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50坪の家の解体費用を左右する要因5つ
50坪の家の解体費用といっても、その立地、構造などによって費用は大きく変わります。今回は解体費用を左右する5つの要因を紹介しますので、これから解体する家がどの要因に当てはまるのか、確認しましょう。
- 解体作業を行う地域
- 撤去する物の多さ
- 建物の造りや形態
- 立地条件
- 建物の築年数
1:解体作業を行う地域
解体を行う家がどこの地域にあるかで、解体費用の相場は変わってきます。東京都や大阪府などの大都市を抱える関東、関西地方は坪単価が高い傾向にあり、中国四国地方と続き、九州沖縄は比較的坪単価が低い傾向にあります。
2:撤去する物の多さ
家の中に家具が残されていたり、物置、塀、庭木などがあったりする場合、建物の解体そのものの費用の他に追加費用が発生します。また、地下室やカーポートなどがあるとさらに増額となる場合があります。
すべて撤去して更地にするのか、庭木や物置は残しておくのかなどは事前に決めておくとよいでしょう。
3:建物の造りや形態
解体する家が木造か鉄骨造か、一戸建ての住宅か、アパートのような共同住宅かなどの建物の造りや形態で解体費用は変わります。
固い構造体でできている建物ほど解体に時間がかかり、建物が大きくなるほど費用は高額となります。一般的に木造より鉄骨造、一戸建てよりアパートのほうが解体費用は高くなります。
4:立地条件
解体する家がどのような立地にあるかでも解体費用は変わってきます。例えば、重機が入ることができない住宅密集地では、手作業で解体を行うことになります。また、敷地の上に電線が張ってある場合や傾斜地などでも、重機が使えないことがあります。
重機などが入ることができて、解体作業がしやすい立地条件なのかが解体費用を左右する大きな要因といえるでしょう。
5:建物の築年数
建物の築年数も解体費用を左右する要因の1つで、一般的に古い建物は費用がかかりやすくなります。
古い建築物には、人体に有害なアスベスト(石綿)を使用している可能性があります。このような家を解体する場合は、法律に基づき事前調査、届け出の他、飛散防止の措置を取る必要があるので追加費用がかかります。
さらに築50年以上の建物になると、解体中に倒壊の危険もあるため工期が長くなり、それに伴い費用も上がりやすい傾向にあります。
【地域別】50坪の家の解体費用相場5パターン
建物の解体の費用は、解体費用の坪単価に建物の坪数をかけて割り出します。坪単価を使って出す解体費用は、建物を解体工事のみの費用です。実際はこの解体費用に産業廃棄物処分費や付帯工事費等の費用が上乗せされます。
ここでは、解体する建物の構造をもとに、50坪の家の解体費用相場のパターンを5つ紹介します。
- 鉄筋コンクリート造の場合
- 木造の場合
- 鉄骨造の場合
- 店舗の場合
- アパートの場合
1:鉄筋コンクリート造の場合
鉄筋コンクリート造はRC造ともよばれ、コンクリートに太さ1センチメートル以上の鉄筋を埋め込んだ建物のことです。おもに10階建て以下のマンションなどに使用されています。
鉄筋コンクリート造の建物は、解体の際に固いコンクリートと鉄骨の除去、廃棄にコストがかかるため全国的に高めの坪単価になっています。
全国の坪単価の平均は約5万円です。関東地方では約6万円で、中でも東京都は約8万円になります。50坪の鉄筋コンクリート造の建物の解体費用相場は、約250万円~約450万円です。
2:木造の場合
木造住宅は構造の主要な部分に木材を用いており、最も一般的な住宅に使われています。木造住宅の坪単価は比較的安い傾向にありますが、複雑で頑健な構造の木造住宅は追加で費用がかかる場合があります。
全国平均の坪単価は、約3万円です。関東地方が一番高く、約4万円で、一番安いのは、九州沖縄地方で3万円です。50坪の木造住宅の解体費用相場は、約150万円~約200万円です。
3:鉄骨造の場合
鉄骨造とは、鉄の合金のはがねを柱や梁などに使用している建物のことです。鉄筋コンクリート造より軽いため、高層マンションなどで使用されることが多いですが、一般住宅、店舗などにも多く使われています。
鉄骨造の解体の坪単価は、鉄筋コンクリート造と木造のちょうど中間になっており、全国平均の坪単価は、約4万円です。一番高いのは関東地方の約5万円で、東京が約6万円と突出しています。安いのは九州沖縄が約2万円で、木造より安い相場になっています。
50坪の鉄骨造の解体費用相場は、約150万円~約400万円です。
4:店舗の場合
