近年「空き家」の問題が注目されているように、住まなくなってしまった家を長期間放置している人が増加しています。これは、家屋の解体方法を知らない、解体後の対処がわからないなどという悩みから、放置せざるを得ないという事情も多いからだと予想されます。
家を解体するという経験は、滅多にないことです。だからこそ、納得のできる工事をしたいところですよね。
また、売却を考えているにしても、家屋を解体してから土地を売却した方がよいのか、家屋はそのままで売却した方がよいのか迷っているというケースも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、解体工事の費用相場や工事の流れ・内容、家屋を解体して更地にした場合のメリットやデメリットなどを紹介していきます。
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戸建の解体費用はどのくらいかかるの?
戸建の家屋の解体費用の概算は、坪単価で計算することが一般的です。業者や地域によっても変わりますが、相場は1坪あたり2万円~8万円程度といわれています。
また、家屋の構造によっても取壊しの費用の相場は大きく変わります。木造では2万~5万円程度でも鉄骨造では5万~7万円程度、RC造では鉄筋コンクリート造で6万~8万円程度になります。
さらに解体工事の際には、家屋本体の取壊し費用以外にも付帯工事費用や諸経費が加算されるため、家の解体費用の相場は参考程度にとどめ、きちんと見積もりを取って確認するのがよいでしょう。
ここではまず「坪数別」「構造別」「地域別」での解体費用相場について、もう少し細かく見ていきましょう。
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戸建の解体費用の坪数別相場一覧
業者によって相場が異なるため、あくまでも目安となりますが、まずは坪数別に見る解体費用の相場一覧を紹介します。
解体を行う家が広ければ、解体費用がかかってしまうことは容易に想像ができます。
単純に、戸建ての場合は2階建てになると、解体する手間や面積が増えるため費用は高くなります。さらに建物に地下室などがある場合も、面積や手間が増えることから2階建てと同様に解体費用は高くなります。
しかし、広くなればなるほど坪当たりの単価が安くなる傾向があります。狭小住宅が高く、大きな家の方が坪単価が安いということになるのです。
ただし、解体費用総額としては、家が大きければ大きいほど高額になることに変わりはありません。
ここでは木造住宅を解体する場合における、坪単価の相場をチェックしてみましょう。
坪数/建物の構造 | 木造 | 鉄骨造 | RC造 |
---|---|---|---|
20 | 40万円~100万円程度 | 60万円~140万円程度 | 80万円~160万円程度 |
30 | 60万円~150万円程度 | 90万円~210万円程度 | 120万円~240万円程度 |
40 | 80万円~200万円程度 | 120万円~280万円程度 | 160万円~320万円程度 |
50 | 100万円~250万円程度 | 150万円~350万円程度 | 200万円~400万円程度 |
60 | 120万円~300万円程度 | 180万円~420万円程度 | 240万円~480万円程度 |
80 | 160万円~400万円程度 | 240万円~560万円程度 | 320万円~640万円程度 |
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戸建の解体費用の構造別相場一覧
家の解体費用は、木造や鉄骨造、RC(鉄筋コンクリート)造、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造など建物の構造でも大きく変わってきます。
木造建築とは、戸建てや小規模なアパートといった従来の一般住宅のことです。解体費用相場のベースとなっています。
鉄骨造建築とは、建物の柱などを鉄骨で強化した建て方です。重量鉄骨造と軽量鉄骨造という2種類に分かれており、重量鉄骨造は高層マンションなどに用いられ、軽量鉄骨造は一般住宅などで使用されています。木造建築より解体費用がやや高くなる傾向にあります。
RC造建築とは、鉄骨とコンクリートを合わせて柱などに使用している建物で、鉄骨建築より強度を増した構造です。その分、解体費用は木造などに比べると割高になります。
SRC造建築とは、RC造建築に鉄骨を加えた建物で、さらに頑丈で耐久性にもすぐれた構造です。特に高層マンションやビルに使用されています。この構造は、一般住宅にはあまり使用されません。
基本は、構造体が固くなればなるほど、解体費用がかかってしまうと覚えておくとよいでしょう。つまり、この中では木造が安く、SRC造が高くなります。
丈夫な構造体は、解体のために重機や職人の数が多く必要になります。解体に手間がかかってしまうことが、費用を高くしてしまうのです。戸建ての家だけではなく、マンションやアパートなども同様になります。
解体で発生した廃材の処分費用も構造の違いで費用が異なり、頑丈なものは処分費用も高くなってしまいます。解体費用の相場は以下の通りです。
木造 | 3~5万円 |
---|---|
鉄骨造 | 4~6万円 |
RC(鉄筋コンクリート造) | 6~8万円 |
ただし、木造の場合でも築年数の浅い家屋の場合、頑丈な作りになっているケースもあります。そのため、実際には木造でも相場より高い費用がかかる可能性もあるでしょう。
また、鉄骨造住宅の場合、軽量鉄骨造なのか重量鉄骨造なのかによっても費用の目安は異なります。
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戸建の解体費用の地域・立地別相場一覧
解体する建物のある場所によっても、解体費用は大きく異なってきます。
まずは「都市部か地方か」ということがポイントとなります。
都市部では工事を行う解体業者の人件費や、家賃などが高くなってしまいます。そのために工事費用へ反映されてしまうのです。
また、立地条件によっても費用が高くなることがあります。
住宅密集地・傾斜地・狭小地・旗竿地などに家がある場合、重機が入っていけないため、手作業が増えてしまうことになるので、費用がかさんでしまいます。
また、道路の幅が狭い場合にも道路を通る車の交通整備を行う必要があるため、費用が上乗せになるケースがあります。
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戸建ての解体工事の手順
ここでは戸建ての解体工事の、実際の手順も確認しておきましょう。工事が始まれば施主ができることはほとんどありませんが、流れはきちんと知っておくことで、解体工事にかかる費用の内訳についての理解も深くなるはずです。
大まかな流れとしては、以下の通りです。
1:一軒家の解体の流れは、自分でやらなくてはならないことと業者に依頼する事項を整理することから始まります。
2:次に、解体工事を依頼する業者選びに取りかかります。知り合いに相談したり、ホームページで業者や費用を調べるなど方法はさまざまです。
3:自治体によっては「補助金」などの制度があるため、自治体に連絡してみるというのも1つの方法です。その際、固定資産税についても相談しておくとよいでしょう。
