最近の住宅には置かれることが少なくなった神棚や仏壇は、少し前の日本の住宅では当たり前のように設置されているものでした。
実家にはあったというケースもあると思います。
若い世代にはあまり馴染みが薄くなったことや、神聖なものであることから「相続した家を解体したいけど、神棚や仏壇の処分はどうすればいい?」といった悩みを持つ方は多いのではないでしょうか?
今回は、神棚の撤去の際に行われるお祓いや「魂抜き」について必要性や流れ、お布施や料金について解説していきます。
処分に困っているけど、どのように撤去するべきなのかわからないという人はぜひ参考にしてください。
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神棚の撤去の際に聞く「魂抜き」ってそもそも何?しないとどうなる?
仏壇や神棚の撤去する際に行うお祓い「魂抜き」という言葉はあまり馴染みのない言葉ではないでしょうか。
結論から言うと、魂抜きは必ず行わなければならないといった決まりはなく、ご自身や親族の信仰心によるところが大きいです。
神棚の「魂抜き」とは?分かりやすく解説
「魂抜き」とは神棚にいらっしゃる仏様やご先祖をもともとの場所へ戻ってもらうという考え方のもと行われるお祓いです。
お墓の撤去時には特に重要視されるお祓いで、お墓に仏様やご先祖様がいるのに勝手に加工をしたり、場所の移動は避けるべきだとされています。
同様に、仏像が設置されている神棚も、仏様が宿っているので自由に撤去をするのは避けるべきとされているのです。
そこで、お坊さんに依頼をして、魂抜きという儀式により仏像に宿る魂を抜き、仏像や仏壇を物に戻すというお祓いが行われます。
お寺やお坊さんに知り合いがいる人なら相談をすればスムーズに進むでしょう。
ちなみに、魂抜きにかかる費用の相場は1万円~5万円程とされています。
ただし、魂抜きは住んでいる地域や宗派などによって考え方が異なることが多いので、親族や地域の人に確認をとり、必要性や行うかの考え方を把握しておくことが大切です。
神棚の「魂抜き」しないとどうなる?
基本的に、「魂抜き」は必ずしなければならないといった決まりはありません。
ご自身や親族の信仰心により、行いたい場合のみ行えば特に問題はありません。
ただし、やはり神仏関連の品を簡単に処分してしまうのはなんとなく気が引けますよね。
少しでも心配や引っかかる点があるようであれば、神社などに相談してみるとよいでしょう。
家の解体時、神棚の魂抜きを行う際の手順を解説
近年では、仏壇や神棚を設置している人は少なくなってきたため、いざ処分をしなければならない時にどうしたらいいのか分からないという人も多いでしょう。
実際に、古くなった実家を相続することになったけど管理できないため解体したいというのはよくある相談です。
ここからは、神棚を撤去する際に、お祓い、魂抜きを行う手順について紹介します。
順番から考えると自分が家を相続する、という人はいざ処分をする際にどうしたらいいのか迷わないためにもぜひ参考にしてください。
神棚の魂抜きの手順1:まずは親族に確認を
まず、お祓いとして魂抜きを行うべきなのか、自分では判断が難しい場合には親族に確認を取りましょう。
上記でも触れましたが、実際に行うのかは、本人や親族の信仰心次第です。
魂抜きに掛かる費用は決して安いと言える金額ではないため、若い世代の人は魂抜きを行う必要がないと考える人も多くいます。
しかし、親族に信仰心が深い人がいる場合には、勝手に処分をしてしまうとトラブルになることも考えられます。
そのため、神棚の処分に関しては、まず事前に親族とよく話し合って処分方法を決めたほうが良いでしょう。
話し合いの際には、特に以下のポイントはよく説明をしておくことが重要です。
・なぜ処分をするのか
・どのような工事を行うのか
・日程はいつ頃なのか
親族間のトラブルを避けるために大切な点なので、できるだけ優先的に行いたいポイントです。
神棚の魂抜きの手順2:神社・お寺と日程の調整
親族間での了承が得られたら、実際に魂抜きを行ってもらうお寺や神社を探しましょう。
お寺か神社か選ぶ際には、魂抜きをしてもらうものが神棚であれば神社へ、仏壇であればお寺に依頼すると良いでしょう。
神棚を神社で魂抜きをしてもらう場合
神社では神棚に祀られている神様に対し、感謝の気持ちをこめて掃除をした後に「神棚納め」と呼ばれるご祈祷、お焚き上げをしてくれます。
神社へ神棚を持ち込めない場合には出張してご祈祷を行います。魂抜きが済んだ後にお布施を神主へ渡すのが一般的です。
仏壇をお寺で魂抜きを行う場合
仏壇の魂抜きはお寺へ依頼すると良いでしょう。お寺では仏壇の位牌に対して魂抜きを行います。
位牌は仏壇を設置する際に僧侶が「開眼供養」と呼ばれる魂入れを行います。そのため、魂抜きをするのもお寺で行うのが一般的であると言えるでしょう。
お寺で行うか神社で行うかが決まったら、実際に魂抜きを行う日程の調整に入っていきます。
自分の都合だけではなく、お寺や神社、お祓いに立ち会いたい人の都合も含めて検討をしていきましょう。
神棚の魂抜きの手順3:お祓い、魂抜きが済んだ神棚の処分
お祓い、魂抜きを行った後の神棚や仏壇はそのままお寺や神社に引き取り依頼をしてもいいですが、不用品回収業者へ引き取ってもらう、自治体への粗大ごみとして処分も可能です。
粗大ごみとしてだすのは気が引けるかと思いますが、魂抜きを行った後であれば「物」として考えられるため心配はいりません。
ただし、神棚の処分の際には神様が宿っているとされる「神札」の扱いにだけは注意しておきましょう。
神札は神社の古札返納所へ返納してお焚き上げしてもらうことをおすすめします。
神札がなくなったあとの神棚に関しては、一般的な物と同じ処分方法で問題ありません。
神棚・仏壇の処分費用の相場はいくら?
処分方法によりさまざま
神棚や仏壇の魂抜きが済んだ後、処分をする際にはやはり費用がかかってきます。
処分費用に関しては仏壇の大きさや材質、店舗など処分方法によりさまざまです。
仏壇の処分の場合
仏壇をお寺で魂抜きを行った後、そのまま引き取ってもらう際には、事前に費用について確認しておくとよいでしょう。
お寺の宗派などにより費用は大きく変わってくるので、相場が分かりにくく、事前に聞くのは失礼なことではありません。
仏壇を仏具店や不用品回収業者へ引き取り依頼をする際には、仏壇の大きさや材質などにより異なってきます。
一般的な相場としては、小型の仏壇であれば1万円程から、複数人でなければ搬出ができない大きさになると5万円程が目安です。
その上で、付属の仏具の処分費用が1万円程かかってきます。
そのため、店舗で処分する際に掛かる費用の目安は2万円から6万円程が相場と言えるでしょう。
しかし、店舗などに自分で持ち込める場合には5千円~1万円程安くしてくれることがあります。
神棚の処分の場合
神社での神棚の処分に関しては、神社によって対応が違うことが多いです。
神棚にある神札のお炊き上げに関しても対応はさまざまなので、神棚自体の引取費用とあわせて事前に確認をしておくほうが良いでしょう。
粗大ごみとして処分する場合
粗大ごみとして処分する際にも、仏壇や神棚の大きさ、自治体ごとによって費用は異なります。
平均的な相場としては3千円から5千円程となっています。
どのような方法にしても事前の確認、見積もり請求などをしておくことが大切です。
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魂抜きのお布施の袋はどんなもの?
神社やお寺で魂抜きを依頼する場合、感謝とお礼を伝えるためにお布施を渡します。
お布施に使用する袋はさまざまなタイプがあり、地域や宗派によって使い方が異なります。
無地の封筒
水引のない無地の封筒は、一般的によく使われる袋です。
選択に迷う場合は無地の封筒を選ぶと良いでしょう。
無地の封筒には、単純封筒タイプと多当折りタイプがあります。
単純封筒は数千円から2万円程度、多当折りは3万円〜10万円以上を包む場合に使います。
黒白の水引がついた袋
黒白の水引が付いた袋は、通夜や葬儀の香典、仏事におけるお仏前、地域によっては住職へのお布施に使います。
お布施は四十九日まで使うことが多いため、魂抜きの場合は水引のない無地の袋が無難と言えます。
どちらを使用するのか迷う場合は、お寺に確認すると良いでしょう。
黄白の水引の封筒
黄白の水引の封筒は、主に関西地方で使用されています。
封筒は一周忌以降の仏事において、遺族へのお仏前や住職へお布施を渡す袋として使われています。
そのため、魂抜きのお布施は黄白の水引封筒、もしくは水引のない封筒を選ぶと良いでしょう。
双銀の水引の封筒
双銀の水引がついた封筒は5万円以上の包む金額が多い場合に使用されます。
寺院の格式が高くお布施の額も相当料を求められる場合は、双銀の水引を使用します。
魂抜きの場合も同様に、金額が高額でない場合は前述の袋を使います。
「魂抜き」の必要性を親族で話し合いましょう
今回は、家の解体時に仏壇や神棚のお祓いである「魂抜き」についての必要性や手順、費用についての紹介をしました。
近年では、仏壇や神棚を設置している家庭は少なくなっているので、いざ処分をする際に、どうやって処分をしたらいいのか迷ってしまう人も多いはず。
魂抜きは必ず行わないといけないといった決まりはなく、信仰心や考え方次第な所があります。
しかし、自分1人の判断で勝手に処分をしてしまうのは親族間のトラブルにつながることがあるので注意してください。
魂抜きは、神棚であれば神社、仏壇であればお寺へ依頼することが一般的です。
魂抜き後、処分へ移りますが、費用は処分を依頼する場所や仏壇・神棚の大きさなどにより大きく変わっていきます。
そのままお寺や神社へ引き取ってもらう方法や不用品回収業者へ引き取ってもらう方法、自治体へごみとして処分してもらうなどさまざまな方法があり、それぞれ費用が変わるので、種類、大きさを考慮して一番納得がいく方法を選びましょう。
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