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家を建て替える前に考慮すること

古い家を建て替えるにあたり、申し込みや手続きなど考えなければならないことはとても多いものです。まずは建て替えの流れを把握し、やることやすべきことをリスト化し把握しておくのが良いでしょう。その中でも特に重要なのは、建て替えで必要な費用の把握です。
この記事では、家の建て替えの流れに沿って必要な費用をわかりやすくまとめています。家の建て替えを検討している方はぜひこちらを参考に、どれだけの予算を考えておいたら良いかを考えてみてください。
建て替えにかかる11種の費用

家の建て替えにかかる費用は、大きく分けると建築会社に支払う工事費用、各種申請などの諸費用の2つからなります。ここでは、建て替えに伴いかかる費用を段階別でさらに11種に分けてご紹介します。
こちらを読めば、建て替え費用の内訳や相場だけでなく、家の建て替えの流れについてもより理解が深まることでしょう。
1:登記所への申請費用
土地や物など、何らかの事柄についての権利、所有を社会に法的に示すために行うものを「登記」と呼びます。家を建て替える際にもこの登記が必要となり、その管理を行う登記所(法務局)へ申請するためには費用がかかります。家の建て替えには4つの登記が必要です。
住宅を解体する際に、既存の住宅登記を抹消するものが「建物滅失登記」です。登録免許税はかかりませんが、土地家屋調査士が代理申請を行う場合の報酬の相場は、住宅1棟につき3〜5万円程度と言われています。
次に、住宅を登記所へ初めて登録することを「建物表題登記」と言います。こちらも登録免許税はかかりませんが、土地家屋調査士が代理申請を行う場合の報酬の相場は、およそ100㎡の木造住宅1棟につき6〜10万円程度と言われています。
家が完成したのち、自分がこの新築の持ち主であるという所有権を登録するのが「所有権保存登記」です。銀行は新築を担保にしてお金を貸すため、住宅ローンを組む前に終える必要があります。
この所有権保存登記の他に「抵当権設定登記」というものもあり、「所有権保存登記」と合わせて権利登記として司法書士が代理申請します。2つの合計で司法書士への報酬が8〜10万円程度、別途必要経費が2〜3万円程度かかります。
2:解体するための費用
建て替えにあたり古い家を解体するための費用も必要です。
家の構造によって相場が異なり、一坪あたりの金額は木造住宅の場合2〜6万円程度、鉄骨住宅では3〜6万円程度、鉄筋コンクリートでは4〜7万円程度と言われています。そのため、30坪の家を解体する場合60〜100万円程度が解体費用の目安です。
加えて、解体時の廃棄物を同時に処理してもらうと別途諸費用がかかることも頭に入れておきましょう。
3:地盤調査の費用や地盤改良工事の費用
解体工事を行う前には、地盤の強度が基準を満たしているかを判断する地盤調査が必要です。正式な地盤調査は解体が済んで更地になってから行われますが、ここでもし地盤の強度が不十分ということがわかれば地盤改良工事をします。
地盤調査はその状態や土地の面積により相場が異なり、5〜25万円が目安です。地盤改良は一坪あたり3万円が相場です。30坪の家では、100万円前後必要になるということを視野に入れておきましょう。

