アパート経営は、アパートの家賃を収入として得る不動産投資の一つです。アパート経営では、不動産の知識や経営の知識など、様々な知識が必要になります。
アパート経営において資格取得は必須ではありませんが、アパート経営を行う上で持っていると役立つ資格がいくつかあります。
この記事では、アパート経営において必要な知識や資格を取得するメリットとともに、アパート経営に役立つ資格を6つご紹介します。
▼この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。
アパート経営に必要な知識
アパート経営に必要な知識をご紹介します。アパート経営をする上でどのような知識が必要になるのか確認しておきましょう。
不動産の知識
アパート経営では物件の入手や運用に必要な不動産の知識が必要になります。
アパート経営ではまずはじめに、収益を上げることができるアパート物件を見極めて入手することから始まります。
収益を上げることができるアパート物件を入手するためには、物件の間取りや築年数による家賃相場や空室リスクを考えて、どれくらいの金額が手元に残るのかを計算する経理の知識が必要になります。
アパート物件を入手するための資金については、自己資金を使ったり、足りない場合は金融機関から借り入れたりして用意します。
不動産登記のための知識も知っておく必要があります。不動産を取得する際の契約書の内容を理解するためには法律の知識が必要です。
入居者を募集する上で、家賃設定という難しい仕事があります。家賃が安ければ空室は埋まりますが収入は減り、また家賃が高ければ入居者が入りにくくなり収入が得られなくなってしまうこともあります。このように家賃設定には多くの要素が絡むため難しいのです。
アパートは年数が経つのに伴って劣化していきます。そのため定期的に設備を点検したり、業者にメンテナンスを依頼したりすることになります。万が一に備えて、火災保険などに加入しておくことも大切です。
アパート経営の知識
経営者としてアパート経営を行うための知識が必要です。
アパート全てのオーナーであり、会社に勤める仕事と異なり賃貸を経営する経営者としてアパート経営を行わなければなりません。そのため経営に必要な仕事を全て自分でできるようになっておく必要があります。
アパート経営の問題は、空室になることです。空室になった場合は、入居者を見つけるために部屋のニーズなどから相場の家賃を設定して、サイトに掲載するための効果的な文面を作成して、入居者を獲得しなければなりません。そのため営業に関する知識が求められます。
個人事業主の知識
個人事業主としてアパート経営を行う上で必要な手続きの種類や手続きの方法についての知識が必要です。
アパート経営を始める場合、まず始めに個人事業主としてアパート経営を始めることを届け出る必要があります。
また個人事業主として所得税の申告を自分で行わなくてはなりません。「確定申告」も行う必要があります。確定申告では、事業による資金の出入りをまとめて書類を作り1年に1度税務署に申告します。
事業である程度の収入が得られるようになった場合は、確定申告の中でも「青色申告」をメ行うことになります。この青色申告では詳細な帳簿を作成する必要があります。その時に会計や税務に関する知識があると役立ちます。自分で行う他、税理士事務所に依頼する方法や、会計ソフトを利用する方法もあります。
アパート経営に資格は必要?取得するメリットは?
アパート経営に必須の資格はありません。何の資格を持っていなくてもアパート経営を始めることは可能です。
アパート経営は資格がなくても始めることができますが、誰でも成功できるわけではありません。立地条件や賃料設定、その後のメンテナンスなど、知識が必要になることが多く、初めてアパート経営をする場合は大変だと感じるかもしれません。
アパート経営の難易度は、その人にどのくらいの知識や経験があるかによって大きく変わるのです。
必須ではありませんが、アパート経営に役立つ資格があります。このような資格の勉強をすることで役立つ知識を身に付けることができます。
資格の勉強で得た知識をうまく使うことで、経営のコスト削減や収入アップに活かすことができます。勉強して資格を取得することがより安定したアパート経営につながるのです。
▼この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。
アパート経営に役立つ資格6選
アパート経営に必須の資格はありませんが、アパート経営に役立つ資格があります。アパート経営において持っていると役立つ資格を6つご紹介します。
賃貸不動産経営管理士
賃貸不動産経営管理士は、アパート経営者に必要な知識を一通り学ぶことができる資格です。アパートなどの賃貸物件を管理する専門家になるための資格で、賃貸不動産経営管理士は不動産業界の公的な3つの協会が実施していた資格が統一されて作られた公的資格です。
