自宅の階段を長年上り下りしているうちに、いろいろと気になる所が出てくる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
階段自体が急に感じたり、手すりがあったほうが良いなど新築の頃は気づかなかった部分が見えてくる場合もあると思います。
今回は、安全な階段に作り変えたいという方に向けて、階段のリフォーム方法を紹介します。
大規模なリフォームではなく手軽に試せる方法も紹介しますので、予算面などからなかなか階段のリフォームに手が出せない方でも参考になるでしょう。
また、階段のリフォームをする際に受けられる助成金についても解説します。
場合によってはリフォームの費用を軽減することが可能なため、すでに工事が決まっている方もぜひお読みください。
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階段への悩みから考えるリフォームの方法を3つ紹介
安全な階段にリフォームするといっても、滑り止めを敷いたり踏み板の角に緩衝材を貼る程度のものから、階段自体の作り変えまでさまざまです。
ここでは、階段へのお悩みを3種類に分けてリフォームの内容を紹介したいと思います。
1.階段の踏み板が滑りやすく転倒しそう
階段を上り下りしている時に足を踏み外してしまい、あやうく転倒しそうになることは誰にでも起こりうることです。
日本の住宅の階段はほとんどが木製なため、靴下で過ごしている場合などは特に滑りやすくヒヤリとした方も多いのではないでしょうか。
一番手軽にできる対策としては、階段の踏み板に滑り止めシートや滑り止めマットを敷くことでしょう。ホームセンターや通販で購入でき、両面テープなどで貼り付けるだけなので簡単に安全な階段へリフォームが可能です。
階段の踏み板の角を隠すため、落下時の衝撃を吸収する緩衝材としての機能も備わり万が一の事態を避けることにもつながります。
デザインもさまざまで、踏み板全体に敷くタイプや踏み板の角だけを覆うタイプなどがあるので好みに応じて選択できます。
費用に関しても一つにつき数千円から入手できるため、非常にコストパフォーマンスに優れたリフォームです。
2.手すりを設置したい
高齢者が階段を上り下りする場合には、手すりがあることで階段の上り下りが格段に楽になります。妊婦の方やケガなどで体のバランスが取りづらい状態の方も、手すりがあることで階段の上り下りが楽になるのであった方が良いでしょう。
手すりの設置だけの場合は階段を工事する必要はありません。DIYの心得がある方であれば、ご自分で手すりの設置を行えば費用も格段に抑えられます。もちろん、安全性や耐久性を考えて、プロのリフォーム業者に依頼することも可能です。
リフォーム業者に手すりの設置を依頼する場合の費用相場は、直階段の片側だけに設置する場合は5万から10万円程度です。
上り下りすることを考えると両側に手すりがあることが理想ですが、予算の問題もあるため片側だけの設置でも問題はないでしょう。
3.階段が急で上り下りするのが大変
階段が急勾配だと上り下りが大変ですし、バランスを崩して転倒しやすくなるので危険な階段といえます。
急勾配の階段は段の高さ(蹴上)が高く、階段を上る時につまずきやすいです。階段の踏み板の幅(踏み面)も狭くなりがちなため、下りる時に足を踏み外しやすく下りるときにも気を抜けません。
そのような急な階段をリフォームする方法としては、2つのパターンが採用されます。階段を撤去して新たに階段を作り直す架け替え工事か、階段の階数を1から2段ほど増やす方法が最もメジャーです。
架け替え工事で階段を緩やかにする場合は前方のスペースが必要となってきます。踏み面を15cmから20cmまで延長する場合でも、階段のスペースが1.5倍の長さになる計算です。
それだけのスペースを確保するのが難しい場合は、階段以外の部分を解体してスペースを設ける必要が出てくるので架け替え工事は簡単には行えません。
架け替え工事のためのスペースがない場合は、既存の階段を生かし階段の段数を1段から2段追加する方法で階段を緩やかにすることが多いです。
リフォーム費用としては、架け替え工事は100万円以上かかる場合もありますが、段数を増やす工事であれば20万から50万まで抑えることが可能です。
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階段のリフォームだけの場合なら家屋への影響は少ない
滑り止めマットを敷いたり手すりを設置するリフォームの場合は、家屋の構造体への影響はあまりありません。
階段を緩やかにするリフォームの場合でも、既存の階段を生かす工事であれば柱などへの影響はないでしょう。
解体工事をともなう架け替え工事であっても、階段の形状を変更したり階段の向きを逆にする工事でなければ家屋への影響は最小限で済みます。
階段の位置を変えたり形状を変更する場合は大規模な工事になる
一方で階段の位置を変更したり、階段の形状を変更するリフォームの場合は大規模な工事になってきます。これは、強度面といった部分で家屋の構造体への影響が大きいためです。
階段の位置を変更する場合、階段を上った先の吹き抜けも拡張するなどの工事も必要となる場合があります。そのため、吹き抜けを部分的に解体したり梁を組み替えたり強度を補強する必要があるのです。
