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空き家率は年々増加している
近年では全国的に空き家が増えており、特に地方での空き家率が上昇しています。また、適切な管理が行われないことによって老朽し、廃墟となっている空き家は大きな社会問題です。
実際に、現時点で実家が空き家になる可能性があるという方も多いのではないでしょうか。
実家を空き家にしておくメリットとデメリット
親が亡くなることで空き家になった実家を相続した場合、思い出のある実家を売却したり、取り壊したりしたくないというケースも多いでしょう。また、そのような場合に実家を空き家のままにすると、相続人にはどのような影響が及ぶのでしょうか。
ここでは実家を空き家にしておくメリットとデメリットを紹介していきますので、参考にしてみてください。
メリット
実家を空き家として所有していれば、親族が集まる場として今後も活用することが可能です。そのため、家族が暮らしていた時のままで残しておくという方もいます。
また、建物を取り壊さずに残したままにしておくことで、更地にしてしまうよりも固定資産税を抑えることができます。他には、建物自体を残しておくことで実家の片づけを後回しにできるといった点もメリットと言えるでしょう。
デメリット
実家を空き家として長期間放置していると、建物が老朽化していきます。庭に雑草が生い茂ったり、屋根や壁などが崩れたりして廃墟化すれば、放火や不法投棄といった原因になる場合があり、近隣にも迷惑をかけてしまうこともあり得るでしょう。
また、自治体から注意勧告を受けた場合、注意勧告を無視すると特定空き家に指定され、固定資産税が高くなる可能性もあります。
空き家になった実家を維持するのにかかる6つの費用
空き家になった実家を解体せずに維持する場合、さまざまな費用が必要になります。そのため、実家が空き家になった場合にそのまま所有しようと考えている方は、どのような費用が必要になるのかあらかじめ理解した上で検討することが大切です。
ここでは空き家になった実家を維持するのにかかる6つの費用について解説していきますので、参考にしてみてください。
1:固定資産税について
空き家になった実家は、一般的な住宅と同様に所有しているだけで固定資産税がかかります。固定資産税とは、家屋や土地、償却資産などの固定資産を所有している場合にかかる市町村税です。
空き家などの場合は、土地に家屋が建っていることで減額されます。一方、家屋が存在しない場合は減額の対象外となるため、空き家を取り壊さない方がかかる固定資産税を抑えることができます。
2:都市計画税について
固定資産税と同様に、空き家になった実家を所有していると都市計画税がかかります。
ただし、都市計画税の場合は土地や家屋などの固定資産を所有しているすべての方に支払い義務が発生するのではなく、自治体が定めている区域に不動産を所有している場合に支払い義務が発生します。
また、都市計画税も土地に建物が建っている場合には減額の対象となるため、空き家を取り壊さない方が節税になります。
3:水道光熱費について
空き家であっても定期的に訪れて管理するためには水道や電気が通ったままにする必要があるため、水道光熱費がかかります。空き家を清掃したり通水するためには電気や水道は必要です。
電気や水道は全く使用しなかったとしても基本料金などがかかるため、毎月数千円程度の出費となるでしょう。そのため、将来的に家を解体して売却する予定があれば、水道や電気は解約した方が費用を節約できるためおすすめです。
4:修繕費用について
空き家をそのまま放置していると建物も老朽化していくでしょう。そのため、空き家を維持するためには修繕費用が必要になります。
具体的には、建物の壁や内装、水回り、庭などは状況に応じて修繕する必要があるでしょう。必要になる費用は建物の状態などによっても変わりますが、初期修繕と定期修繕に分けて検討すると必要な費用が計算しやすくなります。
5:火災保険について
空き家をそのまま維持する場合、火災保険などの保険も必要になります。ただし、誰も住んでいない家に豊富なプランが付いた火災保険をかけ続けるのは無駄なため、最低限必要となる内容を検討して、安いプランへの切り替えなどを検討するのがおすすめです。
6:空き家対策特別措置法
空き家を適切に管理せずに放置していると、空き家対策特別措置法によって「特定空き家」に指定される可能性があります。
また、特定空き家に指定されると指導や勧告などが行われ、固定資産税の軽減特例などが解除されてしまいます。
出典:空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報|国土交通省
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空き家になった実家の活用方法4つ
ここまで紹介したとおり、空き家になった実家はそのまま所有しているだけでも多くの費用が必要になります。そのため、放置せずに活用するのがおすすめです。
ここでは空き家になった実家の活用方法4つを紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
