンション経営を始めようか考えている場合は、マンションを建てる土地の立地が入居者を呼び込める立地なのか、人口減少が進んでも需要がなくならないのかなど、よく考えてから検討することをおすすめします。マンション経営を行うのであれば、ファミリーやシングルなど、どのような層をターゲットにするのかなどを考えて経営していく必要があります。
マンション経営で受給できる補助金
マンションを新たに建築する場合は、「地域型住宅グリーン化事業」を利用することで、最大110万円以上の補助金を受給することが可能です。長期優良住宅の認定を受けることができれば、110万円の補助金を受給することができます。
さらに地域材を使用して一定の基準を満たす木造住宅を建築したり、国による採択を受けた中小住宅生産者によって供給された住宅にしたりといった条件を満たすことで、プラス20万円の補助金を受給することも可能です。
③サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を経営する
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が安心して暮らせる環境が整えられた賃貸住宅です。
基本的に60歳以上であり自分で身の回りのことができる方が入居の対象になります。サービス付き高齢者向け住宅では「安否確認」と「生活相談」の2つのサービスを提供することが義務とされています。介護や食事の提供、健康管理などは必須ではなく任意のサービスです。
サービス付き高齢者向け住宅については、国土交通省などが施設の供給を促進させるために、補助金による補助などを積極的に行っています。
サービス付き高齢者向け住宅は高齢社会である現代において大きな需要がある施設です。高齢化が進んでいる現代ではサービス付き高齢者向け住宅のような施設の数は不足しています。そのため将来的に安定して収入を得ることができます。郊外にある土地を含めて安定した収入を得られることが見込める活用方法であると考えられます。
サービス付き高齢者向け住宅のような高齢者向けの施設は需要が大きいため、一般的な事業者やマンションなどの物件に比べて空室リスクも低いです。
高齢者は若い世代に比べて活動する範囲が狭くなるため、若い世代向けの物件と比べるとアクセスの良さはそこまで重要視されません。
サ高住経営における注意点
ただしサービス付き高齢者向け住宅は、個人で始めるとなるとかなりの金額の初期費用が必要です。住戸部分が20戸程度のサービス付き高齢者向け住宅の場合は、建物を建築するのにかかる費用は2億円近くになってしまいます。個人で投資する場合は高額な初期費用が必要になることを覚えておきましょう。
サ高住で受給できる補助金
サービス付き高齢者向け住宅を経営する場合は「高齢者等居住安定化推進事業」を利用することができます。施設の建設や改修にかかる費用の補助があります。
この「高齢者等居住安定化推進事業」では、新築の場合は建設費の最大10分の1(上限1,000万円)、改修の場合は費用の最大3分の1(上限1,000万円)の補助を受けることができます。
サービス付き高齢者向け住宅は、一般的な賃貸に比べて建築費が高額です。この建築費の負担を軽減するために、「高齢者等居住安定化推進事業」などのような建設や改修に関わる補助金を利用することをおすすめします。
サービス付き高齢者向け住宅への登録は、都道府県と政令市、中核市が行っています。補助金を申請するにはサービス付き高齢者向け住宅の登録申請書の写しが必要になるため、まずは登録手続きを行います。その後に補助金を申請しましょう。
④保育園を経営する
保育園に行けない待機児童を解消するために、保育園経営にも補助金が用意されています。
制度を利用する場合は、土地のオーナーが建物を建てて土地と建物を事業運営者に貸し出す「建て貸し」が一般的です。建て貸しの場合に得ることができるテナント料は、立地によりますが、坪あたり3,000~1万円です。
しかし借り主が見つからない場合はオーナーが自ら保育園経営を行うことになり、こうなると負担が大きくなります。事業経営者として保育園を経営する場合に得ることができる収入は、月収50~60万円です。
共働き家庭が増加しているため保育園も十分な需要があり、長期的に安定した収入を得ることができます。都心部の方が待機児童や利用希望者が多くいますが、都心部ではない郊外の地域でも需要があります。
保育園経営における注意点
保育園には認可と認可外があります。公的に認可を受けて認可保育園として開業する場合は、補助金の申請をする前に、国や都道府県から認可保育園であると認めてもらうための手続きをする必要があります。手続きで提出する書類は、自治体によって異なります。審査に通れば、認可保育園として開業できるようになります。
保育園を経営するためには広い土地が必要です。認可保育園として経営するためには敷地が100坪以上、園舎の延べ床面積が130坪以上ある土地でないと開設できません。