4:土地の測量費用
土地の境界が不明瞭な場所で家の建て替えを行う場合は、土地を測量してその形状を確定させる必要があります。土地家屋調査士や測量士に依頼する必要があり、手数料を含めて必要な金額はおよそ30万円です。
5:設計費用や建築費用
一般的に、家を建て替えるにあたり費用の大部分を占めるのは、おそらく建築費用でしょう。この建築費用も広さや設備によって大きく異なりますが、相場は一坪あたり50万円ぐらいと言われています。
また、設計費用も別途かかります。新築の場合、建築費用の10%ほどが設計費用の相場と言われています。
6:引越しの費用
建て替え費用のうち忘れがちなのが引っ越し費用です。まず古い家から仮住まいの住居に引っ越し、その後仮住まいから新居へ引っ越す必要があるので、2回分の引っ越し費用がかかります。
近距離の移動であれば、引っ越し業者に依頼した場合およそ10万円はかかる見込みです。もちろん荷物の量や家族構成、シーズンなどの条件によりかかる費用は異なってきます。
できるだけ出費を抑えるには、相見積もりを取って複数の業者の中から選ぶことをおすすめします。
7:仮住まいにかかる費用
新築への引っ越し前、仮住まいでの生活費も頭に入れておきましょう。
仮住まいで新しく生活用品や家具家電を購入したり、荷物を預けるためのトランクルームや倉庫などを借りるとそれだけ費用がかかります。新居で使えないものは無駄になってしまうので、購入の際は引っ越し後も使えるものを選ぶのが良いでしょう。
トランクルームなども、借りる期間によってはかなりの出費となります。節約のためには、一時的に荷物を預かってくれそうな実家や知人にお願いすることも考えましょう。
8:諸々の税金
家の建て替えには諸々の税金がかかり、固定資産税や不動産取得税、都市計画税、登録免許税、印紙税などが必要です。それぞれ数万円程度ですが、合計すると数十万円ほどになります。事前にどれくらいかかるか頭に入れておくのが良いでしょう。
9:火災保険料など
火災保険などもあります。火災保険は長期間で一括で契約した方が安いため、一括で契約することが多いです。たとえば5年間の火災保険を一括契約して、家財保険にも加入した場合、20万円程度かかります。さらに地震保険にも加入するとで50万円程度になります。
10:住宅ローン手数料
住宅ローンを借りる場合は銀行に支払う住宅ローンの事務手数料がかかります。住宅ローン事務手数料は銀行によって異なります。一般的には借入金額×2.2%としている場合が多いです。
たとえば2,000万円の融資を受ける場合、44万円の手数料がかかります。住宅ローン事務手数料が定額である銀行もあり、定額の場合の相場は3~10万円です。
保証料は金利に含めて無料としている銀行がほとんどですが、現金一括払いとしている銀行もあり、この場合は借入金額の2%程度が相場です。

11:その他費用
上記の他にも、長期優良住宅や住宅性能評価への申請費用や、家の建築に際しての近隣への挨拶の費用などがその他費用としてかかります。火災保険や住宅ローン保険料などもあります。
細かいものでも、積み重なると見逃せないほどの出費になるため、これも忘れないようにしましょう。
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坪数で見る建て替え費用の相場
先述の通り、家の建て替え費用はその内容によって大きく異なりますが、家の坪数によって建て替え費用の目安を算出することができます。
戸建て住宅において、全国の平均坪数は約38.3坪、土地を含まない平均建て替え費用は約3,500万円と言われています。ここから、30坪の戸建て住宅は約2,600万円、40坪なら約3,530万円、50坪なら約4,000万円が建て替えの平均費用と考えることができます。
坪数と建て替え費用はほぼ比例して上昇します。
一般的な戸建て住宅は30坪から50坪で建てられることが多いので、上記を参考にしてまずは試算し、支払い計画や住宅ローンの借入金の目安を把握しておきましょう。
建て替え費用を低コストで抑える7つのポイント