2020年12月時点ではまだ国家資格にはなっていません。会計の知識はあまり学べませんが、管理会社の社員に必要な専門知識を学ぶことができるためアパート経営者に必要な知識を学ぶことができます。
賃貸不動産経営管理士は、不動産系の資格の中でも、借地借家法や民法についての実務的な内容を詳しく学ぶことができるという特徴があります。アパート経営に必要な法律の知識を一通り身に付けることが可能です。建物の設備についての知識も学べるため、アパート経営に大きく役立ちます。
賃貸不動産経営管理士の資格勉強で得られる知識には、アパート経営者にとって無駄な知識はほとんどないため、アパート経営のための資格取得におすすめです。
中小企業診断士
中小企業診断士は、経営コンサルタントとしての知識が身に付く資格で、中小企業の経営コンサルタントとして認定されるための国家資格です。
アパート経営を行うということは経営者になるということであるため、経営コンサルタントとしての知識があるとかなり役立ちます。
中小企業診断士の資格勉強では、会計に関する内容と、経営に関する内容を学ぶことができます。会計に関する内容については、損益やキャッシュフローなどアパート経営に必要な会計の知識を全て学ぶことが可能です。
経営戦略の知識も身に付けることができるため、これからどのようにアパート経営を進めていくべきなのか正しく計画する力も習得できます。借地借家法の知識は学べませんが、それ以外の民法については少し学ぶことが可能です。
不動産コンサルティングマスター
不動産コンサルティングマスターでは、建築と税金に関する内容を身に付けることができます。
不動産コンサルティングマスターは、不動産コンサルタントとして認定されるための公的資格です。公益財団法人不動産流通推進センターが実施しています。
不動産系の資格は建築や税金の分野があまり学べないものが多くありますが、アパート経営では建築や税金の知識を身に付けることができます。
会計に関する知識については学べませんが、不動産コンサルティングマスターはアパートを新たに建築する時に必要な知識や、アパートを経営していく上で必要な税金の知識が学べます。
アパート経営だけではなく、様々な土地活用についても役立つ内容を学ぶことが可能です。
宅地建物取引士(宅建士)
「宅建士」は不動産の売買や賃貸物件の仲介業での国家資格として最も有名な資格です。
不動産取引では多額のお金をやり取りすることになります。そのため、契約をする時に丁寧な説明をして、必要な情報を提供することが法律によって定められています。「重要事項説明」「重要事項説明書への記名・押印」「契約書への記名・押印」が主な業務ですが、これらは全て宅建士の資格を持つ人だけ行うことができる業務です。
アパートを経営するにあたって宅建士の資格を持っていると、物件を取得する際にどのようなことに注意するべきなのかを適切に判断することができるようになります。そのため、アパートを経営する際のリスクを軽減できます。
不動産会社から説明される契約条件などの内容をより正確に理解することにもつながります。そのため信頼できる業者かどうか見極めることができるようになるのです。長期にわたって長くアパートを経営するのであればおすすめの資格です。
ファイナンシャルプランナー(FP)
ファイナンシャルプランナーは、人生設計や金融資産運用、相続・事業承継などの分野の知識が身に付く資格です。
不動産の取得や売却についての規制に関する知識や、税金や契約に関する知識を身に付けることができます。このような知識は不動産の分野で役立ちます。
この資格の勉強をすることによって、お金に関するあらゆる情報を分析できるようになります。アパートを経営するにあたって、人生設計や経済環境を考慮しながら収入や支出のバランスを見極めることができるようになります。自分に必要な自己資金を計算したり、ローンは必要かどうか判断したりするのに役立ちます。
アパート経営を始める場合は、しっかり収支の計画を立てることが大切です。お金に関する重要なことは、管理会社に任せっきりにせずに、自分で十分に理解して経営する必要があります。ファイナンシャルプランナーは、お金に関する重要なことを十分に理解して、しっかり収支の計画を立てることに役立つ資格です。
マンション管理士
マンション管理士は、アパートやマンションに住んでいる住民からのトラブルについての相談に対応する時に役立つ資格です。
アパートには不特定多数の人が居住するためトラブルが起こりやすいといわれています。契約事項などの基本的なことに加えて、アパートの管理に関する実務的なことを学ぶことができます。
そのためトラブルが起こっても適切に対応して解決に導くことができます。このようにマンション管理士の資格もアパートを経営していく上で役立つ資格です。
不動産実務検定
不動産実務検定は、不動産を経営する人が、実践的な実務知識を身に付けることができる資格です。