そのほかにも園児の安全を確保できるか、庭などのびのびと遊ぶことができるスペースがあるかなど、自治体ごとに細かい条件が定められています。
保育園経営で受給できる補助金
保育園の建設に使える補助金として、国が用意した「保育所等整備交付金」があります。保育園の建設や整備、防音対策、防犯対策にかかる費用の2分の1を補助してもらえます。新子育て安心プランに参加する場合は、3分の2を補助してもらえます。自治体独自の補助金もある地域では、他の補助金を利用することでその分も上乗せされます。
認可保育園であれば運営費も補助の対象になります。金額は保育している児童の年齢と人数、保育士の勤続年数の長さで決定されます。基本的に児童の年齢が低く、保育士の勤続年数が長いほど支給される金額は高額になります。
認可保育園か認可外保育園かで受けられる補助金が違いますが、一般的にどちらも各自治体に申請します。他の補助金と同じように、期日までに事業計画書や補助金交付の申請書を提出しましょう。
⑤太陽光発電を行う
太陽光発電ではソーラーパネルなどを設置して得た電力を売ることで収入を得ます。
太陽光発電による土地活用は、事業者やマンションの経営に不向きな郊外の土地を活用したい場合に最適です。集客することを気にしなくてよい方法であるため、アクセスの利便性が悪い場所であっても土地活用できます。
日当たりがよければよいほど、より多くの電力を生み出すことができます。そのため、都心部よりも郊外での土地活用に向いています。
50坪の土地で太陽光発電を始める場合の初期費用は、ソーラーパネルの設置など700万円程度で済み、他の土地活用に比べると初期費用は比較的少なくて済みます。
太陽光発電の運営については太陽光発電事業者にすべて任せることができるため、手間もかかりません。
電力は経済産業省の固定価格買取制度によって、一定期間は同じ価格で電力会社に買い取り続けてもらうことが可能です。たとえば事業用の10kW以上50kW未満は1kWhあたり11円(2022年度)で、この価格が20年間変わることがありません。住宅用10kW未満は17円(2022年度)で、10年間継続されます。
太陽光発電設置における注意点
近年は太陽光発電での売電価格はやや下落している傾向にあります。年間の売電収入は50坪の土地で約60万円で、そこまで多くの収入が得られるわけではありません。
しかし副収入としては十分です。太陽光発電の売電価格や支援制度は、国のエネルギー政策に応じて変動します。そのためエネルギー政策などについて小まめにチェックするのがおすすめです。
太陽光発電設置で受給できる補助金
経済産業省が推進している「ゼロエネルギー住宅(ZEH)」関連の補助金制度や自治体ごとに用意されている補助金制度が利用できます。
ゼロエネルギー住宅とは太陽光発電などで生活に必要はエネルギーを自ら生産できる住宅です。マンションや事業者に対してもZEH関連の補助金が用意されています。そのため賃貸住宅の経営と太陽光発電を組み合わせて土地活用ですることも可能です。
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補助金の申請から受給までのステップ
補助金は、申請すればすぐに受給できるというわけではありません。申請して、補助金の対象となる事業期間が終了してから、補助金が給付されます。補助金が給付されるまでには、次の9つのステップがあります。
1. 申請
申請では、補助金を受給したい事業について内容や必要な費用、実施の効果についてまとめて申請書として事務局に提出します。
2. 審査
事業者が提出した申請書をもとに、事務局が補助金の交付を受けるのにふさわしい事業内容であるかどうかを審査委員会を通して審査します。
3. 採択決定
採択では、事務局が補助金の交付を受ける事業者を選びます。申請した全ての事業者に対して採択か不採択か結果が通知されます。
4. 交付申請
交付申請では、補助金を受給することが決定した事業者が、必要な経費などを申請します。
採択の際に通知された補助金の申請可能金額を上限に、事業を練り直して、事業にかかる経費の参考になる書類も添付し、交付申請をします。
5. 交付決定
申請が事務局に受理されると、「交付決定通知書」が通知されます。 「交付決定通知書」によって、補助金が受給できる事業内容や費目、金額が決まります。
6. 事業期間開始
補助金の対象となる事業を開始します。原則として「交付決定日」以降に事業を開始してよいとされています。
7. 事業期間終了
補助事業期間が終了し、指定された様式で完了報告をします。
8. 完了審査
完了報告に基づいて審査が行われます。この審査によって給付される補助金の金額が確定します。書類不備などによって減額されてしまうこともあるため要注意です。
9. 補助金給付
指定された様式で「支払い請求書」を提出すると、その後に指定した口座に補助金が支払われます。
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補助金を受給する際の注意点5つ
補助金を受給するにあたって、知っておくべき注意点がいくつかあります。ここでは補助金を受給する際の注意点を5つご紹介します。補助金の申請をする前に、ここでご紹介する注意点を確認しておきましょう。
①提出書類をきちんと用意する
事業期間が終了した後、一定期間内に報告書などの提出書類を提出する必要があります。この提出書類に問題があると、補助金が給付されないことがあります。
提出書類の内容がいい加減である場合は、提出書類に問題があるとして補助金が給付されなくなってしまうかもしれません。
提出書類は漏れがないようきちんと用意しましょう。
②受給できる件数に制限がある
補助金は受給できる件数が決められている場合が多いです。
「補助金」のようにお金が給付されるものとして「助成金」があります。「助成金」は条件を満たしていれば受給できる可能性が高いです。これに対して「補助金」は予算が決まっていて最大何件までという決まりがあり、条件を満たしていても枠が埋まってしまうと受給できなくなることがあります。
補助金は公募方法によっては抽選や早い者勝ちになることがあります。予算の関係上、人気の高い補助金は枠がどんどん埋まっていって期限の前に終了してしまうこともあるのです。
たとえば件数が10件までと決められている場合に、20件の申請があったら、10件は審査で落とされて受給できなくなってしまいます。
③補助金は後払い
補助金はほとんどのものが後払い制です。
事業をスタートして、事業で実施した内容とかかった経費を報告し、正しく事業が行われていることが確認されて初めて補助金額が決定し給付されます。
さらに補助金が給付されることが決まっても、給付されるまでには時間がかかります。申請してから給付されるまでに約1年かかるケースもあります。
そのため補助金が給付されることが決まっても、しばらくの間は自分の資金でやりくりしていかなければなりません。
たとえば総額300万円の事業で1/3の金額が補助される場合であっても、まずは自分のお金で300万円の支出をする必要があります。補助金が先に支給されると勘違いして200万円だけ用意し残りの100万円を用意しないでいると、事業を進めることができなくなってしまいます。
それまでは自力で立て替えておく必要があります。補助金は後払い制であることを覚えておいて、事業にかかる総額の資金を用意するようにしましょう。
④事業期間に注意する
補助金では事業期間が決められていて、この事業期間に支出したものが経費として認められます。事業期間外に支出したものは経費として認められないため補助を受けることができません。
事業期間に入る前に支払った経費は補助の対象外になります。また、事業期間終了後に支払った経費も対象外です。
たとえば事業期間が1月1日〜6月30日までである場合は、12月31日に支出したものや7月1日に支出したものについては補助を受けることができないのです。
採択通知があっても、事業期間に入るまでは、設備などを発注しないようご注意ください。設備の購入などについては、前もってメーカーに問い合わせて、事業期間内に購入することが可能かどうか確認しておきましょう。
⑤会計検査院によって不正がないか検査される
補助金を受給した事業者は、会計検査院の検査を受ける可能性があります。申請した事業と関係のないことに経費を支出しているなど、いい加減なことをしていると、指摘されるかもしれません。
正当な目的で補助金を利用していて、きちんと事務処理をしていれば問題ありません。会計検査院の検査が入る可能性があることを覚えておいてこのことを認識した上で、正しく補助金を利用し、正確に事務処理を行いましょう。
補助金を受給して賢く土地活用しよう!
この記事では5つの土地活用と補助金についてご説明しました。それぞれの土地活用によって、特徴や注意点、使える補助金は様々です。その土地にあった土地活用の方法を選びましょう。
補助金は、経済活動を行う事業者に対して、経済活動を補助するために給付されています。土地活用のために事業を行う場合は、補助金を利用することで、土地活用における金銭的な負担を減らして行うことができます。
補助金を利用する際は、注意点も多くあります。提出書類は不備がないよう用意しましょう。補助金は受給できる件数が決められているため、条件を満たしていても受給できない場合もあります。
補助金は後払いであるため、それまでは自力で事業の費用を支払っておく必要があります。補助金の対象になるのは事業期間内のみであるため、事業期間外に設備などを購入しないよう要注意です。補助金を受給すると会計検査院の検査を受けることがあるため、不正を咎められないよう正しく補助金を利用しましょう。
この記事でご紹介した内容を参考にして、その土地にあった土地活用方法で、積極的に補助金を利用しながら、事業を進めていただければと思います。
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