4:業者が決まったら、家の解体工事に入ります。
5:解体工事が終わると、減失登記を工事完了後1ヶ月以内に行わなければなりません。最後に解体費用を支払って、家の解体が完了します。
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それでは、細かく流れを確認していきましょう。
1:解体工事業者に問合せ・現地調査・見積もり
解体工事を行う際には業者選びからスタートします。
見積もりは数社に依頼すると、相場がつかめたり、高い費用を請求されるなどということを防いだりすることができます。
見積もり依頼をする際には、必ず現地調査をしてもらいましょう。解体作業の見積もりは、単に土地の広さや建物の状態だけでは判断できないため、綿密な事前調査が必須です。
事前調査では、物件の状態や土地の広さの調査の他に、工事を行う際の搬入経路や隣の土地との境界線、地中埋設物の有無、土地の形状などを確認したり、更地になった後の予定などのヒアリングが行われたりします。
解体業者がどんなポイントを確認しているか、担当者がどういう人柄かなども確認しておくとよいでしょう。
2:解体工事業者と契約・諸届出
納得のいく解体業者を選ぶことができれば、契約を行います。不明点や気になることは契約時までに解決しておきましょう。トラブルなどが発生しないようにするためにも必要です。
依頼先の解体業者とは、口頭ではなく、必ず契約書を取り交わしましょう。
業者によっては、注文書で処理される場合があります。しかし、注文書の場合は、工事中にトラブルが起きた時の対処法が記載されていない可能性があります。安心して工事を依頼したい場合は、契約書を準備してもらいましょう。
また、戸建ての取り壊しでは、いくつかの届け出を提出する必要があります。どの届け出も忘れてはならない大事なものなので、覚えておきましょう。
〇建設リサイクル法
建設リサイクル法は、正式名称「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」平成13年5月30日施行)のことで、解体時にでる産業廃棄物の再資源化などを促す法律です。解体工事届出ともいわれます。
解体する建物の面積が80㎡を超える際に出さなければいけない届け出であり、工事の着手7日前までに、発注者または自主施工者が分別解体などの計画について届出をします。元請業者は発注者に対し書面による報告の義務付けがあります。
リサイクル法に関連する制度等
・解体工事業者の登録制度等(平成13年5月30日施行)
・分別再資源化等の義務付けや、工事の事前届出等(平成14年5月30日施行)
上記の命令違反や、届け出・登録に不備がある場合は、罰則規定が適用されます。
しかし場合によっては、解体業者が届け出を提出してくれることもあるようです。代行は依頼主が委任状を渡すことで可能になります。届け出の提出を代行してもらう際は、無償か有料かを確認しておきましょう。
〇道路使用許可申請
戸建ての取壊し時に、道路に重機やトラックを停める場合は道路許可申請を提出します。この申請は解体業者が行うことがほとんどであり、提出先は道路を管轄している警察署となっています。管轄している警察署が2か所ある場合は、どちらにも提出する必要があります。
また、申請する際は手数料がかかります。手数料の値段は2千〜3千円程度なので、覚えておくとよいでしょう。
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3:ライフラインの撤去
解体工事を行う場合には、まずは解体の準備として電気やガスなどライフラインの撤去を行います。
これらは依頼主側で電力会社やガス会社に連絡をして、あらかじめ電気やガスを止め、撤去してもらう必要があります。
なお、水道は解体工事でも使用するケースが多いため、自分の判断で止めずに解体業者に確認しておきましょう。工事で発生する水道代の負担についても、事前に話し合っておく必要があります。
4:近隣挨拶
解体工事を行うと、必ず騒音・振動・ほこりなどが発生するため、近所にお住まいの方に迷惑をかけてしまいます。解体工事をする前に、近所へ挨拶まわりをしておくことが必要です。
工事を依頼する施工主と解体業者で一緒に挨拶まわりをして、工事の説明と理解を得ることで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。
5:外構の撤去
解体工事では、まずは周辺にあるものをすべて撤去しなければなりません。
隣の家との境界線として存在するブロック塀なども撤去の対象に含まれます。所有者が誰なのか不明な場合は、よく確認してから撤去するようにしましょう。
6:足場・養生シート設置
建物の取壊しを行う前に足場を設置します。
解体業者は、この足場を設置するにあたり、養生で建物を覆います。これは、建物を取壊した際に出るほこりや粉塵を広げないようにするために行います。
工事中の事故を未然に防ぎ、安全な作業を行うためには、正しい足場の設置や養生の準備は重要なポイントとなっています。ここで手を抜くような業者は避けるべきでしょう。
7:解体工事
内装や建具、備え付けられている設備機器や家具などを解体してから、家屋自体の解体工事に進みます。
順番に家屋の骨組み部分や屋根の解体を行っていき、最後に家屋の土台となっているコンクリートの基礎を撤去します。
重機を使って解体作業を行う場合もありますが、重機が搬入しにくい立地の場合などは、手作業で取壊される場合もあります。
このとき、作業を進める中でほこりや粉塵が舞ってしまう可能性があります。そのため、解体業者は水まきをして、ほこりや粉塵をできるだけ抑えるよう工夫して作業を進めていきます。
解体にはトータルで1カ月ほどの時間がかかると考えておくとよいでしょう。建物自体は、木造で3~10日、鉄骨造は10日~、RC(鉄筋コンクリート)造は14日程度を目安とします。
8:整地作業
解体が終わると、掘り起こした土地を平らにするために整地を行います。
必要に応じた整地方法を行いますが、売却などの予定がない土地の場合には、粗整地をしておくようになります。きれいな更地にしておくことが、売却をする際にも有利となるでしょう。
9:廃材処理
解体で出た廃棄物は決められた方法や種類に分別をして、産業廃棄物として処分を行います。
一般廃棄物としての処分ができないので、一般ごみと一緒に処分をしたり、不法投棄などをされないように気をつけましょう。
処分を行った際には、マニフェストという産廃処理を行った証明書類が発行されるので、施主は必ず受け取りましょう。マニフェストがもらえない場合には確認が必要です。正しい処分を行わない場合には業者だけではなく、施主も罰せられてしまいます。
解体費用の内訳
解体業者選定の際には、複数の業者から見積もりを取ることが一般的です。丁寧な解体業者であれば、見積もり内容を詳しく説明してくれるでしょう。
また、「別途費用」などと記載することで、全体の工事金額を安く見せようとする解体業者もあるため、解体費用は合計金額だけでなく、内訳もよく確認しておくことをおすすめします。
あくまでも目安の金額ですが、30坪の家屋の解体費用を例に内訳の相場を挙げます。どのような場所に費用がかかるのか確認していきましょう。
作業内容 | 相場 |
---|---|
仮設工事費用 | 150,000円程度 |