以前は「賃貸経営実務検定」や「大家検定」と呼ばれていました。「一般財団法人日本不動産コミュニティー」が監修と認定を行う資格です。公的な資格ではありません。
不動産実務検定には2級・1級・マスターがあります。2級より1級の方が難易度が高く、さらにマスターの方が難易度が高いです。2級ではアパートやマンション経営を行う上で必要な法律・税務・不動産管理実務・賃貸借契約・各リスクへの対処法・賃貸経営の実務についての知識を身に付けることができます。
1級ではライフプランに応じた投資方法・不動産投資実務・不動産の調査・不動産の関連法規・事業収支計画・税務・建築構造などより幅広く実務的な知識を身に付けることができます。不動産投資をしたい人が対象です。
不動産実務検定はアパートなどの不動産の経営について、基本を学んでいきたい人に向いています。合格する人も多くいて、コンピュータによる試験であるためほぼ毎日試験が実施されています。その場で合否がわかります。このように手軽にチャレンジできるため、まったくの初心者である人は、この資格の取得を目指してみるのがおすすめです。
住宅診断士(ホームインスペクター)
住宅診断士は、建物のコンディションを診断する知識が身に付く資格で、自分で建物の劣化状況について診断ができるようになる資格です。住宅の劣化状況や欠陥の有無、修理の時期や費用などを見極めるための専門的な知識を身につけて診断できるようになります。住宅診断士は「ホームインスペクター」ともいわれます。
診断する際は、屋根・外壁・室内・小屋裏・床下などの劣化状況をを目視で診断するのが基本です。専門の機材を使って詳しく診断する場合もあります。アメリカでは地域によって違いがありますが、取引の全体の70%以上で住宅診断が行われています。このようにアメリカでは住宅診断を行うことは常識になっています。現在は日本でも普及し始めています。
住宅診断は、人間の健康診断のような診断です。住宅診断で異常が見つかった場合は専門的な検査を行います。
アパート経営では建物の劣化がリスクになります。しかし建物の劣化を専門的な知識のない一般人が見極めるのは困難です。住宅診断士の資格勉強では、建物の劣化についてチェックすべ箇所や状態の種類、劣化に対する効果的な対処法や修理にかかる費用がわかるようになります。自分が経営しているアパートが現在どのような状態なのかを把握できるようになります。改修に必要な予算もわかります。
長期間にわたってアパートを安定して経営するためには、建物の劣化状況を把握して、適切な修繕計画を立てて、修繕していくことが大切です。住宅診断士の資格取得の勉強をすることで、長期的な修繕計画を正しく立てられるようになります。そのためアパートの長期的な経営に役立ちます。
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、不動産の適正な価値を鑑定できるようになる資格で、アパート経営に関する知識が一通り身に付きます。専門家になることができる国家資格です。
不動産鑑定士と住宅診断士の違いについて、不動産鑑定士は建物のコンディションを診断する知識が中心で、不動産鑑定士は不動産の価格を鑑定する知識が中心です。
不動産鑑定士の資格を取得すると、アパートや土地、ビル、工場、ホテルなど様々な不動産の鑑定評価書を作成できるようになります。
不動産鑑定士の資格勉強によって、リスクとリターンなど、物件の価値を判断できるようになるため、経営者というよりは投資家のスキルが身に付きます。
中古アパートを選ぶ場合や、アパートの適正価格を見極める場合、アパートが抱えるリスクを判断する場合に役立ちます。
合格するためにはかなりの努力が必要ですが、アパート経営に関する知識が一通り身に付きます。法律や会計の知識も一通り学ぶことが可能です。
まとめ
ここまで、アパート経営において必要な知識や、資格を取得するメリット、アパート経営に役立つ資格についてご紹介しました。
アパートの家賃を収入として得る不動産投資であるアパート経営を行う場合は、不動産の知識や経営の知識など、様々な知識が必要です。
とくに資格を取得しなくてもアパート経営を行うことは可能ですが、ご紹介したようにアパート経営を行う上で持っていると役立つ資格がいくつかあります。
資格の勉強をすることでアパート経営に役立つ知識を身に付けることができます。資格を取得することは、アパート経営で失敗するのを防いで安定した経営を続けていくことにつながります。経営のコスト削減や収入アップにも効果的です。
安定したアパート経営のために資格の取得を検討している人は、ぜひ今回ご紹介した内容を参考にして、自分が身に付けたい知識についても考えながら、取得を目指す資格を選んでみてください。
▼この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます。