屋外で使うひさしのようなものや、ランプシェードといってランプの傘にあたる部分にも「シェード」という言葉は使われますが、今回はカーテンの一種であるシェードについてお話します。
一般的なカーテンとはまた違う雰囲気を作り出してくれるシェードカーテンをうまく活用して、イメージに合ったインテリアをコーディネートしていきましょう。
シェードとは
上げ下げで開閉するカーテン
通常、カーテンとは横方向に向かって開閉するものですが、シェードカーテン(カーテンシェード、ローマンシェード)は上下に開閉するところに大きな特徴があります。
シェードにはさまざまな種類があり、窓装飾のインテリアとして豊かなバリエーションを楽しむことができます。特に、「カーテンと同じ生地で作れる」という特色を生かして、窓の大きさによって「この窓には通常のカーテン、この窓にはシェード」という使い分けをしても、インテリアとしてデザインや素材に統一感を持たせたコーディネートができる、というメリットがあります。
また、カーテンはひだがありますが、シェードは下ろした際にはフラットになるため、生地のデザインがより際立ち、まるで一枚の絵を飾っているかのような演出をすることも可能です。空間にもすっきりと溶け込みます。
しっかりした厚みとバリエーション豊かな色柄で、インテリア性にも実用性にも長けている製品といえるでしょう。
ロールカーテンとの違いは
上げ下げで開閉するというと、同様のものとしてロールカーテンを思い浮かべるでしょう。実際、下ろしたときの見た目がフラットであるという点では、シェードとロールカーテンではほとんど変わりありません。
ではシェードとロールカーテンの1番の違いはというと、開けたときの生地の上がり方です。ロールカーテンは、その名の通りくるくると巻き上げられていき、全開した状態では窓上部にロール状に生地がとどまりますが、シェードの場合はパタパタと蛇腹式に折りたたまれてまとまっていく、という特徴があるのです。
ロールカーテンの方がすっきりとした印象になりますが、シェードはふんわりとした存在感が残るため、やさしい雰囲気が漂います。
また、ロールカーテンは通常のカーテン生地で作るのではなく、ロールカーテン専用の生地で縫製されます。そのため、前述したように部屋全体の窓装飾に統一感を持たせるためには、ロールカーテンよりもシェードの方が適しているといえるのです。
もうひとつ、洗濯の際などに取り外すことを考えても、シェードの方が楽だというところもポイントです。シェードは基本的にマジックテープで本体と取り付けられているため、取り外しが簡単なのですが、ロールカーテンは巻取りパイプの溝に生地がはめ込まれているため、取り外す際にはそこから引っ張り出す必要があるのです。
カーテンはそうしょっちゅう洗うものではありませんが、手間がかからないに越したことはありませんよね。
ロールカーテンは巻き上げたときのすっきり感がシェードに勝りますが、両者のそのほかのメリット・デメリットを比較して、検討するとよいでしょう。
シェードの種類
生地の枚数による種類
シェードは1枚である必要はありません。2枚重ねてもいいのです。
1枚の生地で作るものをシングルシェードといい、前後2枚で別々の生地で作るものをダブルシェードといいます。
カーテンでもレースカーテンと厚手のカーテンの2枚を組み合わせますよね。あれと同じイメージで、厚手生地とレース生地のダブルシェードにすると、光の量の調節や目隠しの際に2枚の開け閉めでうまく加減することができます。もちろん、2枚それぞれを操作することができますよ。
縫製スタイルによる種類
ベーシックな「プレーンシェード」は、シェードといえばまずこれをイメージするであろうスタイルです。下げたときはフラットで、上げたときにはひだのたたみ具合がやわらかい印象に巻き上がります。
「シャープシェード」は、たたみ上げたときにひだにあたる部分に、一定の間隔でバー(棒)を入れたものです。上げたときにひだがより直線的でシャープに、すっきりとたたみ上がります。
薄い生地の場合、光に照らされてバーが透けるため、それもインテリアの一部として組み込めるようなデザインにするといいでしょう。
「バルーンシェード」は、生地の下部がふんわりと風船のような丸みを持った状態で巻き上がり、優雅な雰囲気をかもし出します。薄手のレース生地で特に似合うスタイルです。
他にもバルーンシェードよりも全体的にギャザーが入ってより豪華な雰囲気の「オーストリアンシェード」や、真ん中からさらにふんわりと持ち上げた「ムースシェード」といったものもあります。