建物解体費用 | 600,000円~2,400,000円程度 |
建物以外の付帯部分の解体費用 | 200,000円~300,000円程度 |
重機手配費用 | 30,000円~80,000円程度 |
廃棄物処分費用 | 300,000円~2,000,000円程度 |
整地費用 | 50,000円~150,000円程度 |
その他の諸経費 | 30,000円~720,000円程度 |
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1:仮設工事費用
解体工事を進める前に、高い場所の解体作業に必要な足場の設置や解体物件を覆うシートの設置など、本来の解体作業前に用意しておく工事のことを仮設工事といいます。
解体業者によっても異なりますが、30坪の一軒家の仮設工事費用は、15万円前後が相場といわれています。坪数別で計算する場合には、工事全体の2~5%と見積もっておくのがよいでしょう。
仮設足場や囲い養生などの他にも、閑静な住宅街や密集した住宅地の場合には、防音対策も仮設工事の一部です。
また、解体作業中にでるほこりを広げないための散水に使用するため、散水車の手配や仮設水道を確保したり、作業中の仮設電源・仮設トイレの設置をしたりということも、仮設工事に含まれます。
2:建物解体費用
建物解体費用は、先程の一覧で挙げたように構造によって大きく違うため、同じ30坪の建物でも60万~240万円程度と大きな差が生まれます。
地域や解体業者によっても相場は変わりますが、本記事では、1坪当たりの相場を木造で2万~5万円程度、鉄骨造で5万~7万円程度、RC造で4万~8万円程度で計算しています。
場所別の相場は、以下の通りです。
〇屋根
屋根の素材や構造により屋根の解体費用に差がでます。現在多く使用されている屋根素材には、トタン・ガルバリウム・モルタル・瓦・スレートなどがあります。
屋根の撤去費用は平米単価で計算されます。スレート屋根はアスベストが含まれるタイプと含まれないタイプがあり、含まれるタイプは、アスベストの処理ができる解体業者に依頼をしましょう。
アスベスト含有スレート屋根の解体費用の一般的な相場は、1平方メートル約3千~5千円です。アスベストが含まれないスレート屋根やトタン・ガルバリウム・モルタル・瓦の解体費用の一般的な相場は1平方メートルあたり2千~3千円が目安になります。
〇内装解体
内装解体は、解体対象物件の内装を解体する作業です。一般的な家の内装解体費用の相場は1万5千~4万5千円といわれています。
ただし床や壁や天井に使われる材質がアスベスト(石綿)を使用している場合は、対策を取ったうえで除去が必要なため、専門の処理をする必要があります。
〇基礎
家の基礎のタイプには「べた基礎」と「布基礎」や「杭基礎」があり、タイプにより解体費用が変わります。
「べた基礎」は床一面に鉄筋コンクリートで造られ、家の基礎全体を支える構造です。耐震性が高く、湿気を避け、シロアリを防ぐメリットがあります。撤去費用が「布基礎」に比べ高くなります。鉄筋コンクリートを重機などで壊す必要があるためです。
「布基礎」は、建物の壁に沿ってコンクリートを部分的に逆T字型で間隔をあけて配置されます。耐震性は「べた基礎」より弱く、床下の湿気がたまりシロアリ被害がおこりやすい基礎ですが、解体はしやすく「べた基礎」に比べ、撤去費用がリーズナブルです。
「杭基礎」は、地中深くにコンクリート製の杭を打ち込みます。耐久性はべた基礎より優れ、地盤が緩い土地などで採用されます。杭基礎の解体工事は「杭抜工事」という特殊工事が必要になり、費用が高額です。
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3:建物以外の付帯部分の解体費用
付帯工事費とは、建物本体以外の工事や作業です。
基本的には室内の残留物(不用品処分)や庭のウッドデッキ・敷石、門柱や塀といった建物外構などの家屋解体以外の解体・撤去作業費を指します。
また、工事を進めていると地中埋設物(井戸や浄化槽)が見つかることもあり、これも付帯工事費に入ります。事前にわかっているものは見積もりに入れることができますが、解体工事中に発見された場合には追加で費用が請求されます。現場によって付帯工事の内容も異なってくるので、付帯工事費が発生している場合には詳細を確認することが必要です。
解体業者によっても相場は異なりますが、30坪の家を解体する場合には20万~30万円程度が目安とされています。
付帯部分の解体費用の相場を坪数別で見積もる際には、総額の20~40%で計算することもあります。
どうしても家屋の解体に注目しがちですが、このような付帯工事は個別性が非常に高いため、家屋自体はほぼ同じ条件でも、付帯工事によって総額が大きく変わってくることもあるため、きちんと念頭に置いておきましょう。
場所別の相場は、以下の通りです。
〇樹木
樹木撤去は、解体物件費用に付随して発生する費用であり、付帯工事費用の一部です。解体物件の敷地内にある樹木の種類や抜根をするのかによって費用に差がでます。
家の外周をぐるりと目隠しするように生け垣が植えられているケースや巨大なシンボルツリーが植えられているケースでは、費用が高くなってしまうため、本当に必要な工事であるか、自分で処理できないか考える必要があります。
根が隣の敷地にまで伸びている場合は、トラブル防止のために隣人の許可をとっておきましょう。
〇ブロック塀
ブロック塀の解体は、立地環境によって費用が変わります。解体に重機を使えるスペースがあれば重機で、隣接する家との境が近くて重機では行えない場合は人の手による作業になります。
解体するブロック塀の廃材の運搬でも、費用の違いが出てきます。一般的なブロック塀の解体相場は1平方メートルあたり5千~8千円といわれていますが、立地環境によって大きな差が出ます。あくまでも目安にしましょう。
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4:重機手配費用
重機運搬費・重機回送費ともいいます。重機はそのままでは公道を走れないため、トラックなどに乗せて運搬する必要があり、現場までの距離が長いほど運搬費用がかかります。重機手配費用は、重機1台あたりで見積もるのが一般的です。
1台あたり3万~8万円程度といわれていますが、使用する重機も解体する家屋の条件によって違います。さらに、業者や地域によっても相場が異なるため一概には求められません。
重機を保有している解体業者であるのか、自社保有ではなくリースでまかなっている業者であるのかによっても金額が変わるでしょう。一般的には、重機を保管しておく場所の賃料が高くなる都市部の方が費用が高くなる傾向があります。
また、安全配慮のために配置するガードマンの人数も重機手配費に含まれるケースがあります。ガードマンが増えれば手配費用もプラスされるでしょう。
5:廃棄物処分費用
解体費用の中で一番大きな金額となるのが、廃棄物処理費です。家を解体すると、驚くほどたくさんの廃棄物が出てきます。木くず、ガラス片、プラスチックにコンクリート片など種類も異なる廃棄物の処分が必要です。
解体工事を行った場合に、発生した廃材を木材や金属などに分別して産業廃棄物やリサイクル素材として処理しますので、廃材の量が多いほど分別量も多くなり、処理費用は高くなります。
