農家の方だけではなく、最近は本格的な家庭菜園でもビニールハウスを利用する人が多いですね。
しかし、もしもそのビニールハウスが不要になった場合はどのように解体すべきなのかということは、あまり聞いたことがないかもしれません。
家屋などと違って、割と手軽に解体できてしまいそうなものですが、はたして自力で解体できるものなのでしょうか。それとも、やはりきちんと業者に頼むべきものなのでしょうか。また、自力で解体するときに必要な道具や注意点などはあるのでしょうか。
今回はビニールハウスの解体とその流れや道具、費用について、詳しく見ていきましょう。
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ビニールハウスとは
ビニールハウスの多様な使いみち
1年を通して安定した環境で作物を育てることができるビニールハウス。農家さんはもちろん、一般家庭でも規模の大きな家庭菜園ツールとしてよく使われます。
近年はビニールハウスの屋根にソーラーパネルを設置して、太陽光発電をしながら農業を営む「ソーラーシェアリング」というやり方も広まりつつあり、ビニールハウス栽培もどんどん新しい形を取り入れていっているといえます。
いろいろと便利な使い方ができるビニールハウスですが、老朽化して寿命を迎えればもちろん解体の必要が出てきますよね。
構造は、家屋などと比べればもちろん単純ではありますが、かといってはたして自力で解体は可能なのでしょうか。
ビニールハウスは産業廃棄物
ビニールハウスを処分するとしたら、単純にゴミ分類は「産業廃棄物」の扱いとなります。
「農ビ(農業用塩化ビニールフィルム)」、農PO、農ポリ(ノーポリ)(ポリオレフィン製品)「農PE(農業用ポリエチレンフィルム)」、「農PO(農業用ポリオレフィン系特殊フィルム)」などといったものに分別することができ、リサイクル資源として活用することができます。
不法投棄はもちろんもってのほかですが、貴重なリサイクル資源なので野焼きなどもしてはいけません。自力で解体する場合でも、業者にお願いする場合でも、適切な処分方法をとるようにしましょう。
ビニールハウスの解体を自力で行うには
ビニールハウスを自力で解体することは、場合によっては不可能ではありません。特に簡易的な構造であれば、「パイプが地中に刺さっているだけ」なので、ビニールを外してパイプを抜けばそれで終了ということもあります。ただし、老朽化が進んでさびがひどかったり、地中深くまでパイプが埋まっていたりという場合は、自力の作業はかなり困難になる可能性があります。
まずは自力で解体する際の流れや、必要な道具を見ていきましょう。
ビニールハウス解体を自力で行う手順
環境を整える
最近まで使われていたビニールハウスであれば問題ないことが多いのですが、長い期間放置されていたような場合、雑草が生い茂っていたりツタなどが絡みついていたりすることがあります。
まずはこういったものをきれいに除去し、足場を整えて安全に作業できるようにすることから始めましょう。
ビニールの留め具を外す
ビニールをはがすためには、まずビニールを支柱に固定している留め具を外します。ひとつひとつ丁寧に進めましょう。
ビニールをはがす
留め具をすべて外し終えたら、次はビニールをはがしていきます。ハウスが大きなものになればなるほど、この作業には丁寧さが要求されます。小さいものだとあまり気になりませんが、大きいとやはり重量もそれなりになるからです。
また、雨が降った後は水がたまっていることもあるので、注意しましょう。
支柱・アーチの解体
ビニールをすべて外してしまえば、骨組みがむき出しの状態になります。そこで次は支柱がクロスしている部分、アーチになっている部分の留め具を外していきます。
このとき、老朽化が進んでいるビニールハウスの場合ネジなどがさびてなかなかまわらず、苦労するということもあります。そのような場合は、電動ドライバーなどの道具の力を借りましょう。
支柱を引き抜く
地面に突き刺さっている支柱を引き抜いたら、解体はほぼ完了です。が、この作業がもっとも難関で、細心の注意を払いたい部分です。支柱が地面に深く刺さっている場合は、スコップでまずまわりの土を掘り起こすなどの作業が必要となるからです。
引き抜くのが無理な場合は、電動のこぎりなどで切断しなければならないこともあります。いずれにしても、けがのないよう慎重に進めていきましょう。
自力で解体する際準備しておきたい道具
先に触れた通り、ビニールハウスの解体は家屋などに比べれば難易度は低そうに思えます。しかしプロにまかせるのではなくあくまで素人が自力でやろうとするなら、それなりに道具や準備が必要になるでしょう。
ケガや事故防止のために、まずは身支度から始めることが大切です。
・作業着
・防塵マスク
・防塵ゴーグル
・ヘルメット
・軍手など手袋
また、前述した通り自分の力だけではどうにもならない作業の助けとなる工具もそろえておきましょう。
・電動のこぎり
・電動ドライバー
・パイプ抜き器
最低限これらのものをそろえた上で、作業を開始できるよいいでしょう。
他にもペンチやさび落としなど、状況に応じて必要なものが出てくる場合もあります。安全・安心を最優先に考え、道具はきちんとそろえておきたいですね。
自力で解体する際の注意点
ビニールハウスは構造が比較的単純に見えるため、解体工事も簡単にできそうな気がするものです。
しかし、素人が行うには相応の準備と時間が必要です。決して甘く見ず、時間と心に余裕をもって手をつけることが大切です。
また、行う時期や季節も重要です。暑さや寒さが厳しすぎる時期の慣れない重労働は、容易に事故やけがにつながる恐れがあります。特に鉄類は、夏は非常に熱を持ち、逆に冬は驚くほど冷え切ります。手に取るだけで身体にダメージを負うという可能性もあるのです。十分に気をつけて、取り掛かってくださいね。
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ビニールハウス解体を業者に頼む場合
自力で解体することができれば、費用面で大幅に節約できるのは間違いないでしょう。その代わり、時間はかなりかかります。また、ケガや事故などの危険が伴う可能性があったり、重労働が面倒だったりするというデメリットももちろんあります。
中には一度自力で挑戦してみて、やはり困難を感じて「業者に頼んでおくのが無難だ」という結論に達するケースもあるでしょう。
では、ビニールハウスの解体を業者にまかせる場合のポイントを確認していきましょう。
値段相場
ビニールハウスの解体を業者に頼む際、1番気になるのはやはり費用の相場ですよね。
一般的には「1坪5,000円~」というのが目安になるようです。30坪であれば15万円~ということですね。しかしこれは本当にあくまで目安で、安さをうたっているところでは「1坪500円~」というような業者もあるようです。
条件によって価格の変動が大きくなる場合もあるので、まずはよく確認してみることが必要です。
かかるのは、解体作業の費用だけではない!?
上記は、あくまで「解体作業にかかる費用」です。
これにプラスして、解体によって出たプラスチックや木材などの処分費用や運搬費が別途かかったり、逆に解体工事後に廃材を買い取ることでその分を費用から差し引いてくれたり、鉄類をすべて引き取る代わりに解体工事は無料、というケースもあり、さまざまな料金形態が存在します。やはり事前にしっかり確認しましょう。
費用面を重視して、業者に頼まず自分で解体工事を済ませてしまおうというのはもちろんひとつの選択肢として間違いはないでしょう。
しかし逆を言えば、費用にこだわらなければケガや事故などの危険を回避し、時間と面倒がかからずに済むというのが業者にお願いするメリットです。
ビニールハウスの解体を自力で行うか、業者に頼むか、状況に合わせて選択してみてください。
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