コンクリートブロック塀の解体手順について詳しく解説します。解体を業者に依頼する方法を説明!また、費用の詳細な内訳や見積もりの相場、ブロック塀の解体に使える補助金制度も合わせて紹介します。解体にあたっての注意点も挙げていきますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- ブロック塀の解体について解説!
- 解体が必要なブロック塀の特徴
- ブロック塀の解体手順
- ブロック塀の解体費用
- ブロック塀の解体で使える補助金制度
- ブロック塀の解体における注意点
- ブロック塀の解体は手順を守って行なおう!
ブロック塀の解体について解説!
近隣の住宅や道路と、自宅を仕切るブロック塀。建てたときは堅固な造りだったとしても、いつかは傷んでしまうことは避けられません。また、新しく建てたとしても、粗雑な施工であったりすれば、遅かれ早かれ崩壊し、近隣や通行人に迷惑をかけてしまいます。
ブロック塀を解体するまでの手順や、施主としてしなければならないこと、費用や解体に使える補助金にはどのようがあるかをみていきましょう。
解体が必要なブロック塀の特徴
解体すべきブロック塀とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。以下の7項目のいずれかに当てはまるようであれば、検討する余地があります。
特徴①厚さが薄い
ブロック塀の適切な厚さは、その塀の高さによって変わってきます。高さが2m以下であれば厚さ10cm以上、高さが2mを超えて2.2m以下であれば15cm以上が必要です。この基準を満たさないものは薄いブロック塀ということになります。
出典:安全なブロック塀とは(一般社団法人全国建築コンクリートブロック工業会)
特徴②ひび割れている
ブロック塀は、コンクリート壁に比べて、ひび割れに強いといわれています。しかし、設置後はどうしても劣化が始まってしまうため、風雨などにさらされてひび割れの原因となることもあります。
ひび割れに雨水が入り込むなどして、一層の劣化を促進してしまうと、最悪の場合は倒壊する危険も否めません。小さなひび割れであればモルタルなどで補修することもでき、延命化にもつながります。しかし、大きなひび割れであれば解体して造り直したほうが安全でしょう。
特徴③高さがありすぎる
ブロック塀の高さは、塀の内側と外側の地面のうち低いほうから数えて、最高で2.2mまでと定められています。この高さは、控壁を造り、基礎部がL型または逆T型のブロック塀を、コンクリートや砂利などを混ぜた土に据え付けた場合の数値です。
ただし、この基準はブロック塀に高さの制限がかけられた後のものなので、それ以前に造られた塀は適合していない場合もあります。出典:安全なブロック塀とは(一般社団法人全国建築コンクリートブロック工業会)
特徴④基礎工事が行われていない
ブロック塀に、コンクリートの基礎工事が行われていない場合があります。適切な基礎は、基礎部分の地上部が高さ35cm以上、地下部が地中30cm以上必要です。
特徴⑤鉄筋が入っていない
ブロック塀には、内側に鉄筋を通しておかなければなりません。具体的には、塀の中に太さ9mm以上の鉄筋を、最大でも80cmまでの間隔で縦横に通すこととなります。
特徴⑥傾いている
塀に傾きがあると、地震をはじめとした災害によって倒壊する危険性があります。また、傾いているブロック塀は、基礎や地面に近い部分が劣化していることも多いです。
特徴⑦築30年以上経過している
一般に、ブロック塀の耐用年数は30年とされています。この30年という耐用年数は、現行の建築基準法に定められているものです。それ以前に建てられたブロック塀は、見た目は問題がなさそうでも耐用年数をオーバーしている可能性があります。
また、ブロック塀の骨組みでもある鉄筋の耐用年数は15~20年程度と、本体よりも短いものです。このため、雨などで内部の鉄筋がさび付き、強度が落ちていることもあり得ます。出典:劣化のメカニズムとメンテナンス(社団法人 日本建築学会)