操作方法による種類
シェードの左右どちらかのコード(紐)を引いて直接生地を持ち上げる「コード式」は、シンプルでコンパクトなメカですが、その分パワーはあまりありません。小窓などにおすすめのスタイルですが、最近はあまり使われなくなっています。
対して「ドラム(チェーン)式」は、片手でも楽に扱えるタイプです。
ボールチェーンを引くことで内部のギアに力が加わり、生地を持ち上げます。軽い力で巻き上げられるうえ、故障もしづらいので、大きな窓にはコード式よりもこちらがおすすめですが、その分多少値段は高くなります。
そして2021年に新しく登場したのが「ループレス式」です。
コード式もドラム式も、引っ張る部分がループ状になっているのですが、このループレス式は操作部分がグリップ状になっていて、紐やチェーンが巻きつくことがなく、より安全性に配慮された作りとなっています。
さらにダブルシェードの場合でも、これまでは2枚の生地を別々に操作しなければなりませんでしたが、ループレス式では同時に操作が可能となりました。
シェードのメリット
高さの調節ができる
シェードは、そのときどきの状況で開け閉めの高さの調節ができます。直射日光を防ぐために途中まで下ろしておいたり、外から見えない位置まで上げておいたり、と光の量の調節や目隠しが手軽に、おしゃれにできてしまいます。
スタイリッシュな演出ができる
小窓や縦に長い窓などでは、カーテンだと使いづらいことがありますが、シェードであればおしゃれに装飾することができます。
前述したように、光の調節や目隠しという役割においても、横開閉のカーテンであれば中途半端に開けた状態・閉めた状態にしておくとだらしない印象になってしまいますが、シェードであれば途中の高さで止めていてもスタイリッシュに決められます。
シェードのデメリット
窓の種類によっては干渉してしまう
掃き出し窓など、しょっちゅう開閉が必要な窓にシェードを設置してしまうと、シェードもそのたび上げ下ろししないといけなくなるため、出入りに面倒が生じます。ベランダや庭に直結するような大きな窓には、シェードではなくカーテンの方が適しているでしょう。窓によって使い分けが必要になるわけです。
カーテンよりも割高
ひだがない分、同じ大きさの窓で比較した場合カーテンよりも生地は少なめで済みますが、開け閉め操作をするメカの部分にコストがかかるため、設置費用はカーテンよりも割高になってしまいます。
たたみ代(しろ)ができる
折りたたみながら生地を上げていくため、窓上部に多少のたたみ代(しろ)ができてしまい、一部ではありますが窓を少し隠してしまうというデメリットもあります。それもインテリアとして楽しむという方法もありますが、気になる方は気になるかもしれません。
シェードを選ぶ際のポイントや注意点
窓によって使い分ける
前述したように、シェードは頻繁に開け閉めする窓には不向きです。窓の開け閉めのたびにシェードも上げ下げしなければならない手間がかかるからです。
そのため、小窓にはシェード、掃き出し窓や極端に横幅が広い窓にはカーテン、というように使い分けを心がけるといいでしょう。他にも3連窓や出窓、湾曲窓といったものが、シェードに適しています。シェードを下ろしているとき、上げているときの両方の美しさを楽しむことができます。
この点、シェードはカーテンと同じ生地で作れるというメリットを最大限に生かすことで、窓によって装飾がちぐはぐになってしまう、という事態を避けることができます。
劣化した場合
特にコード式のシェードは、雑に引っ張ったり、開閉時に障害物に触れたりすると、コードが外れてしまったりうまく折りたたまれなかったりということにつながります。
丁寧に、均等に力がかかるようにゆっくりと操作することが大事です。障害物も取り除き、窓も一度閉めてからの操作がいいでしょう。
コード式のシェードは、ドラム式よりも弱いため、ストッパー部分の劣化が速い傾向があり、シェードが下りてこなくなった・止まらなくなったという不具合が起きやすくなっています。その場合は、ストッパーの交換で改善されるため、メンテナンスにも気を配るようにしましょう。
まとめ
カーテンといえば横に開くもの、という概念を超え、インテリアの幅を豊かにしてくれるシェードカーテン。壁や天井だけではなく、窓も部屋の雰囲気を演出してくれる大事な要素のひとつと考える人は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。