解体工事の勘定科目を解説!科目の選び方で節税対策も!

流れ

解体工事を行って建物を取り壊した場合、意外と悩むのが解体工事費用の経理上の処理です。

建物や工事の状況次第で解体工事費用は大きく変化しますが、大きな出費になることが多いです。

大きな金額が動くので経理上の処理は間違えたくないですが、解体工事なんて頻繁に行うものではないので「どの勘定科目に入れればいいのかわからない」といった悩みは当然です。

こういった仕訳は簿記の知識がないと難しく思えるかもしれませんが、ポイントを押さえれば誰でもできます。

今回は勘定科目の仕訳方法を中心に解体工事費の経理上の処理について解説していきます。

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仕訳の基礎

まずは仕訳の基礎から確認していきましょう。

仕訳とは取引を記録する作業のことを指します。

仕訳は基本的に次のような流れで進みます。

  1. 取引が発生する
  2. 資産・負債・資本・費用・収益のどのグループに属する取引か考える
  3. 属するグループが決まったら、グループの中のどの勘定科目を使うかを考える
  4. 勘定科目が決まったら、金額を計算する

この仕訳作業で悩むのが、どのグループに属する取引か、どの勘定科目を使うのかを考える部分です。

ここでカテゴリーを間違うと資産の内訳が合わなくなってしまいます。

逆にここを間違わずにいれば、後はスムーズに作業が進みます。

勘定科目はどうして必要なのか?

勘定科目とは、取引による資産・負債・資本の増減、費用・収益の発生について、わかりやすく記録するための分類項目です。

勘定科目を使うことで、お金がどのように入ってきたのか、どのように出ていったのかがひと目で分かるようになります。

勘定科目で分類項目を整理することにより、帳簿への記載を誰でも同じように分類できて、誰が帳簿を見ても同じように理解できるようになります。

勘定科目の設定

勘定科目は法律で決められているわけではないので、個人で勝手に項目を作ってしまうことも可能です。

しかし、勝手に作った勘定科目は他社からはわかりにくくなってしまいます。

基本的には広く使われている一般的な勘定科目を使ったほうがいいでしょう。

よく使われる勘定科目には以下のようなものがあります。

グループ主な勘定項目
資産 現金・預金・手形・建物・土地など
負債買掛金・未払金・借入金など
純資産資本金・元入金など
費用商品仕入高・交通費・修繕費・消耗品費など
収益売上・雑収入など