ブロック塀の解体手順
家屋などと同じように、ブロック塀の解体にもいくつかの手順があります。解体を決めたら、以下に挙げる6つの手順で進めていきましょう。
手順①業者に依頼をする
ブロック塀を解体する際は、解体工事や土木一式工事、建築一式工事の建設業許可を持つ業者か、解体工事業の登録を受けた業者に依頼しましょう。また、複数の業者から見積もりを取っておくべきです。
ブロック塀の解体をDIYで行うのは、解体作業自体が危険なうえ、騒音などで周囲への損害を含めた迷惑になりかねません。
手順②近隣住民に挨拶をする
ブロック塀の解体では、解体作業や重機・作業車等による騒音や振動、ほこりなどの発生が考えられます。このため、事前に近所の方には挨拶をしておくべきでしょう。
また、倒壊した時の危険性については、工事を施工する業者などから説明してもらうと説得がしやすくなります。ブロック塀が大きかったり、住宅密集地で工事を行うのであれば、地区の集会所などで説明会を行うのもよいでしょう。
手順③マーキングとコンクリートカッター入れ
ブロック塀の解体では、下準備として解体する箇所にマーキングを行います。次に、そのマーキングした箇所に沿ってコンクリートカッターを入れ、ブロック塀をカットしていくという手順です。
マーキングとコンクリートカッター入れは、工事をスムーズに進めるうえで必須の工程です。しかし、粗雑な工事を行う業者はこの手順を省略することもあります。見積もりの時点で、マーキングやコンクリートカッター入れをしっかり行うかを確認しましょう。
手順④解体作業
マーキングとコンクリートカッター入れが終わったら、重機または手作業で解体に入ります。重機を使う方法は工期が短く、その分費用も抑えられる反面、現場まで重機が入れないこともあります。
手作業で解体する方法を取る場合は、作業員がブレーカー(はつり機)を持って少しずつ解体していき、破片をトラックに積み込みます。
あらかじめ業者に現場を見てもらい、重機を使うか手作業となるかを見積もりで確認しましょう。工期は早ければ1日、長くても1週間程度です。
手順⑤廃材を処理する
解体したブロック塀は、廃材として産業廃棄物の扱いとなります。産業廃棄物の処分方法は都道府県ごとに規則が異なるため、該当する都道府県で許可を受け、適切な方法で処理できる業者を選びましょう。
手順⑥掃除と小口補修
工事の完了後は、細かい残骸などを取り除き、現場を掃除してもらいます。また、ブロック塀の一部を解体せず残した場合は、残した塀の小口(切り口)をセメントで補修してもらいましょう。
ブロック塀の解体費用
ブロック塀の解体費用は、塀の大きさのほかにも、いくつかの要因により決まってきます。詳しくみていきましょう。
1平方メートルあたりの相場
ブロック塀の大きさによる金額は、おおむね1平方メートルあたり5,000円~1万円程度が相場とされています。これに、人件費や運送費、廃材処分費が加えられて最終的な費用が計算されます。
解体費用①人件費
人件費は、地域によって変わってきます。例えば東京都であれば、作業員1人につき20,000円~25,000円程度です。
解体費用②運送費
運送費は、塀の大きさに応じたトラックの規模で変わります。おおむね5,000円~10,000円程度が相場です。
解体費用③廃材処分費
廃材処分費は、解体して産業廃棄物となったがれきを処分するための費用です。こちらは解体したブロック塀の廃材の量と、材質で変わるため、処理が難しいものであれば数万円単位となることもあります。
ブロック塀の解体で使える補助金制度
自治体によっては、ブロック塀の解体のための補助金制度を設けているところもあります。平成30年の大阪北部地震で、小学校のブロック塀が倒壊し、児童が亡くなった事故が契機となりました。出典:学校ブロック塀地震事故の調査について(答申)(高槻市)
各地方自治体で補助金制度が存在する
