マンションの寿命はどのくらい?老朽化で起こる問題と対応方法について解説

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マンションの解体にはどのくらいの費用がかかるのでしょうか。本記事ではマンションの解体費用の決まり方やマンションの解体費用の内訳、解体工事の依頼をするときの注意点などを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

マンションの老朽化で起こる寿命はどのくらい?

マンションの寿命は、物件の状態・メンテナンスによって異なります。取り壊されたマンションの平均寿命は約60~70年で推移しています。マンションの寿命を左右する主たる原因は、「配管」の老朽化です。

配管設備の平均寿命は約25~30年とされていますが、1960年~1970年代に建設されたマンションの多くは、配管設備をコンクリートの躯体に埋め込んでいるため、取替えることが難しい傾向にあります。

ここでは、マンション老朽化問題とその対策・対応方法また、築年数ごとに必要となる修繕について紹介していきます。

コンクリートの寿命について

現代の日本において、建設されているマンションの多くが「RC構造(鉄筋コンクリート造)」と言われるものです。税法上におけるこのRC構造の耐用年数は、「47年」とされています。

ただ、この47年を超過したらそこに居住してはいけないということではなく、あくまでも減価償却の目安として用いられています。

このことから、マンション・コンクリートの寿命は、耐用年数で計ることはできません。ここでは、「維持管理上」と「構造上」の2つの側面からコンクリートの寿命について解説していきます。

出典:耐用年数・償却率表|ゆりかご倶楽部

維持管理上でのケース

マンションの寿命を左右する要因として、「維持管理(メンテナンス)」が挙げられます。近年において建設されたマンションは、この「維持管理」を重要視しているため、「長期修繕計画書」を竣工時に作成し、定期的なメンテナンスを計画的に実施しています。

一方で、古いマンションの場合には、長期修繕計画が立案されていないケースが多く見受けられ、劣化が目立ち不具合が生じてから修繕を行うマンションもあります。

このようなマンションは通常、維持管理措置を講じないままになっていることがほとんどであるため、マンションの寿命を短くさせる要因となっています。

構造上でのケース

現代の日本では、「旧耐震基準」に基づいて建設されたマンションと「新耐震基準」に基づいて建設されたマンションが存在します。旧耐震基準とは1981年6月1日以前に施工されたマンションを指しており、新耐震基準ではそれ以降に施工されたマンションを指しています。

旧耐震基準は、おおむね震度5程度の中規模地震でも建物が倒壊しない基準を採用していますが、阪神淡路大震災を契機に新耐震基準が見直され、震度6強から震度7程度の大規模地震でも倒壊を免れる耐震基準を新設しました。

地震大国である日本では、旧耐震基準で建設されたマンションに住み続けることは難しく、また危険といった懸念点もあります。このことから、1981年以前に建てられた旧耐震基準のマンションは40年程度で、建て替えや取り壊されるケースが想定されます。

出典:念のため、構造計算書の再計算をしておきたい場合|国土交通省

マンションの築年数ごとに必要となる修繕について3つ

マンションの修繕の目安は、12年周期ほどで行うのが理想とされています。

これは12年ほど経過すると、外壁や防水材の耐久性がなくなってくるからです。ただし、マンションごとの劣化度合いは、都道府県や気候などで異なります。そのため、マンションの状態に応じて適宜、修繕を行うことが大切です。

ここからは、マンションの築年数ごとに必要となる修繕について紹介していきます。

1:築10~12年に必要となる修繕

まず、1周期目(築10~12年ほど)において、必要となる修繕について紹介していきます。

この時期ではまず、共用部分である開放廊下や階段等の床防水が必要となります。また、外壁や屋根・床、手すり壁、庇などの外壁塗装も補修する必要があり、さらに、鉄部の下地処理や塗装も必要となります。

これらは1周期で劣化しやすい場所となるため、2周期目以降も修繕・補修が必要となります。

2:築20~24年に必要となる修繕

2周期目(築20~24年ほど)になると、1周期目に修繕する部分に加えて、金物理類の取替えなども必要となります。

たとえば、郵便ボックス・宅配ロッカーや掲示板・メーターボックスの扉などが該当します。

さらに、貯水槽や消防用設備なども劣化が生じてくる時期であるため、これらも取替えが必要となるケースがあります。また、駐車場があるマンションは、車路や歩道の補修なども必要でしょう。

築15年ほど経過すると、「大規模修繕」が必要となる時期となるため、費用なども1周期目と比べて多くなることに注意が必要です。

3:築30年に必要となる修繕

3周期目になると1周期目に修繕する部分に加えて、エレベーター・排水管・汚水管・雨水管なども取替えが必要となります。

これらの修繕費用はかなり高額であるため、マンション全体である程度の修繕積立金を貯蓄しておきましょう。

また、周期を経るごとに修繕費用は大きくなるため、長期修繕計画書の作成は非常に重要であり、計画的な修繕費用の確保が必須となるでしょう。

マンションの老朽化で起こりうる6つの問題

ここからは、マンションの老朽化によって発生する問題を6つ紹介していきます。「老朽化」といった問題は、すべてのマンションで直面する問題ですが、これらの問題を放置しておくと将来、取り返しのつかない末路を迎えてしまうことに注意が必要です。