一般的な2階建ての家(木造住宅)を解体した場合、産業廃棄物は4トントラックで10台分近くにもなります。解体された廃棄物は産業廃棄物となり、一般の家庭ごみのように処分をすることができないため、手間暇がかかるのです。
解体業者によっては、坪単価やトラックの台数などを基準に算定するケースもあります。面積あたりの単価で計算する場合には、1平米あたり3千~2万円程度が目安になります。
目安の金額として、30坪の家屋の廃棄処分費用は30万~200万円程度でしょう。
廃棄物処分費用の目安を坪数別で換算する場合には、地域によって差はありますが、おおよそ解体費用総額の30~40%を見積もっておきましょう。
廃棄物は業者によって相場が異なるほか、依頼主が自分で処分することで負担額が変わる項目でもあります。目安はあくまでも目安にとどめ、きちんと見積もりを取って確認するのがおすすめです。
処理コストの中には、廃材を処理する費用だけでなく、運搬する費用も含まれます。運搬に必要になったトラックの台数が増せば、当然、解体工事の費用が高くなっていきます。
6:整地費用
家屋を解体し、廃材を運び出した後には整地作業が必要となります。解体業者や地域によって異なりますが、土地に何も問題がなければ1平米あたり500~1,500円程度の費用が目安です。
坪数別で見る場合には1坪をおよそ3.3平米として計算し、30坪の家の整地費用の相場は5万~15万円程度となるでしょう。
しかし、整地をする土地に庭木がある場合には、伐採や抜根の必要性が出てくるため費用が高くなります。庭木の伐採は1本あたり2千~7千円、抜根は1本あたり5千円程度が相場です。
7:アスベスト調査・除去費
アスベストとは天然の鉱物繊維のことで、「せきめん」や「いしわた」とも呼ばれます。
アスベストは建材に使用されていましたが、発がん性などの有害性が問題になり、現在は使用することが禁止されています。
飛散性アスベストという外壁と内壁の間にある断熱材が使われている場合は、解体工事の際にむき出しとなり、飛散する恐れがあるため、工事を行う前にアスベスト調査を行うことが法律により義務付けられています。
その結果、アスベストが使用されていると判明した場合、アスベストの除去作業を別で行う必要があります。
アスベスト調査費用は3万~5万円が相場といわれ、除去費用は量や使用箇所によっては20万~数百万円の費用がかかるといわれています。
出典:石綿(アスベスト)問題への取組 建物を壊すときにはどうしたら良いの?|環境省
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8:その他の諸経費
諸経費とは、家の解体工事以外の費用であり、事務費など細かい費用のことです。あくまでも目安ですが、30坪の家を解体する際の諸経費は、3万~72万円程度です。
諸経費の相場を坪数別で計算する場合には、解体費用の5~30%を目安にするとよいでしょう。解体業者によって含まれる項目が変わるため、相場は大きく変わってきます。
諸経費の内訳は主に、自治体への申請手続きや近隣への挨拶まわりの費用などです。解体業者によっては、埋設物が発見された際の撤去費用や、重機手配費用などが含まれることもあるでしょう。
諸経費が高いと感じたら、担当者に内訳を確認してみるのもおすすめです。
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家の解体費用に影響する要因
家の解体費用は、坪数だけでなく建物の条件によっても差が生まれます。
たとえば、同じ坪数の戸建てでも平屋と2階建て、地下階の有無によって解体費用は変わります。また、建物の建っている敷地の広さや、周辺の環境によっては慎重な配慮や対策が必要です。
ここからは、解体費用に影響するポイントを紹介していきます。
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建物の構造
前述しましたが、まず解体費用に影響するポイントには、建物の構造、つまり壊しやすさが挙げられます。
立地条件や解体業者によっても変わりますが、一般的に1坪あたりの解体費用の相場は、木造に比べて鉄骨造、RC造と高くなっていきます。固い建物ほど相場が高くなると考えるのがよいでしょう。
建物の構造によって解体相場に差が生まれるのは、重機の搬入と廃棄物の量によるためです。解体するのが比較的簡単な木造であれば重機搬入が少なくて済み、廃棄物の量もほかの構造に比べて少なくなります。
建物の階数・地下の有無
家屋の解体費用は、屋根と基礎部分の面積が大きいほど高くなる傾向があります。
屋根や基礎面積が大きいほど廃材が多くなり、解体に必要な作業員も増えます。
一般的に、1坪あたりの解体費用を比較した場合、平屋より2階建ての方が若干相場は安くなります。同じ坪数であれば、2階建ての屋根面積、基礎面積は平屋の半分になると考えられているためです。
また、地下階があれば、埋戻作業も必要となります。さらに地上階に比べて構造が頑丈になっていることや、廃材の運搬に手間がかかることも加味され、解体費用は割高になる傾向があるでしょう。
老朽化の程度
老朽化が著しく進んでいる建物は、解体工事中に倒壊する危険があります。重機を使って解体工事を始め、建物が倒壊してしまったために廃材の分別ができず、結果としてミンチ解体となってしまう可能性もあるでしょう。
ミンチ解体は、建設リサイクル法によって現在は原則として禁止になっている工法です。
倒壊とミンチ解体のリスクを避けるために、老朽化の程度が酷い建物は重機を使わず、作業員が慎重に手作業で解体していきます。そのため酷く老朽化している家屋は、通常の家屋に比べて解体費用が高くなってしまう傾向にあります。
出典:建設リサイクル法 第三章 分別解体等の実施|e-Gov法令検索
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付帯工事の有無
付帯工事とは、建物本体の解体、撤去以外にかかる工事費用のことです。
解体する工作物の数や外構部分で出る廃材の量、庭木の撤去によって付帯工事費用は大きく変わります。
たとえば、家屋の周りの外構部分では、玄関ドアに続くポーチや門柱、駐車スペースのコンクリート部分などの解体・撤去が挙げられます。シンボルツリーなど大きな木が植えられている庭では、伐根が必要な場合もあるでしょう。
建物の立地条件
立地や環境などの施工条件によっても、解体費用の増額につながる可能性があります。たとえば、住宅密集地や傾斜地、狭小地などは費用が割高になる傾向にあります。
道路が狭くて重機が入っていけなかったり、近隣に騒音の配慮をして重機が使えなかったり、隣家との距離が近すぎて足場が組めなかったりといった理由で、手作業での解体が増えることが多いからです。
さらに、旗竿地などで前面が道路でなかったり、敷地内に電線が渡っていたりする場合も重機が搬入しづらくなり、こちらも手作業が増えることになります。
手作業が増えると、それだけ人件費がかさむため、全体としての費用も高くなるのです。住宅密集地では、それに加えて通常よりも強固な防音設備が必要になることもあるでしょう。通行人などの安全配慮のため、ガードマンを配置することもあり、それも人件費に影響を与えます。
立地は解体費用が決まるうえで大きな要因となるのです。
地中障害物や敷地内残置物
地中から、過去に使用されていた井戸や以前建っていた家屋の基礎部分など、埋設物が発見された場合には、追加費用がかかります。