ここまで家の建て替えにまつわる費用をまとめてきましたが、建築費用の他にも細々とした出費があり、想像以上にお金がかかります。建て替え後の生活を考えると、できるだけ低コストで家の建て替えをしたいものです。
できるだけ出費を抑えたいという方のために、ここでは建て替え費用を低コストで抑えるポイントを7つに分けてご紹介します。
新居の設計段階から業者の選び方、引っ越し時期など、実践しやすいポイントが揃っています。家の建て替えの前にはぜひこちらを参考にして、なるべく低コストでの建て替えを目指しましょう。
1:強いこだわりを持たない
先述の通り、家の建て替え費用で一番大きいものは建築費用です。当然、この建築費用は内装や外装、設備などのグレードが上がれば上がるほど費用もかさんで行きます。
せっかく新築を建てるならとあれこれこだわりたくなってしまうものですが、強いこだわりは持たず、ポイントを絞ることがコスト削減につながります。
こだわりたい優先順位を決め、時間を置いて考えると不要なものが見えてきます。仮住まいにもあまりこだわらず、一時的な住居として割り切ってできるだけ出費を抑えましょう。
2:エクステリア面もシンプルに
エクステリアとは、敷地内で家の外側にあたる部分のことです。門周りやポーチ、駐車スペース、庭など、こちらも新築に建て替えるにあたってこだわりたくなってしまう部分です。
しかしエクステリアの工事費は、建築費の約10〜20%ほどが相場となり、あれもこれもとこだわりすぎるとどんどん費用がかさんで行きます。
エクステリア面も、あまりこだわりすぎず優先順位を決めてシンプルにすることがコストを下げるポイントです。最初から業者に予算を明示してその範囲内でできることを検討するのも良いでしょう。
高級な素材は一部分にだけ使用したり、予算が増えたら後から追加工事できるようにしたりなど、コストを下げつつ検討する方法は色々あるので、プランニングの際に話を持ちかけてみるのがおすすめです。

3:様々な業者を比較検討する
家の建て替えにあたってはハウスメーカーや解体業者、引っ越し業者といった様々な業者と関わる必要があります。できるだけ複数の業者に相見積もりを取り、一番リーズナブルに対応できる業者を見つけるのもポイントです。
もし気に入った業者が割高の料金を示してきた場合、他の業者から取った見積書を見せればコストダウンの交渉ができる可能性があります。
4:工法や設備を考慮する
先述の通り、設備などにこだわりすぎると建築費はどんどんかさんで行きます。あまりこだわらないのであれば、比較的安価な工法を検討するのもコストを下げるひとつの手です。軽量鉄骨プレハブ工法、木造在来工法など、工事業者と相談してみるのも良いでしょう。
5:ひとつの会社を選ぶ
工事ごとに複数の業者に頼むのではなく、ひとつの会社に頼むことも検討しましょう。ひとつの会社に一括で依頼すれば、複数の業者でかかる手数料を節約できます。また、様々な連絡を取るのもスムーズになるというメリットがあります。
6:閑散期に引越す
引っ越しの繁忙期である3〜4月や、大型連休がある5月、8月は引っ越し代金もかなり割高になります。可能であれば、引っ越しの閑散期と言われる11月〜2月に合わせると費用を抑えることができます。
また、引っ越し業者を選ぶ際も複数の業者に相見積もりを取るのがコストを下げるコツです。
7:様々な選択肢を視野に入れる
持っている土地で家を建て替えるという方法の他にも様々な方法があります。多くの選択肢を視野に入れて検討しましょう。
土地を持っていると、その土地を使って建て替えようという考えになりやすいです。しかし選択肢は他にもたくさんあります。同じ場所で家を建て替えるのではなく、その土地と家を売却して、新しい土地を購入しそこに家を建てる方法もあります。家を取り壊して新築するのではなく、元の家を活用してリフォームすることも可能です。
同じ場所に新しく住宅を建てるという考えだけでなく、家族の事情や理想の暮らしに合わせて様々な選択肢を視野に入れて検討してみてください。
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建て替えの流れ
家を取り壊して新しい家に建て替える際は、やらなければならないことがたくさんあります。
全体の流れを理解しておくことでスケジュールが立てやすくなります。申し込みから手続きまでの建て替えの流れを確認しておきましょう。
建築業者を選んで建築プランを決める
まずは家の建築を依頼する業者などを探しましょう。ネットで検索したり、住宅展示場に行ったりして気になる業者を選びます。いくつか業者の候補を選んで、それぞれの業者からプランと見積もりをもらい、比較検討しましょう。
業者が決まったら打ち合わせを行い、間取りや建築プラン、本見積りを作ってもらいます。
内容に納得できたら本契約をします。
住宅ローンを申し込む
解体工事や新築工事に着工する前に、金融機関に住宅ローンの事前調査を申し込み、審査してもらいましょう。住宅ローンの事前審査には新築のプランと見積書が必要になります。
解体業者を選ぶ
新築住宅が計画できたら、次に旧居の解体に取り組みましょう。解体してもらう業者を探します。新たに解体業者に依頼しなくても、建築業者が解体から請け負ってくれることもあります。
建物の構造や時期などによって異なりますが、大体の家は2カ月あれば解体できます。新たに解体業者を探す場合は、建築業者を探す時と同じように複数の業者から見積もりをもらって、最も希望に合っている業者に依頼しましょう。