1:資産価値が下がる

購入したマンションは、「資産」となります。「老朽化」は、この資産価値を下げる1つの要因でしょう。

目に見える老朽化はもちろんのこと、目に見えない部分での老朽化も資産価値を下げる要因となります。築30年ほどを超えたマンションは、ある程度注力して維持管理措置を講じなければ、資産価値や需要を維持することが難しくなってしまいます。

2:管理費が増える

老朽化が進行するスピードが速い分、修繕・改修する時期も前倒しになります。そのため、長い期間で捉えるとこれらの費用を確保しなければならないため、管理費(修繕積立金を含む)などが増加していきます。

また、これらの費用負担が増えることで入居者(支払者)が離れていき、より修繕のための貯蓄を確保できないといった悪循環に陥ってしまうため、計画的な管理費などの確保が必要となります。

3:ひび割れ・配管など設備の劣化

マンションの寿命を左右する要因の1つとして、「設備」の劣化・故障が挙げられます。

コンクリートは劣化によってひび割れが生じ、保温性の低下や雨漏り・水漏れ(漏水)を引き起こします。また、配管の老朽化は、配管の中身が詰まってしまい、生活利便に大きな影響を与えます。

これらのことから、ひび割れや配管設備については適宜対策を講じる必要があるでしょう。

4:耐震強度の不安

冒頭で「旧耐震基準」と「新耐震基準」について解説しましたが、一概に「旧耐震基準」のマンションすべてが「地震に弱い」とは限りません。旧耐震基準のマンションであっても、耐震工事を講じることで耐震強度を高めることができます。

そのため、老朽化したマンションにおいて、耐震強度を見過ごしてしまうと、「耐震強度の不安」から入居者が離れたり、資産価値を下げたりといった悪影響を引き起こしてしまうことになります。

5:空室率の増加

老朽化による設備のメンテナンス費用を確保しようと管理費などを上げることは、入居者の生活負担につながるでしょう。これによって、入居者離れや入居希望者の減少をまねき、空室率が増加していくことが懸念されます。

マンションは1人の入居者で維持管理できるものではなく、多くの入居者からの拠出によって維持管理が成り立ちます。一般的には、空室率が約30%を超過すると十分な管理費などが徴収できず、マンションの廃墟化(スラム化)が進行していくとされています。

6:バリアフリーの有無

築年数を経過したマンションであっても、一定のニーズに応え資産価値を維持しているマンションもあります。その要因の1つとして、「バリアフリーの有無」が挙げられます。

たとえば、マンションの立地が良く、生活利便や交通利便性が高いマンションなどは、高齢者の方々にニーズがあります。ただ、高齢者の方が住みにくいような設備仕様では、成約に至らないでしょう。

マンションの特性を理解して、バリアフリー化を進めることで資産価値を維持、もしくは高めることができるでしょう。

マンションの老朽化への3つの対応方法

ここからは、マンションの老朽化への処分・対応方法を紹介していきます。ただ、これらの対応方法は、1人のオーナで講じることができるわけではありません。

マンション内で結成される管理組合において、協議が必要となることをまずは押さえておく必要があるでしょう。

1:建物の解体

1つ目の方法は、建物の解体・取り壊しです。維持管理が難しくなった場合、建物部分を取り壊すと更地が残ります。土地は経年劣化による影響を受けないため、売却などをすることができます。

ただし、土地の用途は、周辺環境や不動産市況によって変わるため、タイミングを見極めなければなりません。また、解体工事にも費用は掛かりますし、取り壊しには管理組合における住民の約80%の合意が必要となるため、立ち退き問題なども並行して考えましょう。

2:大規模な修繕や改修

大規模な修繕や改修を行うことも方法の1つです。ただし、この対策法を講じるためには、修繕費用が必要であるといったことが前提にあります。

したがって、修繕や改修するための費用がなければ、管理費などの値上げや一時負担金を入居者から徴求する必要があるでしょう。

3:建て替え

最後に紹介するマンションの建て替えも方法の1つですが、これはハードルが高く、年間においても全国で数百件ほどの事例になります。

建て替え件数が増えない要因としては、「住民からの高額な費用が必要なこと」「管理組合における住民の約80%の同意が必要となること」が背景にあります。また、建て替える際には、用地の容積率などの確認も必要となるでしょう。

マンションの大規模改修の注意点

マンションの2周期目近くになると、「大規模修繕」が必要になることについて触れました。大規模修繕とは、マンションの経年劣化に合わせて実施する修繕工事であり、「外壁補修工事」・「屋上防水工事」・「鉄部塗装工事」・「給排水の取替え」などが該当します。