見積書には「別途費用」などと記載されることも多いため、地中障害物が見つかった場合の対応について打合わせしておくと安心です。
また、以前住んでいた住人のゴミや家財道具などが残っていることもあるでしょう。解体業者が処分する廃棄物は、産業廃棄物扱いとなります。通常では無料で引き取ってもらえるゴミや粗大ゴミとして出せるものでも、割高な費用がかかってしまうことを心得ておきましょう。
建物の存在する地域
解体する建物が建っている地域によっても、解体相場は変わります。一般的に、地方に比べて大都市の方が単価は高くなる傾向があります。
たとえば、北海道や秋田県、沖縄県や鹿児島県などでは1坪あたり2万~3万円程度が相場の目安であるのに対し、東京都、神奈川県、大阪府などでは3万~4万円程度となっています。
廃材の多さ
解体する建物の条件だけでなく、解体工事で発生する廃材の量によっても解体費用は変わります。
解体工事では必ず廃材が出ますが、木材や金属などそれぞれ分別して運び出す必要があるため、量が多いほど運搬や処理にコストがかかります。
廃材が多く出る現場は解体費用としてコストが加算されることになります。近年では作業員が手作業で分別するケースが多いため、さまざまな建材を採用している建物ほど分別に手間がかかり、直接のコスト増につながるといえるでしょう。
解体を依頼する業者
解体を依頼する業者によっても、費用は異なります。
業者によって解体費用の算出の仕方や利益率が異なったり、工事に必要な重機を自社で持っている業者と他社からレンタルする業者の違いや、中間業者が入るかどうかの違いなど、解体費用はあらゆる要因で差が出ます。
解体工事を依頼する業者を選ぶ場合は、複数の業者に現地を見てもらい見積もりを出してもらうことが重要です。
〇解体業者の選び方
解体工事は施工業者によって費用が大きく異なるため、業者選びの際は複数の業者を比較して検討する必要があります。また、この場合の解体業者選びで重要なポイントは、信頼できる業者であるかどうかです。
信頼できる業者であれば、後から見積もりが変更されて高額な追加費用を請求されるケースを避けられるでしょう。信頼できる業者かどうかを調べるには、ホームページから過去実績などをチェックすると良いでしょう。
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天候・気候
天候不順が続き、工事の中止期間が発生すると工期が遅延します。
工期遅延のために、作業員の人件費や作業費の追加費用が発生する可能性があるでしょう。
解体工事は、雨天でも決行されることが多くあります。安全第一が基本であるため、雨によって足元が滑りやすくなったり視界が悪くなったりなどのリスクを考えて、解体業者、現場責任者が判断して工事を進めるのが一般的です。
天候不順など工期遅延による追加費用の規定に関しても、契約時や工事着工前に確認しておくことをおすすめします。
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解体費用を安くするための対策
解体業者の選び方に注意したり、残置物に気を配ったりなど、少し工夫することで解体費用を抑えられる可能性があります。
ここからは、解体費用を安くするためのポイントを紹介します。
1:複数の解体業者から見積もりをとる
複数の業者から相見積もりを取ることで、解体費用の相場がわかります。また、業者の対応の違いも確認できるでしょう。
親切な業者、丁寧な業者であれば「解体工事一式」などの項目で概算を提示するだけでなく、わかりやすい内訳も記載してくれます。一方、内訳が簡素すぎたりあえて複雑にしたりなど、わかりづらい見積書を提示してくるケースもあるため、注意が必要です。
解体費用を安く抑えるためには、複数の解体業者から見積もりをもらって、比較検討することが非常に重要です。なぜなら、前述の通り。解体業者によって解体費用の算出の仕方があらゆる項目によって異なるからです。
したがって、複数の解体業者から見積もりをもらうことで、費用の交渉もしやすくなります。
しかし、1社1社自分で業者を調べ、見積もりの依頼をしていくのは非常に手間が掛かるので、一括査定を利用することをおすすめします。一括査定を利用すれば、複数の解体業者を簡単に比較することが可能です。
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2:重機を持っていて効率よく作業できる業者を選ぶ
解体業者の中には、保管場所の確保など事情があって重機を持っていない業者があります。
重機を持たない解体業者の見積もりには、重機のリース代が加算されるため、その分費用が高くなるといわれています。
重機を持っている解体業者であれば、下請けに出すことなく自社施工で解体工事を進める可能性も高いでしょう。見積もり金額と作業効率のよい業者を選ぶために、解体業者の重機の保有についてもチェックしておくことがおすすめです。
3:解体工事の繁忙期を避ける
解体工事を依頼する場合、繁忙期を避けると費用を安く抑えることができます。解体工事だけではなく、建築業界では12~3月が繁忙期です。決算や積雪の時期が重なることも理由であり、この繁忙期を避けることで、解体工事費用を安く抑えられる可能性が出てきます。
4:不要なものは極力リサイクルか自分で処分する
建物を解体するときに、家の中に残置物があると見積もり金額が高くなる可能性があります。可能であれば不要なものは、解体工事前にできるだけ処分しておくのがおすすめです。
処分費が高くなるのは、カーペットや調味料、書類などが挙げられます。また、家電4品目は、家電リサイクル法に関わるため指定の方法で処分しましょう。家庭ごみとして地域のゴミ収集に出せるものはもちろん、家具や家電も軽トラをレンタルして自分で処理したほうがコストを抑えられます。
一方、木製の家具やプラスチック製品は、自分で処分するより解体業者にまとめて廃棄してもらう方が安くつくケースがあります。解体業者に相談してみるのもよいでしょう。
処分するものによっては手間や労力が大きく、苦痛になってしまうこともあります。自力での処分は無理のない範囲で行いましょう。
出典:家電4品目の「正しい処分」早わかり!|家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)|経済産業省
5:庭の樹木などはあらかじめ撤去しておく
庭の樹木が整理されていないために、重機が敷地内に進入できないケースがあります。
その場合は庭木の撤去のために、別途費用を請求される可能性もあるでしょう。庭木の伐根を業者に依頼すると、小さなサイズで5千円程度、大きなサイズになると1万5千~3万円程度が処分費の相場となります。
可能であれば、自分で処分するのがおすすめです。
6:必要な諸手続きは自分で行う
諸費用に含まれる申請などの手続きは、自分で行うことで金額を抑えられる可能性があります。
しかし、申請手続きに不手際が見つかった際には、罰則や罰金が科せられる可能性があるため、自分で行う場合には十分注意しましょう。なお解体業者によっては、無料で申請の代行をしてくれるところもあるため、見積もり内容をよく確認しておくのもおすすめです。
また、諸費用の中には、近隣挨拶の項目が計上されているケースがあります。そのため、施主が自分で挨拶回りに行くことで、費用が抑えられるでしょう。