解体工事の費用は、これらの分類のどれに当たるのでしょうか。

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解体工事の仕訳・勘定科目は工事の目的を確認

解体工事の費用にどの科目を使うかでポイントになるのは、解体工事の「目的」です。

勘定科目を選ぶときに、解体工事を行う目的は何かをはっきりさせましょう。

具体的に言えば、「建物の撤去だけが目的」なのか、「解体後に新しい建物を建てる土地利用が目的」なのかで科目が変わってきます。

それぞれ見ていきましょう。

建物の撤去が目的の場合

建物の解体や取り壊しの目的が「撤去」の場合、つまり「取り壊し後に新たに建物を建てない」場合は、単純に「固定資産除却損」として処理します。

※固定資産除却損……不要なため有形固定資産(土地や建物など)を廃棄処分する際、除却によって発生した損失のこと。

  • 具体例

倉庫を解体し、費用が200万円かかった。解体後に新しく何かを建設する予定はない。

借方金額貸方金額
固定資産除却損200万円預金200万円

解体費用だけを計算すると上記になります。

実際は建物の帳簿価格も減少させる必要があります。

倉庫の取得価格が500万円だとすると以下のようになります。

借方金額貸方金額
固定資産除却損700万円預金200万円
建物500万円

固定資産除却損は「費用」グループに属する費用勘定です。

建て替えが目的の場合

新しく建物を建てるために、既存の建物を解体する場合です。

この場合は建物の解体は新しい資産(新しく建てる建物)を得るために必要な行為として、解体費用は新規資産の取得に掛かる費用と同じものとしてみなすことが多いです。

解体工事も新築工事の一部という位置づけになるので、

新規資産取得費用=既存資産解体費用 + 新規資産建設費用

として、解体工事費用の仕訳は新規資産の取得価格に含める資産に計上する仕訳を行います。

  • 具体例

既存の倉庫を解体し、200万円かかった。解体後、新しい倉庫を1000万円で建築した。

借方金額貸方金額
前払金200万円預金200万円

解体にかかる費用は上記になります。

解体後に建物などを作る予定がある場合は、「前払金」として資産科目に計上します。

新しい倉庫の購入も含めた仕分けは以下になります。

借方金額貸方金額
建物1200万円預金1000万円
前払金200万円

前払金は「資産」グループに属する資産勘定です。

現状の復旧が目的の場合

建物の解体の目的が建物の修繕など「現状の復旧」の場合、解体費用は「修繕費」として計上します。

ただし、建物の修繕のために建物すべてを一度解体するというのは考えにくいですよね。

災害で半壊状態になればあるいは……というくらいでしょうか。

通常は建物の一部を解体、修繕するくらいです。

「現状の復旧」は「修繕した場所が既存の物件と同一の仕様、同一の価値」である必要がある点には注意です。

「修理ついでに旧式の仕様を最新のものに変えよう」と改良などを行った場合は、資産の新規取得とみなされることがあります。

その場合、費用ではなく資産に計上しなくてはなりません。

解体工事は節税対策になる? 賢い確定申告のコツ

確定申告は、その年の所得を確定させて支払う所得税を申告する作業です。

事業主は売上を増やすだけでなく、節税対策をして税金を抑えることも重要ですよね。

確定申告で節税対策をしているかいないかで、所得税が大きく変わることもあります。

所得税はざっくりと言えば「(所得額-経費-所得控除)×税率」で求められます。

解体費用は決して安くはありません。

「経費で解体を行ったら、その期は確定申告する所得税も安く済むのでは?」と考えてしまいがちですが 、解体費用は処理方法次第で節税につながる場合とつながらない場合があるんです。

基本的になにかの支払いをした際の会計処理は、大きく2種類の処理方法があります。

  1. 費用として計上
  2. 資産として計上

それぞれどのような違いがあるか見ていきましょう。

確定申告で解体工事の費用を「費用」として計上する

確定申告で費用として計上する場合、解体費用は一括で経費にします。

その支払を行った期の利益が下がるため、確定申告する所得税も抑えられます。

解体費用を支払った期に大きな利益が出ているなら、解体費用の支出を「費用」として計上したほうが節税につながります。

解体工事の費用を「資産」として計上する

確定申告で資産として計上する場合は、資産ごとにそれぞれ定められている「耐用年数」で解体費用を分割したものを少しずつ経費にしていく「減価償却」と言われる方法で処理していきます。

長期間に渡って経費にするので、確定申告する所得税にも長期間影響します。

将来も経費として少しずつ処理していくため、「今後利益が見込まれている場合」は一度資産に入れておくことが節税につながります。

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確定申告前にチェック!減価償却と消耗品費について

解体工事費用を資産として計上する場合、減価償却で支払うのが一般的です。

確定申告をする際、所得税に大きく影響するのでしっかりチェックしておきましょう。

減価償却って?

減価償却とは、固定資産などを金額の高いものを購入した時、購入した年に一度に経費とするのではなく分割して少しずつ計上するルールです。

例えば、500万円の固定資産を購入して10年間使用した場合を考えてみましょう。

500万円を一度に経費として処理すると、それまで毎年黒字だったのにその年だけ大幅な赤字、なんてことになってしまうかもしれません。

赤字になると銀行からの融資を打ち切られてしまう可能性もあります。

翌年以降も費用がかかっていないのに収益だけ発生するというよくわからない事態になってしまいます。

そこで、500万円を減価償却して少しずつ経費としていくことで、毎年の利益を正確に表せるようになります。

取得費によっては消耗品費として処理

消耗品費とは、仕事で使う少額な消耗品を購入した際に使う勘定科目です。

似たような科目に雑費がありますが、雑費はどの科目にも当てはまらないときに仕方なく使う科目です。

雑費は内容が不明確なので、雑費が多いと税務署から目をつけられる可能性があります。

消耗品費として処理できそうなものは消耗品費として記帳しましょう。

いくらまでが消耗品費?いくらからが減価償却?

高額なものは減価償却、少額なものは消耗品費と言っても、明確な基準がわからなければどちらにするべきか迷ってしまいますよね。

消耗品費の基本的な基準は10万円です。

取得価額が10万円未満のもの、または耐用年数が1年未満のものは消耗品費として計上できます。

例えば9万円のパソコンを買ったとしましょう。

パソコンに「消耗品」という感覚を持っている人は少ないと思いますが、経費計上としては消耗品費として扱えます。

逆に、10万円以上のものを購入した場合は減価償却資産として扱います。

経費処理として減価償却をしなくてはなりませんが、この処理方法もいくつか種類があるんです。

  • 一括償却資産

取得価額が10万円以上~20万円未満の場合は、耐用年数などに関わらず3年間で償却できる「一括償却資産」として処理できます。

この方法は確定申告が白色申告、青色申告のどちらでも適用できます。

一括償却資産は固定資産税の対象にならないというメリットがあります。

  • 少額減価償却資産の特例を使用する

コチラの方法は確定申告が青色申告の場合のみ可能な特例です。

取得価額が30万円未満なら、一括でその年に経費とすることも可能というものです。

この特例は年間300万円の限度額があります。

  • 減価償却資産

通常の減価償却です。

取得価額を耐用年数で分割して毎年経費とします。

取得価額ごとの処理方法まとめ

取得価額によって、消耗品費として処理するか、減価償却資産として処理するかが変わります。

さらに減価償却資産は10万円~20万円では3通り、20万円~30万円では2通りの処理方法があります。

取得価額処理方法
10万円未満消耗品費
10万円~20万円一括償却資産or少額減価償却資産の特例or減価償却資産
20万円~30万円少額減価償却資産の特例or減価償却資産
30万円以上減価償却資産