仮住まいを見つけて引っ越す
解体のスケジュールが決まったら、新築の家が完成するまで暮らせる仮住まいを見つけましょう。
不動産会社を利用して短期間賃貸住宅に住む方法があります。工期が短く済むようであればマンスリーマンションやハウスメーカーを利用するのも手です。
仮住まいが狭くて荷物が入りきらない場合は、倉庫やトランクルームに預けておきましょう。
地盤調査をする
地盤調査を行い、地盤の強度が基準を満たしているか調べてもらう必要があります。
調査は解体工事を行い更地にしてからになりますが、解体工事をする前に申し込んでおくとスムーズです。
地盤の強度が不十分である場合は地盤改良をする必要があります。
解体工事を行う
解体工事を行い家を取壊します。立地や構造などによって工事の方法は変わります。どのような方法であっても、水道やガスなどのライフラインを停止して、大きな音やほこりが発生することについて前もって近所へあいさつをしておきましょう。
解体工事は足場と養生の設置から始まり、家を解体して、基礎を撤去して、整地します。
新築工事が始まる
新築工事に入ります。改めて近隣へのあいさつを行ったり、必要に応じて地鎮祭などを行います。
新築工事は基礎工事から始まります。 家が完成して検査が済んだら鍵の受け渡しを行い、引っ越します。
建て替えとリフォームについて

家を建て替えるかリフォームするかは、検討にあたり悩むポイントです。ここでは、建て替えとリフォームそれぞれのメリットとデメリットについてご紹介します。どちらがより理想に近づけられるか、選ぶ際の参考にしてみてください。
建て替えの利点と欠点
建て替えのメリットは、大きな間取り変更にも対応できることと、耐震化、断熱化、バリアフリー化などの新たな要素の施行がしやすいことです。上記をリフォームで対応しようとすると高額になるため、建て替えを選択した方が費用を抑えられるでしょう。
一方で、煩雑な手続きや打ち合わせなど、新築を建てるのと同様の手間がかかることと、家を建てた時点から何らかの法律や条例が変更になっていた場合は建て替え自体が不可能なケースもあるのがデメリットと言えるでしょう。
リフォームのメリットとデメリット
リフォームのメリットは、改善したい箇所を絞れるので予算組みがしやすく工事期間も短いことが挙げられます。改修を一部に絞ることで、こだわりを実現しやすいとも言えるでしょう。リフォームの内容によっては居住しながら改修できるため、住み替えの手間がかからないのも利点です。
一方、大規模な間取り変更は対応できないことと、地盤や構造部分が傷んでいる時は費用が高額になることなどの欠点もあります。
建て替えの費用について理解しよう

家の建て替えにはどうしても高額の費用がかかりますが、事前に必要経費を把握することで予算が組みやすくなります。この記事でご紹介した各種費用や低コストに抑えるポイント、またリフォームとの違いなども参考に、ぜひ満足の行く家づくりを実現してください。
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