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7:自治体の解体費用助成金制度を使う
自治体によっては、解体費用の一部を補助・助成する制度が設けられている場合があります。解体する建物のある自治体のホームページをチェックしておくとよいでしょう。
「老朽空家等対策事業補助金」「空き家解体助成金」など事業名は自治体ごとに異なり、補助内容もさまざまで、補助を受けられる条件や金額も同じではありません。
「限度額は費用の2分の1以内(上限60万円)」「限度額は5分の4以内(上限100万円)というように、うまく活用できれば解体工事費用の負担をかなり下げられるでしょう。
ただし、補助金・助成金制度には、築年数や耐震診断といった住宅の条件や、抽選で選ぶなどの要件がつくことがあります。また、年度内に完了する工事であることや、申請してから着工までの期限などの条件、解体後の申請はほとんどの自治体では適用されない、という注意点もあります。
解体費用補助金・助成金制度を検討する際には、要綱欄をよく確認しておきましょう。
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8:フリーローンや空き家解体ローンを活用する
解体費用を「安く抑える」という観点からは少しずれますが、すぐに解体費用を工面できない場合には、空き家解体ローンなどの利用を考えるのもよいでしょう。
空き家解体ローンはあまり一般的には聞かれないかもしれませんが、空き家となっている建物と付属建物の解体費用として借入が可能なローンです。住宅ローンなどとは違い、借入期間が短いので実際に利用される際は気をつけておく必要があります。
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9:追加の出費を避ける
解体工事にかかる費用以外に、チェックしておかないと余計な出費をするかもしれません。この点に注意することで、最終的な費用を抑えることが可能になるでしょう。
「余計な出費」をなくすためにできることは、「トラブルを未然に防ぐ」ということが大事です。どのようなポイントがあるかを見ていきましょう。
〇建物滅失登記を忘れない
解体工事後に行う「建物滅失登記」は、建物を取り壊してから1ヶ月以内に申請しなくてはならず、忘れてしまうと10万円以下の過料が科せられてしまう場合があります。
解体工事が終わったからと安心はせず、滅失登記まで終わらせることで、過料という「余計な出費」をしなくて済みます。
〇近隣トラブルが起きないように注意する
近隣トラブルものちのち大きな問題に発展し、本来であれば不要の出費につながる恐れがあるものです。
解体工事を行うと、騒音や粉塵の飛散などで近隣住民に迷惑をかけることがあります。
話し合いだけで済むのであればともかく、万が一裁判に発展して弁護士を雇ったり慰謝料を支払ったりしなければならない事態になってしまうと、金銭的にも精神的にもダメージが生じます。
特に建替えで今の家屋を取り壊す場合には、今後もご近所づきあいは続きます。
工事のあともお互い気持ちよく生活できるように、解体工事前には必ず近隣に挨拶回りをし、工事で迷惑をかけてしまう旨の謝罪と、工事内容をしっかり伝えておき、近隣トラブルを未然に防ぐことが重要です。
〇悪質な業者に依頼しない
きちんとした業者であれば、防音・防塵のために「養生シート」「防災シート」と呼ばれるもので建物を囲うことを、まず行います。
しかし実は、この養生シートの設置は義務ではないため、解体工事費を抑えるために使用しない業者もあるのが現状です。これが原因で、先述の「近隣トラブル」に発展してしまう恐れは十分考えられるでしょう。
養生シートにかかる費用を抑えたところで、近隣トラブルを招いてしまっては本末転倒です。さらにそもそも、安全面にも関わる養生シートの設置を軽視する業者は、解体工事を依頼するには危険が大きすぎるといえます。
現地調査や見積もりの時点で、業者をチェックできる機会はたくさんあります。担当者の身だしなみや言葉遣い、会社としての対応、見積書の内容、契約書の内容…そういったものから信頼に値する業者なのかを見極め、解体工事を依頼するかを決めなければいけないでしょう。
特に業者の見極めで重要なのが、「解体工事業者を営むための許可は取得しているか」「損害賠償保険の加入はしているか」「マニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行しているか」という点です。
許可を得ないで営業している業者は論外ですが、残念ながら一部にはまだそのような業者も存在しています。また、何かあったときのための損害賠償保険加入も必須です。
マニフェストについては、施主が控えを要求したときに拒否するような業者だと、廃棄物の不法投棄をしている可能性もあります。このような場合、施主も責任を問われる恐れも出てきます。最悪な場合、罰金が科せられることもあるため、業者選びでは特に重要視しなければならない部分です。
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10:建替え工事なら、解体業者は自分で探す(分離発注)
家を建替える際には、「旧家屋の解体工事」と「新家屋の建築工事」という2つの工事が発生します。そのため、新築工事を依頼する建設会社に見積もりを依頼すると、たいてい建替えの見積内容に解体工事の料金も含まれています。
しかし、新築工事を請け負う建築会社は、自社で建物の取壊しを行わず、協力会社や下請け業者が実際の工事を行います。
下請け業者に依頼する際に手数料が発生するのです。この手数料を中間マージンといいます。
この中間マージンをどのくらい支払っているのか、実際に計算してみると、30坪の木造建築ならば、家屋本体の解体工事は120~150万円ほどで、中間マージンで10%上乗せされたとすると、132~165万円ほどになります。
中間マージンだけで10万円以上も多く支払うことになるのです。
この中間マージンは抑えるためには、自分で解体業者を探す必要があります。これを「分離発注」といいます。
特に大手の建築会社は下請けの業者に工事を依頼することが多いので、自社で解体工事を行うのか事前に確認しましょう。
解体業者を選ぶときは、複数の業者に見積もりを依頼して比較してみるのが一番です。実際に金額を見れば差は一目瞭然ですし、以上に安すぎる悪質な業者も避けられます。
解体業者を選ぶ際、CMやホームページで広告を出している業者は頼みやすいですよね。しかし、広告に力を入れている大手の解体業者だけでなく、広告を出していない業者からも見積もりを取りましょう。
CMなどで見たことのある会社は知名度があって安心感もありますが、広告を打つのにも広告費がかかっています。大手の会社は営業担当の人件費などもあり、その分解体費用に上乗せされることがあります。
広告で見たからと安易に決めずに、広告を出していない業者とも比較してみましょう。
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家を解体して更地にするメリット
家を残しておいて、そのまま土地を売却しても問題がないのではないかと思われるかもしれません。
では、解体して更地にするメリットとして考えられることには、どのようなことがあるでしょうか?