1:売却して現金化する
空き家は売却して現金化してしまうことで、建物の管理や修繕、活用などの手間をかける必要がなくなります。また、不動産会社に空き家を購入してもらえば、売却の際の手続きもスムーズです。
ただし、不動産会社によって査定金額が異なるため、複数の不動産会社に査定を依頼するのがおすすめです。
2:賃貸に出す
空き家の状態が悪くないようであれば、修繕して賃貸物件として貸し出すことも可能です。賃貸に出せば定期的な家賃収入を得ることができるため、固定資産税も家賃収入から支払うことができるでしょう。
出典:空き家等を改修してセーフティネット住宅とする事業者を支援します!|国土交通省
家賃と家賃債務保証料の低廉化に対する補助
低額所得者が賃貸物件に入居する場合で初回の保証料を下げた場合には、家賃債務保証料低廉化への補助によって最大6万円の補助を受けることが可能です。
そのため、この制度を利用することで家賃を支払うのが難しいような低額所得者にも空き家を貸し出せるようになります。
出典:Q16 家賃債務保証料低廉化への補助とはどのようなものですか?|国土交通省
住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業
住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業とは、空き家を改装して住宅確保要配慮者専用の住宅として登録することで、上限50万円の補助を受けることができる制度です。
公営住宅の家賃以下にするといった要件はありますが、この事業を利用すれば改修工事費用に対して3分の1の補助を受けられます。
出典:空き家等を改修してセーフティネット住宅とする事業者を支援します! | 国土交通省
3:更地にする
空き家を解体して更地にすることで、土地を貸し出したり駐車場にしたりといった活用ができます。空き家を活用することができない場合は、そのまま放置して建物を老朽化させてしまうよりも解体する方が良いでしょう。
また、自治体によっては空き家解体の補助金制度が設けられているケースもあります。
4:空き家バンク制度を利用する
全国の自治体では「空き家バンク」という制度を設けているため、空き家バンクを利用するのもおすすめです。空き家バンクとは家を貸したい方と借りたい方のマッチングサービスで、実際の交渉や仲介などは不動産会社が行ってくれます。
実家の空き家を相続した場合には
実家の空き家を相続した場合には、必ず登記と境界線の確認が必要です。登記については、建物に抵当権などの担保が設定されていないかどうか確認しておきましょう。
また、隣接地との境界線は曖昧になっていることも多いですが、所有者が代わることで問題になる可能性もあるため、境界設定を行っておきましょう。
実家の相続放棄について3つ
実家を相続することになったとしても、資産としての価値がなかったり遠方に住んでいたりといった理由から相続したくないというケースはあるでしょう。そういった場合は、相続放棄を行うことも可能です。
しかし、相続放棄を行ったとしても、問題をすべて解決できない可能性があります。ここでは実家の相続放棄について紹介していきますので、参考にしてみてください。
1:そもそも「相続放棄」とは
相続放棄とは、相続人としての一切の相続権を放棄して相続人としての立場を離れることです。家庭裁判所で相続放棄の手続きを行うことにより、「最初から相続人ではなかった」という扱いになります。
そのため、自分以外の相続人との遺産分割協議や、負債を相続するといったことがなくなります。
2:3か月以内に家庭裁判所での手続きが必要
相続放棄を行う場合には、原則相続人になってから3ヵ月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きを行う必要があります。3ヵ月が過ぎた場合、相続放棄をする意思がないということになり、自動的に相続が行われます。
この期間は、相続人が遺産の相続を承認、もしくは放棄することを検討する期間とされています。また、期間は家庭裁判所で伸長することも可能です。
3:相続放棄する時の注意点
民法では、相続放棄を行っても放棄によって相続人となった方が財産管理を始めるまで、自己の財産と同じように財産を管理しなければいけないと規定されています。そのため、相続放棄を行ったとしても、財産管理義務が残る点には注意が必要です。
また、管理義務から解放されるためには相続財産管理人の選任の手続きが必要になりますが、相続財産管理人を選任する場合は数十万円以上の報酬を支払う必要があります。
実家が空き家になった時にどうすれば良いのかよく考えよう
空き家をそのまま所有していると、固定資産税や都市計画税などの費用がかかります。
ぜひ、本記事で紹介した空き家になった実家を維持するのにかかる費用や、空き家になった実家の活用方法などを参考に、空き家になった場合の活用方法について検討してみてはいかがでしょうか。
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