大規模修繕(リフォーム)はあくまでも建物や設備の老朽化による不具合の発生を防止するために行われ、建物を維持することに主眼を置いているわけではありません。つまり、大規模修繕だけでは、老朽化によるマンションの維持管理は不十分と言えます。

これに加えて、「改修(リノベーション)」は、社会やその時代背景の変化によって住環境の水準を向上させることを目的としています。設備仕様の初期性能を高めたり、より居住性を獲得したりすることでマンションの資産価値を維持できることを押さえておく必要があるでしょう。

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老朽化したマンションは売却可能かについて4つ

老朽化したマンションは、見た目やコスト面にネガティブポイントがあるため、購入者から敬遠される傾向にあります。しかし、老朽化したマンションであっても売却は可能です。

そこには弊害やコツなどが潜在しているため、ここからは老朽化したマンションは売却可能かについて紹介していきます。

1:不動産会社が買い取る場合もある

老朽化したマンションを不動産会社に買い取ってもらえるケースがあります。不動産会社はそれぞれ特性(強み)を持っているため、1社の買取業者に断られたからといって、すべての買取業者が断るとは限りません。

また、大手不動産会社よりも、中小企業や地場業者などの方が積極的に取り扱っているケースがあるため、さまざまな業者に依頼をしてみることがおすすめです。

2:人の多い都市部では売却できる可能性もある

老朽化したマンションであっても、居住ニーズを獲得しているマンションも存在します。このようなマンションの共通点は、人口の多い都市部にあることです。

また、恵比寿や目黒などの地価が高く、人気のあるエリアに建てられているマンションは老朽化していても売却できる可能性があります。

近年の不動産市況では都市部の新築マンションは高騰しており、中古マンションであれば手に入れやすいため、需要を維持しています。反対に、人口の少ない郊外の老朽化マンションにおいては、売却するのは困難になるでしょう。

3:通常よりは売却しにくい

先にも述べたように、老朽化したマンションは通常と比較して売却しにくい傾向にあります。さらに、売却価格が希望価格を大きく下回る可能性があるといった弊害も挙げられます。

買取業者などはこの点をしっかりと理解してビジネスを展開しているため、業者が提示してきた価格を鵜呑みにせず、他の業者の提示価格などを聞いて適切に判断することがポイントとなります。

4:高齢者用の住宅として利用できれば売却できる場合もある

古いマンションの特徴として、「和室付き」といったものがあります。現代において、生活様式が洋風化したことによって椅子での生活が日常的となり、いわゆる「たたみ離れ」が進んでいます。

しかし、古いマンションでは和室が設けられている場合が多いです。高齢者には、畳の人気が根強い点を生かして、高齢者をターゲットとした売却を進めるといったコツもあります。

老朽化したマンションを高く売却する方法3つ

老朽化したマンションは売却することが難しいことを解説しましたが、それでも1円でも高く売却したいという方は多いでしょう。

ここからは、老朽化したマンションであっても高く売却するためのコツについて紹介していきます。

1:ハウスキーピングを依頼する

購入者が老朽化したマンションを敬遠する要因として、見た目の悪さがあります。これらについては、ハウスキーピングを依頼することで解消することができます。

マンションのすべての部分を依頼してしまうと高額となってしまうため、気になる部分、とくに水回り部分などを中心に依頼すると印象を変えることができるでしょう。

2:買い手目線での修繕を行う

モノの売買契約は、買い手と売り手のマッチングによって成立します。これは不動産取引においても同じです。売れない理由には、買い手のニーズを満たしていないことが推測されます。

したがって、買い手側の気持ちを考えた部分を中心に修繕を行うことが効率的と言えます。水回りやインフラ部分などを重要視している買い手が多い傾向にありますが、これだけではない他の物件との差別化を図る改修もセールスポイントとなり得るでしょう。

3:豊富な知識や経験のある不動産会社を見つける

老朽化したマンションを仲介取引において売却しようとする場合は、豊富な知識や経験のある不動産会社に依頼することがおすすめです。

単純に大手不動産会社が良いというわけではなく、特定エリアに強みを持つ不動産会社や、築古マンション売却のノウハウを持った不動産会社もあります。知識や経験の豊富な不動産会社に依頼することで、老朽化したマンションであっても高く売却することが可能でしょう。

マンションの老朽化に備えて対策を考えておこう

分譲マンションなどは、所有者の大切な資産となります。しかし、年数を経るごとに老朽化の問題は、避けて通ることはできないでしょう。

ただ、これらの問題に悲観することはなく、しっかりとした計画を練り、その計画をもとに老朽化に備えた準備・措置を講じることで資産価値を維持することができます。

管理組合での協議もマンションの維持管理に精通している方がいるとは限らないため、管理会社などの専門会社とともに対策を練ることをおすすめします。

また管理会社だけの見解では不安を感じる場合は、セカンドオピニオンのように複数の会社に維持管理の相談をしてみるのもおすすめです。

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