メリット1:土地が売却しやすくなる
古い家をそのままにして売却をすることも可能ですが、その場合には買い手が購入後に家屋を解体することが前提になっていて、解体費用分の値下げ交渉をされてしまうこともあり得ます。
家の解体工事は面倒であるので、土地の購入を考えている人は、できれば更地や整地されている土地を購入したいと考えます。そのため、あらかじめ空き家を解体してから売りに出した方が、買い手が見つかりやすくなるうえ、手間が省ける分高く売却してもらえる可能性も出てきます。
メリット2:空き家の管理をする必要がなくなる
解体を検討する家は現在住んでいない空き家である場合が多く、管理をするための時間や手間が発生してしまいます。老朽化が激しい家などは倒壊の可能性もあり、近隣住民に迷惑をかけてしまう可能性があります。
解体して建物をなくしてしまえば、このような管理の手間や周辺住民への配慮、動物や不審者に侵入されてしまうような心配もなくなります。
メリット3:効果的な土地活用に繋がる
空き家がなくなることで、土地の売却だけではなく、有効活用を考えることもできます。
更地をコインパーキングにしたり、農園にして貸し出したり、事業用として企業へ貸したりすることも可能です。これによって不動産収入を得ることができるようになるでしょう。
収入を得るためには立地条件も大事になってくるので、条件がよければ検討してみてはいかがでしょうか。まずは不動産会社などに相談してみましょう。
メリット4:契約不適合責任に問われるのを防止できる
建物を取り壊すことで、埋設物などにより責任を問われてしまうのを防止できます。
建物を取り壊さずに売却した場合、後になって買主が建物を解体した際、埋設物などが発見されると、売主が契約不適合責任を問われてしまうリスクがあるのです。
建物を取り壊すことで、土地を売る前に埋設物などがないか確認できるため、売却した後に責任を問われてしまう心配がありません。
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家を解体して更地にするデメリット
建物を解体してから売却するメリットを紹介しましたが、物事には何事も、メリットがあればデメリットもあります。メリットとデメリットの両方を知り、所有する家を解体するべきか検討しましょう。
デメリット1:固定資産税の減税が受けられなくなる
建物が建っている土地には、固定資産税・都市計画税が最大1/6~1/3に減税される措置が受けられます。しかし家を解体してしまうと、この減税を受けることができません。
土地だけを所有していると、いままでの何倍もの税金を支払うことになってしまうのです。大きな金額なので、解体をする場合は注意が必要です。
ただし平成26年に「空家等対策措置法」によって、特定空家に指定された家屋は減税措置が受けられなくなってしまいます。どんな空き家でも建ってさえいれば減税措置が受けられる、ということではなくなりました。現状の建物の状態、今後の土地活用について検討をして、判断をするようにしましょう。
出典:家を取り壊した場合の固定資産性はどうなりますか?(岡山市)
固定資産税対策には、以下のようなものがあります。
〇新築する
家がなくなると固定資産税があがるなら、また家を建てればいいのです。
ということで、解体後に新たに家を建てれば土地の固定資産税は変わりません。
どころか、新築住宅には固定資産税を軽減する特例があるので、条件を満たせば支払う税金が減額されます。
〇農地として利用する
解体したあとの土地を農地に転用します。
住宅地よりも農地のほうが固定資産税は低くなるので、自治体に現況地目変更届を提出し、農業委員会の農地証明を発行してもらうことで課税上の地目を変更します。
しかし農地にする場合は実際に使用している実績が必要で、実際に農業を行っている土地とほぼ同じ見た目にしなければなりません。
農地として使い続けなくては地目が戻ってしまうこともあるので、うまく活用できないと思う方は別の方法を探しましょう。
〇駐車場として活用する
更地を駐車場にするのも対策の一つです。
商業地になるので固定資産税は変わりませんが、駐車場収入を得られるので、その収入で固定資産税を支払うことができます。
借り手がつきそうな土地という前提ですが、土地によっては税金対策だけでなく収益まで見込めます。
〇売却してしまう
一番シンプルな手段です。
土地を活用できないと、固定資産税の負担が大きいままになってしまいます。
さらに管理にも手間や費用がかかってしまうので、手放して固定資産税などの負担をなくしてしまいましょう。
デメリット2:建物滅失登記を行う必要がある
家や建物を取り壊した場合には、建物の減失登記を行う必要があります。解体後1カ月以内に行わないと以下のようなデメリットが生まれてしまいます。
- 土地売却ができない
- 解体しているのに固定資産税がかかり続けることになる
- 建築許可が下りない、建替えができない
- 建物の所有者が亡くなった場合、手続きが煩雑になる
- 10万円以下の罰金などに処される場合がある
建物減失登記を怠ることで土地活用をできなくなってしまうなど、問題が起きてしまうので必ず登記を行うようにしてください。
デメリット3:再建築不可になることがある
住宅に関する法律は毎年といってよいほど変わっています。今までの法律では建物を建てることが可能であっても、現在の条件では新たに建築ができないということもあります。
これを「再建築不可物件」といい、今ある建物は法律違反とはなりませんが、それを一度取壊してしまうともう新たに建築ができない、つまり建替えは行うことができなくなるのです。解体してしまってからでは手遅れになるので、事前に確認をして解体を行う判断をしなくてはいけません。
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売却のために取り壊した方がいいケースは?