地方自治体によっては、ブロック塀の解体に対して補助金制度を設けていることがあります。解体の補助対象となるブロック塀の大きさや種類といった条件や、補助金の金額などは自治体によってさまざまです。
まずは、地元自治体の建築関係部署に補助金制度の有無や利用条件を問い合わせてみましょう。
ただし、これらの補助金は、自治体が定める期限内で、かつ工事の契約前に手続きを完了させてください。契約を結んだあとや工事着手後の申請は無効となります。
なお、補助金は道路に面したブロック塀が対象で、隣の家との境界では除外されます。また、補助金の額や割合は、解体するブロック塀の大きさや種類によっても変わります。 出典:ブロック塀等の撤去を促進する補助制度について(大阪市)
補助金制度を利用できる条件
補助金の利用条件は、自治体によって異なります。多くの自治体では、①道路などに面している②地震等で倒壊する危険がある場合の解体及び、③解体後の新しいフェンス設置が対象です。
これに、自治体ごとの条件が加わります。例えば既存のブロック塀の解体にのみ補助金が下りる場合や、解体するブロック塀の高さなどに制限を設けているなどの場合です。また、地方によっては、解体工事の業者をその自治体に本店のある業者に限っていることもあります。
例えば大阪市で、補助金の対象となるブロック塀は、「道路等に面し、安全性の確認ができない、高さ80cm以上のブロック塀等」です。出典:ブロック塀等の撤去を促進する補助制度について(大阪市)
補助金の活用方法
補助金は、ブロック塀の解体工事費用のほか、事前の調査費用や改修費用などにも活用できます。状態がよかったり、造ってから15年程度しか経過していないのであれば、解体ではなく耐震補強工事のほうが有効な場合もあります。
ブロック塀の解体における注意点
注意点①業者立ち合いで近隣住民に説明を行う
人によっては騒音などを理由に反対されることがあります。そのような事態を避けるためにも、業者や建築士といった専門家に立ち会ってもらったうえで、ブロック塀の解体がなぜ必要なのか説明してもらいましょう。
注意点②ブロック塀の所有権を明確にする
ブロック塀が建っている場所が隣の家や敷地との境界であった場合は、解体前に自分と隣人のどちらのものであるかを確認しましょう。自分のものであることが明らかであれば、自由意志で解体して構いません。
しかし、ブロック塀が隣人のもの、または共有物であれば、今後のトラブルを避ける意味でも解体費用の負担割合や今後の管理のしかたを協議すべきです。
ブロック塀が隣人との共有であれば、費用はなるべく折半となるのが望ましいでしょう。また、隣人のブロック塀で自分が何らかの迷惑を被っていると感じているのであれば、隣人を説得するしかありません。
注意点③解体業者は相見積もりする
業者を選ぶ際は相見積もりを取りましょう。ブロック塀の解体は作業のやり方などによって大きく変わってきます。
適切な料金で、かつ技術の伴った業者を選ぶためにも、事前に複数社から見積もりを取って比較すべきです。
解体後にできることは?
ブロック塀を解体しても、敷地の境界や家屋の目隠しの意味では何らかの壁は必要なことも多いでしょう。この場合は、現行の基準に適合したブロック塀を新しく造ると、これまでと同じように生活できます。
そのほか、アルミなどの軽い材質でできた目隠しフェンスに変えるのもおしゃれさを演出できます。また、ガーデニングが趣味の人には、生け垣を造る方法もお勧めです。生け垣は目にも優しいほか、防風・防音効果も期待できます。
ブロック塀の解体は手順を守って行なおう!
ブロック塀を解体する時は、解体前・解体中・解体後とそれぞれに守るべき手順があることが分かりました。また、自治体によっては補助金が出され、費用負担を少しでも軽くできる可能性もあります。
ご自宅や遠方の実家などで、心当たりがある人は、倒壊した時の危険性を考えて、補助金制度の利用も含めて解体を検討してみましょう。