解体工事費、新しい建物の建築費が10万円未満になることは考えにくいので、大抵の場合減価償却できる資産となります。

また、減価償却は減価償却資産の取得に要した金額の手続きです。

建物を解体したあと、新たに建物を建てる予定がない場合は減価償却による処理はできません。

個人の確定申告における取り壊すときの勘定科目は?

法人なら解体するのは事業用の建物なので、問題なく経費として処理できます。

では、個人で解体工事を依頼した場合、解体費用は確定申告のときにどのような扱いになるのでしょうか。

非事業用建物を取り壊す場合

元々の取り壊す建物が自宅など非事業用建物の場合、取り壊す目的によって会計処理の方法が異なります。

  • 譲渡するために取り壊す場合

土地を譲渡するために、その土地に立っていた非事業用建物を解体する場合は、解体費用は譲渡費用として控除されます。

  • 事業用の建物に建て替える場合

自宅などの非事業用建物の解体は、仮に賃貸アパートなどの事業用建物への建て替えだったとしても、単なる家事用資産の処分としてみなされます。

必要経費にはならない「家事費」として扱われます。

  • 非事業用建物に建て替える場合

自宅の建て替えなど非事業用から非事業用への建て替えは当然必要経費にはなりません。

こちらも解体費用は「家事費」として取り扱います。

  • 非事業用建物付きの土地を取得し、すぐに解体した場合

建物付きの土地を購入し、取得後にすぐ解体した場合、解体費用は土地の取得価額に含めます。

すぐに建物を取り壊す場合は建物ではなく土地を利用する目的だったことが明らかだからです。

目安として取得後1年以内くらいなら土地の取得価額に算入します。

非事業用建物の解体費用取り扱い

取り壊しの目的扱い
土地を譲渡するため譲渡費用
事業用に建物を建てるため家事費(必要経費に含まない)
非事業用建物を建てるため家事費(必要経費に含まない)
土地取得後すぐに解体した場合土地取得価額に含む

解体は大きなお金が動くので、なんとなく「経費として扱える?」と考える方もいますが、個人が建て替えのために解体した場合は基本的に経費として処理できません。

事業用建物を取り壊す場合

賃貸アパートなどの事業用建物を解体する場合の費用を見ていきましょう。

  • 譲渡するために取り壊す場合

土地を譲渡するために、その土地に立っていた非事業用建物を解体する場合は、解体費用は譲渡費用として控除されます。

  • 事業用の建物に建て替える場合

老朽化などにより賃貸アパートを解体して新しい賃貸アパートに建て替えるような場合は、解体費用は必要経費として算入できます。

事業用から事業用への建て替えなので、当然といえば当然ですね。

  • 非事業用建物に建て替える場合

古い賃貸アパートを解体して自宅に建て替えるなど、非事業用の建物に建て替える場合は、建て替える事情で扱いが変わります。

建物の老朽化、災害による損壊など、外的要因が理由で取り壊す場合には、その後に建てるのが事業用か非事業用課に関わらず必要経費として算入できます。

しかし、まだ利用できるアパートを「自宅を建てたいから」など個人的な理由で取り壊す場合には必要経費ではなく家事費として算入します。

  • 非事業用建物付きの土地を取得し、すぐに解体した場合

建物付きの土地を購入し、取得後にすぐ解体した場合、解体費用は土地の取得価額に含めます。

事業用建物の解体費用取り扱い

取り壊しの目的扱い
土地を譲渡するため譲渡費用
事業用建物を建てるため必要経費
非事業用建物を建てるため外的要因なら必要経費、個人的な理由なら家事費(必要経費に含まない)
土地取得後すぐに解体した場合土地取得価額に含む

まとめ

解体工事費用は「何を目的とした工事なのか」が重要で、目的によって勘定科目も異なります。

科目によって会計処理の方法も異なり、節税対策の効果も変わってきます。

「費用」として一括で計上したほうが良いのか、「資産」として減価償却をおこない少しずつ経費計上したほうが良いのか、企業の状態などによって異なります。

会計処理に不安がある場合は税理士に相談するのが確実です。

相談するときに「まるでわからない」と相談するよりも「コレとコレで迷っている」と可能性を絞って相談したほうが効率的ですよね。

最終的には専門家の手を借りることになっても、最低限の経理の知識は身につけておいたほうが、なにかと便利です。

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