一般的に店舗の解体とは、賃貸している物件を賃貸契約書に記載されている状態の戻すことです。店舗を所有していて建物自体を解体する場合は、今まで紹介した建物の構造と同様に解体費用が決まります。
ここでは、賃貸契約していた店舗をもとの状態に戻す解体工事の相場を紹介します。店舗の解体には、内装解体、コンクリートうちっぱなしに戻すスケルトン解体、原状復帰解体の3つがあります。
全国平均の坪単価相場は、約2万円~約5万円です。店舗の立地、階数、他のテナントへの騒音等の配慮などで工事期間や工事時間が制限される場合があります。
50坪の店舗を解体する場合の解体費用相場は、約100万円~約250万円です。
5:アパートの場合
アパートを解体する場合、構造、階数によって解体費用は大きく変わります。住宅の解体と同じように、木造建築のアパートの坪単価は比較的低い傾向にあり、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は高くなります。木造建築でも2階以上の場合は相場より高くなる場合があります。
アパートの解体費用相場は、約3万円~約8万円です。こちらも、関東地方の坪単価が高く、北海道、東北地方などでは安くなります。50坪のアパートの解体費用相場は、約150万円~約400万円です。
解体費用が相場より高くなる6つのケース
50坪の家の解体費用相場を構造別や地域別でみてきましたが、相場より費用が高くなるケースがあります。ここでは相場より費用が高くなるケースを6つ紹介します。
これから解体する家がこのケースに当てはまるのか、確認をしてみましょう。
- 家が2階以上である
- 平屋でも基礎や屋根の面積が広い
- 残土の処分量が多い
- お祓いや地鎮祭を行う
- 工務店やハウスメーカーを通して依頼する
- 工事車両を駐車する場所がない
1:家が2階以上である
アパートや店舗などの2階建て以上の建物を解体するときは、相場より費用が高くなります。
2階以上の建物を解体する時には、安全のために足場を組む必要があるためです。50坪の建物に足場を設置する場合、約15万円~約20万円かかります。
2:平屋でも基礎や屋根の面積が広い
建物の解体費用は、建物の延べ床面積を坪単価とかけあわせて算出します。延べ床面積とは、建物の各階の床面積合計のことです。
同じ50坪の建物でも、2階建ての建物は1階と2階を合わせて50坪なので、建物を真上から見た建築面積は平屋より小さくなります。しかし50坪の平屋では単純に2階建ての建物の倍の建築面積になり、その分基礎や屋根の面積が広くなります。
基礎や屋根の面積が広いと、解体に時間もかかり、また産業廃棄物の量も多くなるため、費用が高くなります。
3:残土の処分量が多い
建物を解体して更地にすると、建設発生土(残土)が発生します。土はそのまま放置することはできず、産業廃棄物またはリサイクルとして処理します。
残土はトラックに乗せて運び、処理場で受け入れ費を支払う必要があります。残土の処分量が多いと、その分費用がかさむことになります。
出典:産業廃棄物の適正処理について|九都県市首脳会議廃棄物問題検討委員会
4:お祓いや地鎮祭を行う
解体工事の着工前にお祓いや地鎮祭をすることがあります。お祓いや地鎮祭をすると、神社の神主に渡すお礼「初穂料」や、お供え物などに数万円かかります。
お祓いや地鎮祭は解体工事の際の義務ではないので、費用を抑えたいのであればやらないという選択もありますのでよく話し合いましょう。
5:工務店やハウスメーカーを通して依頼する
建物の解体を行う解体業者をどのように選ぶかは、解体費用に大きくかかわってきます。解体後に新築する場合などでは、工務店やハウスメーカーに相談することもあるでしょう。
工務店やハウスメーカーを通して解体業者を依頼した場合、紹介料や仲介料が解体費用に上乗せされます。紹介料、仲介料は、解体費用の2割から3割が一般的です。
6:工事車両を駐車する場所がない
家の解体をするには、重機やがれきの運搬に使うトラックなどが欠かせません。敷地内に駐車スペースがあれば問題ありませんが、ない場合は近隣の駐車場を借りるなどする必要があります。
都心や住宅密集地では、工事車両の駐車場代がかかる場合があり、その分相場より解体費用が高くなることがあります。
家の解体以外にかかる費用3つ
家の解体費用には、坪単価で算出した解体費用の他に追加としてかかる費用があります。家の築年数、解体する土地の状況などで追加の費用は様々です。
これから家の解体以外にかかる費用の例を3つ紹介しますので参考にしてください。
- アスベストを除去する費用
- 付帯工事の費用
- 埋設物を撤去する費用
1:アスベストを除去する費用