土地を売却する場合、建物を取り壊すべきかどうかは、その建物などの状態によって異なります。建物を取り壊すべき場合とそうでない場合についてご紹介します。
住みにくい物件であれば取り壊すべき
買主にとって住みにくい物件であれば取り壊した方がよいでしょう。
たとえば、建物がかなり老朽化している場合や、傾斜地など立地が悪い場合などです。
住みにくい物件であれば、買主が購入後に解体をしなくてはなりません。取壊し費用の負担を考えると、同じ条件で更地になっている土地のほうがより魅力的です。
建物を取り壊して更地にすることで、一時的に売主の負担は増えますが、結果的に売れやすくなる可能性があります。
建物が魅力的であれば取り壊すべきではない
建物が魅力的であれば、取り壊さない方が売れやすくなる可能性があります。最近は古民家ブームもあり、場合によってはニーズがあります。
建物を取り壊さずに売却できれば、余計な費用をかけずに済みます。その建物のニーズについて考えたり不動産業者に相談したりして、建物を取り壊さずに残したまま売ることも検討してみてください。
戸建て以外の建物の費用8パターン
ここまでは戸建ての解体工事費用について中心に見てきましたが、その他の建物についても、取り壊しにかかる費用を大まかにご紹介しておきます。
1:アパートの場合
アパートの解体工事の費用は、建物の大きさや周辺の環境により大きく変動します。
解体費用の相場は木造で1坪3万~8万円程度になっています。
しかし建物の構造・建坪や工事車両の駐車スペースの状況によりかなり差が出ると思っておきましょう。アパートは路地奥の立地が多く、トラックが入れなかったり重機が通れなかったりすることが多いからです。また、隣接する建物との距離などの状況にも相場が左右されます。
このように、アパートの場合は周辺の立地条件が大きく相場に影響しますので、見積もりの際には現地調査が特に重要になります。
2:マンションの場合
マンションの解体費用の相場は、鉄骨鉄筋コンクリート造で1坪約5~8万円です。
マンション解体費用の相場も、構造や大きさにより違ってきます。現在のマンション構造は、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造がほとんどです。解体工事費用は、鉄骨鉄筋コンクリート造の方が高額になります。
また、立地場所や周辺道路状況も費用に大きく影響します。大規模マンションではなく、木造や鉄骨構造の小規模マンションである場合は、それほど高額な費用とはならないようです。
3:ビルの場合
ビルの解体費用相場も、建物の構造や立地条件・周辺環境により変動しますが、鉄筋コンクリート造のビルで1坪5万円が相場といわれています。
特に、周辺のビルや住宅との距離なども工事に大きく影響します。密集地にあるビルでは、倒壊の恐れがあるため、一気に解体ができず工事期間も長くなります。アスベストの処理費用の発生も予想されるので、見積もり時に漏れがないよう注意が必要です。
ビルの構造は、鉄骨や鉄筋コンクリートがほとんどで、一般住宅の解体費用と比べると高額になります。建物が2階、3階建てまたはそれ以上になると、比例してさらに高額になっていきます。
4:工場の場合
費用の相場は、10坪未満~70坪台で4万円~2万5000円になっています。工場解体費用は、大規模な解体工事が必要となるので高額になります。
一般住宅とは違って、工場は鉄骨や鉄筋コンクリート構造がほとんどでしょう。そのため、工事に使う重機も大きくなり工事期間も長期になります。また、大型の重機を保有する規模が大きい工事業者への依頼が必要になります。
事前の調査に時間を要するので、見積もりは早めに実施しなければなりません。工場ではアスベストを使っている可能性が高いので、その費用もあらかじめ計画に盛り込んでおくことが大切です。
5:店舗の場合
店舗解体費用の相場は、店舗の大きさや立地・内装状況などにより費用が異なりますが、小売店で1坪1万~5万円が相場といわれています。
店舗の解体費用は、住宅などの解体と同様に、主に建物の大きさに左右されます。また、店舗の特徴である内装の状況や、2階建て・3階建てといった建物の構成によっても大きく変動します。
特に、アスベストが使われている店舗は別途工事が必要になるので、費用が高くなるでしょう。
6:倉庫の場合
車庫の解体費用相場は、スレート屋根の場合、1平方メートルあたり2千円程度といわれています。
倉庫の場合も、構造や建坪によって違ってきます。大きなサイズの倉庫は、家屋解体と同じくらいの費用になりますが、家庭用の倉庫などであれば、自分で解体して廃材のみ回収を依頼すると、費用はかなり少額で抑えられるでしょう。
見積もりの際には、構造と大きさや道路状況などを詳しく伝えておきましょう。
7:駐車場の場合
駐車場の解体費用相場は、駐車場の構造と場所により費用が変動しますが、一般的には1坪1万~10万円程度といわれています。
駐車場の解体や撤去では、アスファルト・コンクリートの解体や、精算機・車庫・カーポートなどの解体費用がかかります。特に精算機やゲートなどの撤去作業は専門業者で工事を実施するので、費用も割高になります。
また、アスファルトやコンクリートなどは一般住宅より廃材が大量に排出されるので、産業廃棄物処理費用も高額になります。
8:浄化槽がある場合
建物に浄化槽がある場合は、浄化槽の解体と撤去の費用が解体工事とは別に発生します。相場は3万~6万円程度といわれています。見積もりの際には、浄化槽があることをきちんと伝えておくことが大切です。
浄化槽の解体と撤去費用は、立地条件や浄化槽の大きさにより異なります。解体工事と一緒に浄化槽の解体まで実施することをおすすめします。別途、浄化槽工事だけを実施すると、割高になるからです。
また、浄化槽を撤去する場合は、作業完了の30日以内に「浄化槽廃止届出書」を都道府県知事へ提出する義務が法律で定められています。
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解体費用が高くなっている理由3つ
空き家への対策が進んでいることもあり、ますます解体工事の需要が高まり費用も高くなっています。
解体需要の高まりによって、工事での産業廃棄物の処理も比例して多くなります。処分費用の割合は、解体工事費用のおよそ半分を占めるともいわれていて、処分業者の稼動が逼迫すれば、人件費などにより価格も上昇し、解体費用にも影響が出ます。
ここでは解体費用が高くなっている理由をそれぞれ詳しく紹介します。
1:中国への資源ごみ輸入禁止
中国政府による、固体廃棄物の輸入禁止措置により、解体費用に影響が出る可能性があります。
従来中国政府が、輸入していた廃プラスチックや古紙、廃紡績原料、固体廃棄物などを全面禁止する措置を発表したのです。
この措置が実施されると、これまで中国に廃棄物処理をまかせていた分は、国内での処理が必要になります。これにより国内の産廃業者の稼動がさらに圧迫され、解体工事廃材処理にも少なからず影響が出る可能性があるようです。
2:廃棄物処理費用の高騰
空き家解体や建替えの需要が増えて、解体による産業廃棄物の処理が圧迫されており、処理費用の高騰が続いています。
業者数は増えていないので、ますます需要に追いつかず、処理費用の高騰に拍車をかけています。
業者によっては、解体業者が自社の処理場を保有して処理を自前で実施しているケースもありますが、割合としては少なく、ほとんどが産廃業者へ委託しているのが現状のようです。
3:アスベストに対して費用が別にかかる
解体対象の建物の部材にアスベストが使われている場合は、別途費用が必要になります。
現在では禁止されているアスベストですが、以前は建物の部材に多く使われていました。有害なアスベストが使われている建物の解体には、特別な工事が別途必要となり、処理費用も発生します。
一般の解体業者では処理技術がないので、専門業者へ依頼することになり、工事期間も長くなるでしょう。
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家の解体費用の坪数別相場をおさえておこう
本記事では、坪数別で見る家の解体相場に関してを中心にご紹介してきました。家の解体費用は、地域別、坪数別、構造別に相場が変わります。
家の解体を検討するときには、解体費用の相場を知っておくと共に、どのような項目に費用がかかるのか理解しておきましょう。
また、解体業者を選ぶ際には、複数の業者に相見積もりを依頼しましょう。価格の比較だけでなく、重機を保有している会社であることや担当者の対応、見積もりに記載される内訳内容もチェックするポイントになります。
家の解体を検討する際には、本記事でご紹介したポイントをぜひご参照ください。
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