また、構造上の問題から、階段の位置や形状の変更が難しい場合もあります。ツーバイフォー工法で建てられた住宅の場合、家を支える耐力壁を移動することが不可能なため階段の移動が難しい場合ことが多いです。
いずれにせよ、階段の位置や形状の変更を行う場合は、階段だけのリフォームを行うことは現実的ではありません。
どちらかといえば、住宅全体をフルリフォームする場合に、階段の位置を変更したり形状を変えるといった形でリフォームすることが多いでしょう。
解体工事が必要な階段のリフォームについて
階段のリフォームの一案として、滑り止めの貼り付けや手すりの設置でも、階段に手を付けずに上り下りできるようになるため安全性を高めることが可能です。
階段の勾配を緩やかにする場合で架け替え工事を選択した場合は、既存の階段を撤去するために解体工事を行う必要があります。
階段を解体工事する場合の費用相場は10万円から15万円となっており、極端に高額といううわけではありません。
階段を緩やかにするためのスペースに余裕がある場合は、階段の架け替え工事を行うという選択肢も出てくるでしょう。
階段を緩やかにする工事の注意点
階段自体に手を加えるリフォームでは、当然ではありますが工事期間中は階段を使用できません。
そのため、2階に行き来することが物理的に不可能なため、生活をする上では大変不便です。
階段リフォームの工期は架け替えの場合では2週間ほどは見る必要があるため、工事期間中をどう過ごすかは事前に家族と相談することが必要です。
階段のリフォームは要件を満たすことで介護保険の助成金を受け取れる
バリアフリー化を目的とした階段のリフォームであれば、いくつかの要件を満たすことにより介護保険制度の助成金を受けることができます。
受給対象者の条件としては以下のようになっています。
・「要介護」または「要支援」の認定を受けている
・リフォームする住宅の住所が被保険者と同じであり実際に同居している場合
・介護のためのリフォームと認められた場合
支給の対象となるリフォームは、手すりの設置や滑り止め加工といったものも対象になる場合があります。
実際にバリアフリーの階段のリフォームを行う場合、支給の対象か確認を行った方が良いでしょう。お住まいの自治体の介護保険窓口に問い合わせることで、助成金が受けてれる工事かどうか確認できます。
助成金として受け取れる金額は、最大で20万円ですが、そこから1割が自己負担分が引かれるので18万円が上限です。支給対象者の所得によっては自己負担分が2割または3割に増加するため申請時には確認するようにしましょう。
介護保険助成金を受け取るまでの流れ
階段のリフォームで介護保険の助成金を受け取るまでの流れを紹介します。
1.ケアマネージャーに相談
現在介護を担当されているケアマネージャーと相談し、リフォームの内容を検討します。
ケアマネージャーの相談をせずににリフォームを行わず、必ず相談を最初にするようにしてください。
2.ケアマネージャーが「住宅改修が必要な理由書」の作成
ケアマネージャーが「住宅改修が必要な理由書」を作成します。
3.リフォーム業者の選択・見積もり
階段のリフォームを請け負ってくれるリフォーム業者を選択し、見積書を作成してもらいます。
4.お住まいの自治体へ事前申請・審査
必要書類をお住いの自治体の介護保険の窓口に提出し、事前の申請を行います。
介護保険の助成金を受ける審査のために必要な書類と提出物は以下の通りです。
・住宅改修費支給事前承認申請書
・住宅改修が必要な理由書
・見積書
・回収する住宅の平面図
・施工前の写真
5.工事の着工
事前審査が通り助成金の承認が降りたら、リフォームを業者に施工してもらいます。
6.リフォーム業者に工事費用の支払い
リフォームが終了したら、一度リフォーム業者に工事費用の全額を支払います。支払時には必ず領収書を本人宛で受け取ってください。
7.お住まいの自治体への事後申請
必要書類を自治体の介護保険の窓口に提出し、事後の申請を行ってもらいます。
事後申請のために必要な書類や提出物は以下の通りです。
・住宅改修費支給申請書
・住宅改修費請求書
・居住介護住宅改修費支給事前承認通知書
・領収書の原本およびその写し
・施工後の写真
8.助成金の支給
事後申請を受けた後に、各自治体の担当者が施工後の現場確認を行います。確認が終わったら、かかった費用の9割から7割の金額が指定の口座に振り込まれます。
階段の悩みは放置せずに対策した方が良い
住宅の階段で気になる部分があっても、費用や工事期間の問題でなかなかリフォームまで踏み切れない方も多いでしょう。
しかし、「踏み面が狭い」「滑りやすい」といった不安を放置したままで実際に事故が起きてしまった場合は、大きな後悔を残してしまいます。
階段の安全性を高める方法としては、工事が不要な滑り止めマットを敷くといった方法もありますので、まずは簡単な方法から試してみるのはいかがでしょうか。
階段の勾配がきつい、段差が高いといったお悩みの場合は階段の工事を視野に入れる必要が生まれます。
費用面でのハードルが高いかもしれませんが、バリアフリーのためのリフォームと認められれば介護保険の助成金も受け取れるため、自己負担を減らすことが可能です。
階段の安全性について疑問を感じた場合には、リフォーム業者にお悩みを相談することで安全な階段にするための道筋が見えてくることでしょう。
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