人体に有害なアスベストは2006年に使用が禁止されましたが、それ以前に建てられた建築物を解体する場合は事前の調査が法律で定められています。もし解体する建物にアスベストが含まれている場合、法律に基づき届け出が必要になります。
アスベストの除去には作業員への健康被害、近隣への拡散を防止するために厳しい基準を満たす必要があります。そのため準備や除去作業、廃棄処理に追加費用がかかります。アスベスト除去の相場は、1㎡あたり約2万円~約6万円ほどです。
2:付帯工事の費用
付帯工事とは解体する建物とは別に解体撤去する工事のことで、おもに庭木、倉庫、庭石、浄化槽、カーポートなどが付帯工事の対象です。
解体業者によって付帯工事の費用は様々であり、建物以外で解体する物が増えると付帯工事の費用がかさみます。契約前に解体業者と費用について話し合うことが大切です。
3:埋設物を撤去する費用
解体作業を進めていくと、土の中から埋設物が見つかることがあります。以前建てられていた家の基礎部分や、穴を埋めるためにい使用されたがれきなどが考えられます。
現在は産業廃棄物処理法で適切に処分する必要があります。解体業者は埋設物を産業廃棄物として、決められた処分場などに運搬します。撤去作業と運搬作業に追加の費用がかかります。
出典:産業廃棄物の適正処理について|九都県市首脳会議廃棄物問題検討委員会
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解体費用を抑えるための4つのコツ
建物の解体には建物本体の解体だけではなく、その他の費用がかかることがわかりました。解体費用をできるだけ抑えたい場合、どのようなことができるのでしょうか。
ここでは解体費用を抑えるためのコツを4つ紹介します。ぜひ参考にしてください。
- 自分で建物滅失登記手続きを行う
- 解体工事に関する助成金や補助金制度を利用する
- 不用品を処分しておく
- 複数の業者から見積もりを取る
1:自分で建物滅失登記手続きを行う
建物滅失登記とは、建物を解体した後1か月以内に管轄の法務局に申請しなければなりません。提出を怠ると、過料などの罰則が科されます。
手続きは「土地家屋調査士」の資格を持つ人に代行してもらうことができますが、自分でも手続きができます。「土地家屋調査士」へ代行を依頼する場合、全国平均で約5万円かかります。
2:解体工事に関する助成金や補助金制度を利用する
解体しようとしている建物が長年空き家であったり、老朽化のため倒壊の危険があったりする場合、自治体から助成金や補助金を受け取れることがあります。
助成金や補助金制度の金額、対象となる条件は各自治体によって様々です。ほとんどの自治体が解体前の申請、審査が必要です。例えば、東京都江東区は老朽化した建物の解体に、最大50万円の助成を行っています。
解体することを決めたら、早めに各自治体のホームページ、または窓口で相談するといいでしょう。
3:不用品を処分しておく
建物を解体するとき、建物の中の家具や電化製品などは持ち主の責任で処分します。解体業者に処分を頼むこともできますが、作業代や廃棄物の処理代などが解体費用に上乗せされます。
事前に各自治体の行政サービスを使って、家具や家電を粗大ごみとして処分したり、まだ使える物はリサイクルショップに持ち込んだりすれば費用を軽減できます。また、敷地内の物置や庭木なども、事前に処分できれば付帯工事の費用を抑えることができます。
4:複数の業者から見積もりを取る
不動産屋や建築会社の紹介だけで解体業者を決めると、相場より費用が高くなることがあります。解体業者を決める際は、複数の業者に見積もりを取るといいでしょう。
インターネットを使って、複数の業者の見積もりが一気にとれるサービスもあるので活用してみるといいでしょう。数社にしぼったあとは、直接電話などをして追加費用、工事期間、支払いのタイミングなどの細かい相談をしてから業者を決定します。
相談時の対応なども解体業者を決める際のポイントになるでしょう。
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50坪の家の解体費用について理解を深めよう
50坪の家の解体費用は建物の構造、地域などで大きく変わります。また、建物の解体以外でもさらに費用がかかる場合があること、費用を抑える方法についても紹介してきました。
解体費用について理解しているといないとでは、最終的な費用に大きな違いが出ることもあります。解体費用について理解を深めて、後悔のない納得のできる解体工事をしましょう。
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